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”00年代生まれによる、00年代のための音楽プロジェクト”『from00』に参加した4人のクリエイターが振り返る、楽曲完成までの道のりとは?

”00年代生まれによる、00年代のための音楽プロジェクト”『from00』に参加した4人のクリエイターが振り返る、楽曲完成までの道のりとは?

以前「気になる10代名鑑」にも登場してくれた音楽フリークなクリエイター渡辺青(AO)天方向日葵Hataぴぴみゅーじっくの4人が8組のアーティストとタッグを組み“00年代生まれによる、00年代のための音楽プロジェクト”『from00』を始動。今回A&Rとして楽曲の制作にゼロから携わったという彼らに、Steenzでは座談会インタビューを決行。後編では、楽曲制作中の苦悩や作品に込めた想いについて語り合ってもらいました。

前編はこちら

”00年代生まれによる、00年代のための音楽プロジェクト”『from00』が始動。4人の新鋭クリエイターが描く「アナログな青春」とは

from00とは?

00年代生まれによる、00年代のための音楽プロジェクト。
00年代に生まれた8組のミュージシャンとA&Rを担う4名が楽曲コンセプト、作詞作曲、PRまでゼロから全て自分たちで模索し、追求した“00年代レペゼンミュージック”が誕生。
半年間に渡った準備期間の末に、5週に渡って楽曲リリースをスタートさせる。
ファーストランとなる今回のコンセプトは“アナログな青春”
「物心ついた時から私たちは誰とでも、どこにいても繋がれた」
「それってとても便利だけど、たまに寂しい」
「もっとまっさらで、もっと正直だった時代」
令和の今、スマホもSNSもなかった平成に思いを馳せる。
2023年9月27日から、ビクターエンタテインメントより5週連続配信スタート。

マンツーマンでアーティストと向き合った半年間

―まず、それぞれどんなアーティストのA&Rを担当したんですか?

青:私はギターレスバンドのココラシカ、いわゆる王道といえるようなポップミュージックを発信するシンガーソングライターのかしむさん、ボカロPの大本悦司さんの3人です。

ぴぴ:僕はジャンルに縛られない自由な表現を追求するフォークシンガーの涼井夕映さんを担当しました。

向日葵:私はコンポーザーを務めるAyatoさんとボーカルのAmiさんの兄妹ユニット、深夜枠です。

Hata:4ピースバンドのThe Bee’s Knees、ピアノを軸に作曲をする柴田悠来さん、ボカロPであるikarunさんです。

―普段聴く音楽とは系統の違う音楽を表現するアーティストを担当したのでは?

青:全く違うよね。とくにぴぴとか。

ぴぴ:普段は邦ロックばっか聴いてるから全然違った。涼井さんはすごく自分を持ってる方だから、リファレンスとして似てる音楽を探そうと思っても見つからないし、そこは難しかったな。

Hata:逆に僕はぴぴから流行りの音楽をめっちゃ聞いたり、日本のヒットチャートを勉強したりした。このプロジェクトに参加する前から冗談抜きで50倍くらい日本のアーティストを知ってると思う。

青:うん。それだけ知らなかったうちらもヤバいけどね(笑)

ぴぴ:はじめはみんなTikTokのアプリさえ入れてなかったもんね。

Hata:そう。1日5分TikTokを見る練習したもん。

―ほかにも制作過程で壁にぶつかったことや挫折はあった?

向日葵:わからないことが多すぎて、アーティストと円滑にコミュニケーションを取れなかったり、不安にさせちゃったり……。そのあたりをうまく対処するのが難しかったな。

Hata:コミュニケーションね〜。特に曲とか歌詞とかって、アーティストにどんどん内側をさらけ出してもらわないといけないけど、一気に距離を詰めたら相手も拒否反応を示すだろうし、相手の頭の中を想像しながら会話するのはすごい大事だったよね。

