タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回のテーマは「美術鑑賞」。今年も大小さまざまな美術展が、全国各地で開催されていますが、いまを生きる10代は、どんな展示に惹かれて見に行くのでしょうか。そもそも美術というのは、コスパ重視といわれるいまの10代の関心事になってる? そこで、自分なりの美術鑑賞のルールやこだわりについて、5人のティーンに教えてもらいました。
1. 太田雅啓さん「美術館めぐりをする友達と一緒に、西洋美術の展示によく行きます」
「美術館に行くのは、2か月に1度くらいですね。定期的に特別展に行っています。美術館に行く友達が3〜4人いて、一緒に行くんです。去年は気になる展示がたくさんやっていたので、ルーヴル美術館展、キュビスム展、モネ展、エゴン・シーレ展、テート展、ガウディ展などに行きました。
また、NYに行ったときには、MoMAの常設展をひと通り見てきました。西洋絵画が好きで、特に近代以降の特別展があれば、必ず見に行くようにしています」
2. ゆう猫さん「作家よりもキュレーションのテーマ性に惹かれるかどうかで見にいきます」
「興味がある展示があれば行きますし、行ったときは、常設展も含めて最低でもひと回りはするようにしています。特定の作家の展示を見に行くというよりも、興味のあるテーマに関してキュレーションされた展示に惹かれて行くことが多いです。直近だと、東京都現代美術館でやっていた『あ、共感とかじゃなくて。』と『MOTコレクション 被膜虚実』を見ました。特に、MOTコレクションには惹かれる作品があって、何分間もその作品をじっと眺めていました。
いまは同じく東京都現代美術館でやっている『シナジー、創造と生成のあいだ』と、森アーツセンターギャラリーでやっている『キース・ヘリング展』が気になっています」
3. kokonaさん「美術館はたまに行きます。衝撃だったのは『Chim↑Pom展』です」
「美術館は、たまに行く程度ですね。これまで行った中でいちばん衝撃を受けたのは、2022年に森美術館でやっていた『Chim↑Pom展:ハッピースプリング』です。社会の中ではなかなかオープンにしにくいテーマやが芸術で表現されており、かなり刺激を受けました」
4. 髙原大雅さん「鑑賞中はもちろん、鑑賞後に作品について友達と語り合う時間が好き」
「美術館、めちゃくちゃ行きます。首都圏の展示を見に行くことが多くて、やっぱり美術館の多い上野周辺に行きがちです。エドヴァルド・ムンクの『叫び』やフィンセント・ファン・ゴッホの『ひまわり』を実際に見たときは、あらためて美しいなと思いました。
ただ、美術に詳しいわけではないので、友人と行って、作品群を目の前にして感じたことや考えたことを議論したり、タイトルや解説について考察してみたりしています。美術館という空間にいる時間はもちろんですが、鑑賞後に美術について話す時間がすごく素敵だし、大好きです」
5. 鶴田一朗さん「美術館はほとんど行きませんが、行きたくないわけではありません」
「僕は美術館に行くことがほとんどありません。年に1回、行くか行かないかくらいな気がします。美術館といえるかわからないのですが、大学のエントランスにはいろいろ作品が展示されているので、それは毎日のように見ています(笑)。
もし展示に行くとしたら、有名な画家の特別展があって、それがSNSで話題になっていたら行くかもしれません。あるいは、たまたま歩いているときに面白そう展示を見つけたら、全然知らない人であっても、ふらっと行くような気もします。わざわざ見に行くことを、自分からはあまりしないですね」
美術館にはひとりで行って堪能したいという回答と、友達や親と行くといった回答が、およそ半々ぐらいで集まる結果になりました。一方で、そもそもあまり行く機会がないという声も。学割など、10代だからこそお得に見られる展示もあるので、これを機に気になる美術展に行ってみてはいかがでしょうか。
Photo:Eri Miura
Text:Ayuka Moriya