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コンセプトから制作へ、楽曲完成までを振り返って。 ”00年代生まれによる、00年代のための音楽プロジェクト”『from00』第2弾。

コンセプトから制作へ、楽曲完成までを振り返って。 ”00年代生まれによる、00年代のための音楽プロジェクト”『from00』第2弾。

以前、「気になる10代名鑑」にも登場してくれたクリエイターの昴雅たなべゆい美羽の4人が6組のシンガー・ボーカロイドプロデューサーとタッグを組み、“00年代生まれによる、00年代のための音楽プロジェクト”『from00』の第2弾が始動。今回のテーマは「令和の反戦歌」。アーティストとイメージを確かめ合いながら制作を進めてきた彼らに、Steenzでは座談会インタビューを敢行しました。後編では、プロジェクトの様子や楽曲の注目ポイントなど、たっぷり語り合ってもらいました。

from00とは?

00年代に生まれた6組のミュージシャンとA&Rを担う4名が楽曲コンセプト、作詞作曲、PRまでゼロから全て自分たちで模索し、追求した“00年代レペゼンミュージック”が誕生。

2023年ファーストランのコンセプトは“アナログな青春”。そして、2024年第2弾は令和の反戦歌“青き、あきらめ”。

新しい魅力を引き出す音楽のマッチングを探して

-どんなアーティストのA&Rを担当したんですか?

こうが:ぼくは、ボカロPのFILEINさんと、バンド「SwingSkit」のボーカリストでありジャズラッパーのsiglinenさんのペアを担当しました。

ゆい:高校生ボカロPのはなつばめさんとロックバンド「Mitei」でボーカルを務めている高松力都さんのペアを担当しました。

なぎ:ぼくはエキゾチカPOPバンド「慰安旅行」のコンポーザーのよしだかなうさんとJPOPシンガーの中島りんさんのペアと、高校生ボカロPの三栖さんと4人組バンドのボーカリストで今は個人で歌手活動中の悠稀。さんペアも担当しました。

みわ:ボカロPのRulieaさんとバンド「CARAMEL CANDiD」のボーカリストで作詞作曲もするおとさんのペア、ボカロPのTerutomo NakashimaさんとJPOPシンガー万優子さんのペアを担当しました。

 

―ジャンルレスな組み合わせが特徴的ですね。

こうが:前回のプロデュースと違って、今回、ボーカリストさんとコンポーザーさんはビクターさんが推薦してくださったんです。だから組み合わせを考えるところからスタート。特に、ボカロPがコンポーザーとして関わっているペアが多いよね。小学校の時、ボカロはよく聞いてたから、率直に楽しみだったな。

みわ:私もボカロ曲よく聞いてた。でも、制作に関わってみて、ボカロ曲をつくっているといっても、それぞれ音楽性も違っていていろいろなスタイルがあるのが改めておもしろいなと思った。

ゆい:たしかに。はなつばめくんみたいに、ボカロだけどいわゆるボカロっぽくない曲が得意なアーティストさんもいて、それが個性になってたよね。

なぎ:唯一、ボカロPとのペアではないのはよしだ・中島ペアだね。よしだくんのダンスミュージック的な音楽性はなかじまさんの声質とドンピシャだって、全会一致で一番最初にきまったのを覚えてる。

ゆい:うんうん。親和性があるものをしっかり組み合わせることもだし、それから意外性も意識して、色々試しながらマッチングを考えたよね。

こうが:ね!たとえば、「ラップとボカロ?この組み合わせ全く想像できない」とか「聴いたことない音楽、ぼくたちが聴いてみたい!」っていう気持ちで考えていったら、最後にはこのペアしかないって自信を持てるベストなペアになったと思っているし、これは実際にプロジェクトが進んで楽曲ができた今でも変わらない気持ちだよね。

 

アーティストたちと一緒に時間と会話を重ねて、作り上げた自信作

―新しい挑戦が多かった現場だったんですね。その中で大変だったことはありますか?

ゆい:私は世代感が伝わるように、パソコンカルチャー的なデザインにしたり、平和と希望を表せるような象徴的な記号として白薔薇をとりいれてみたり、そういうアートワークも考えたけど、A&Rとしては、例えばSNSの運用方法を考えてPRするのも仕事なんですよ。楽曲を聞いてもらうのが、もちろん、いちばん大事なんですけど、from00のことやコンセプトを知ってもらうのも大事で。じゃあそのためのTikTokのコンテンツっておもしろさメインのこれでいいのか?とか、だいぶ白熱したよね。

みわ:そんなこともあったよね。最終的には、TikTokは新規の間口を広げるもので、Instagramは他からたどり着いた人向けのホームページみたいな役割にする……とかSNSごとに目的を決めてしっかり届けることになりました。

こうが:みんなが役割にこだわらず、PRについても真剣に考えてたからこその白熱だったね。

なぎ:あとは、A&Rがアーティストとコミュニケーションするとき、どう寄り添うのが正解かってことはずっと考えてたことだったな。基本的には、「大丈夫です、味方ですよ」ってちゃんと示しながら、行き詰まったらコンセプトの伝達のところで漏れていることがなかったかな?って自分でも再確認してみるようにしていた。