向日葵:それにミスして落ち込むんだけどカツカツのスケジュールでやってたから、早く次に進まなきゃいけなくて。いかに同じミスを繰り返さないかを大事にしてたかな。

苦悩のうえに出来上がったからこそ、多くの人に届いてほしい。

―さまざまな苦悩があったんですね。では最後にそれぞれの楽曲に込めた想いや注目してほしいポイントを教えてください。

青:ココラシカの『恋よ、踊りだせ』は「現代より平成は人々が純粋だったんじゃないか」という視点から生まれた、普遍的な愛について歌っている楽曲です。軽快かつ、シティポップの要素が含まれたサウンドは踊りやすく仕上がってるので、パーティーとかで聴いてもらいたい! かしむさんの『半心浴days』はザ・日本のポップスって感じの、万人に受け入れられるような耳馴染みのいい楽曲。本人曰く、夜道を散歩しているときに聞いてほしいとか。個人的には、恋愛ソングだからカラオケで歌ったら盛り上がるんじゃないかなぁと期待してます。大本悦司さんの楽曲『変わる』では、思春期特有の繊細な精神状態が少しエッジのあるサウンドに乗せて表現されています。時の流れとともに変わりゆくものと変わらないもの、その両方を大事にしたいという思いが込められていて、人によっては強く心を打たれるんじゃないかな。

向日葵:深夜枠の『君の口ずさむ詩』は爽快でエネルギーを感じせるサウンドにアーティストの2人の純粋な人間性が滲み出た一曲。恋愛関係にある男女の少し切ない会話を表現した歌詞になっていて、それを現役高校生であるAmiさんが描いてるっていう、甘酸っぱいバックグラウンドにも注目してほしいです。

ぴぴ:アルバムのラストを飾る涼井夕映さんの『煙る、倒影の』は、SNSやインターネットが普及していないアナログな時代ならではの濃密な人間関係を、なんと本人がスマホだけで制作しているサウンドに乗せて表現した楽曲です。難解さと聴けば聴くほど出る深みを併せ持っているので、アルバムの最後にリスナーに対して疑問というか、考える余地みたいなものを残せる一曲になっていると思います。

Hata:柴田悠来さんの『晩夏のはなし』はピアノがメインのアルバム唯一のインスト曲。彼女自身がピアニストだからこそ表現できるクラシックに裏打ちされた旋律と和音の美しさ、楽器の鳴りに注目してほしいです。青春を象徴する、夏休みや花火、部活動の声が聴こえてくるような楽曲に仕上がっています。The Bee’s Kneesの『ダーウィンに告ぐ』は作詞作曲を手がけるつぐみ(Gt./Vo.)さんが60〜70年代のUKロックを好んでるだけあって、ギターサウンドにその手法がよく表れていて。でも意外に、平成のロックバンドを彷彿とさせるようなサウンドメイキングができてると思うので、懐かしさをもって聴いてもらえるんじゃないかなと思います。ikarunさんの『ANOTOPIA』は、ボカロ黎明期のサウンドを意識して作った楽曲なので、ボカロを昔から聴いてる人にもかなりがっちりハマるんじゃないかな。それに加えて最先端のEDMサウンドもゴリゴリに入ってるんで、若い人でも新鮮に聞けるかなと思います。あとMVがヤバいです。

青:たしかに。全楽曲、コロナ以前の青春を味えなかった2000年代の人だけじゃなくて、平成とか青春時代を懐かしむくらい上の年代の人にも刺さりそう。

向日葵:うんうん。というか頑張って作ったから、結局みんなに聴いてほしい!(笑)

from00のSNS

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配信情報

9月27日リリース 「晩夏のはなし」from00 feat. 柴田 悠来
9月27日リリース 「君の口ずさむ詩」from00 feat. 深夜枠
10月4日リリース 「恋よ、踊り出せ」from00 feat. ココラシカ
10月4日リリース 「半心浴days」from00 feat. かしむ
10月11日リリース 「ダーウィンに告ぐ」from00 feat. The Bee’s Knees
10月11日リリース 「ANOTOPIA」from00 feat. ikarun
10月18日リリース 「変わる」from00 feat. 大本悦司
10月18日リリース 「煙る、倒影の」from00 feat. 涼井夕映

10月25日リリース アルバム(スクランブル)/from00
M1「晩夏のはなし」from00 feat. 柴田 悠来
M2「君の口ずさむ詩」from00 feat. 深夜枠
M3「恋よ、踊りだせ」from00 feat. ココラシカ
M4「ダーウィンに告ぐ」from00 feat. The Bee’s Knees
M5「半心浴days」from00 feat. かしむ
M6「変わる」from00 feat. 大本悦司
M7「ANOTOPIA」from00 feat. ikarun
M8「煙る、倒影の」from00 feat. 涼井夕映

Photo:Amika
Text:Yui Kato

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