みわ:うんうん。例えば、ボカロPがいままで作り慣れてきたボカロ曲のテンポとか音程がシンガーにとっては難しいことだったことがあって。どうすればお互いの良さを消さずに活かせるかなっていう悩んだの。でも、それはアーティストさん同士で、調整して解決していってたんだけど。

こうが:ぼくの担当していた、FILEIN・siglinenペアは、そういうアーティストさん同士のコミュニケーションがすごくうまく行っていて、心配することはあまりなかったかも(笑)。でも、何か困ったことがあったらすぐに相談してもらうようにしてたし、なぎとも同じで一旦受け止める姿勢はやっぱり大事にしてた。

-それぞれの楽曲に込めた想いや注目ポイントを教えてください。

なぎ:もうね、ありすぎる。選べないな(笑)。三栖・悠稀ペアの「家路」は、聞いただけで「青き、あきらめ」っていうこういうことだよねって納得できるぐらいコンセプトにすごくあったアンセムだと思っています。悠稀くんも飾らず等身大に歌い上げてくれて、それが歌詞とマッチしてるんですよ。あと、実は、ぼくがギターで参加しているのでちょっとだけ注目してほしいですね。

よしだ・中島ペアの「証明」。R&Bらしさもエレクトロリカルさもある、今回の楽曲の中では、ちょっと異質なポジションで、その異質さをまずは楽しんでほしいです。歌詞としても、前向きなパワーが桁違いに強いし、中島りんさんの、テンションが上がるパワフルな声も魅力的ですね。最後を締めくくるにふさわしい曲になったなと思います。二人で限界まで悩みながら生み出されたのを隣で見てきたので、一層みんなに聴いてほしいなって思います。

みわ:Terutomo Nakashima・万優子ペアの「Sphenoid’s Noise」という歌は、歌詞が衝撃的でぜひ注目してほしいです。戦争が終わっても完全に終わったわけじゃないっていうメッセージが伝わってきて、それにも共感できますし、情景描写もとても豊かでリアルさが感じられます。あと、曲が、とにかくカッコいい。サビ前のメロディが美しくて、大好きです。

おと・Rulieaペアの「我々贅沢品」も、歌詞が凄まじく良いですね。「ぼくらは祈りつつ諦めているんだ」という歌詞に衝撃を受けて。こんなにコンセプトを体現する言葉があるんだって。他の箇所でもいつもワードセンスにおどろかされました。おとさんの歌声は、高めで可愛いらしさもあるけど一生懸命さが伝わってくる。Rulieaさんのつくる激しめな音楽、世界観と競り合ってどんどん高まっていく感じがすごいです。

ゆい:はなつばめ・高松ペアの「夢をみてた」は、高松くんがはなつばめくんの作った楽曲に乗せて、ギターも演奏しています。二人がお互いの音楽を聴き合ってやっと完成したっていうのが胸熱ですね。はなつばめくんが歌詞を担当したんですけど、素直にのびのびと書いてくれたなって。戦争を思うことで身近なものが当たり前じゃないんだっていう普遍的なメッセージがすっと入ってくる曲に仕上がっています。

こうが:FILEIN・siglinenペアの「k0t0nakare」。これは、「青き、あきらめ」をストレートに持っているニヒルな学生が主人公です。お互いが自分の音楽に深いルーツを持っていたので、それを尊重し反映した曲にしようと話し合って。そんな二人の個性が伝わるといいなと思います。

歌詞は、ボカロPのFILEINくんが担当して初めてラップのリリック書きに挑戦したので注目してほしいな。siglinenくんが師匠になって、FILEINくんに韻の踏み方を、毎週丁寧にレクチャーしてくれて、曲ではバッチバチにカッコよくハマっています。

全部の曲がそれぞれみんなの自信作として仕上がっているので、リリース楽しみにしててください!

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@from00_ 大学生4人が、同年代の音楽家とともに 自分たちの反戦歌を作るプロジェクト、from00始動。 争いの終幕を信じて、僕ら00年代が届ける反戦歌。 この歌を、一緒に歌ってくれませんか。 #大学生 #反戦 #nowar #from00 #04 #03 #05 #fyp ♬ suara asli – Evxyn – ム O X 口

 

配信情報

10月30日リリース from00,悠稀。,三栖 / 家路
11月6日リリース from00,おと(CARAMEL CANDiD),Ruliea / 我々贅沢品
11月13日リリース from00,Siglinen,FILEIN / k0t0nakare
11月20日リリース from00,万優子,Terutomo Nakashima / Sphenoid’s Noise
11月27日リリース from00,高松力都,はなつばめ / 夢をみてた
12月4日リリース from00,中島りん,よしだ かなう / 証明
12月11日リリース from00 / アルバム「Blue Truth」

 

Photo:Amika
Text:Chihiro Bandome

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Chihiro Bandome

ライター

2003年生まれ、埼玉県出身。上智大学文学部新聞学科在学。自分の目で現場を見て、自分の言葉で人と話して、世界を知っていきたい。大学では、主にニュース記事の執筆を学んでいる。2023年より、ライターとして「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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