
タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回のテーマは「TikTok」について。ショートムービーの投稿プラットフォームであるTikTokは、10代を含む若者層が中心的なユーザーだといわれていますが、リアルな10代たちはいま、どんなコンテンツを見て、どのくらいの頻度で使っているのでしょうか。そんなTikTokの利用実態について、5人のティーンに詳しく聞いてみました。
1. 山下花音さん「音楽活動に活かすために、ライブ映像やパフォーマンスを見ることが多いです」

16歳。名古屋を拠点に音楽活動を行なう。リトグリの新メンバーオーディション『M∞NSTER AUDITION』にも参加。
「音楽活動をしているので、TikTokでは好きなバンドのライブ映像だったり、楽曲だったりが流れてくるのをよく見ています。特にライブ映像は、パフォーマンス面で勉強になることも多いですし、印象的だったなと思うライブのMCを見返して、背中を押してもらうこともあります。
娯楽としてTikTokを見ているというよりは、これからも音楽活動をしていくための勉強として、また、音楽についての知識を得るために使っているような感覚があります」
2. 柴田悠来さん「毎日1時間くらい、おすすめされてくる音楽系の動画をよく見ています」

19歳。クラッシックピアノを軸とした楽曲制作を行う。“00年代生まれによる、00年代のための音楽プロジェクト”『from00』にて新曲をリリース。
「TikTokはだいたい1時間ほど見ていますね。私は普段、音楽活動をしているので、音楽紹介の動画を検索することが多いです。特に、いま流行っている音楽や中高生が好きな音楽を知るのには、TIkTokがいちばん適していると思います。
いまは流行りの移り変わりが速くて、好きなものに出会うのが難しいですけど、TikTokだと、その流れもしっかりつかみつつ、動画を検索できるのがいいところ。また、おすすめの動画を勝手に流してくれるので、見たいジャンルの動画がたくさん流れてきてくれるのも、ラクで助かっています」
3. 原 龍大さん「他の人の動画が創作活動の刺激になることも。作品を投稿することもあります」

18歳。野球漬けだった高校時代を経て、現在は多摩美術大学にて日本画を学ぶ。
「TikTokは、1日に30分くらい見ています。自分と同じような絵を扱う動画や、オリジナルのアニメーション動画などを見ることが多いです。創作活動の刺激にもなるので、保存して同じ動画を何度も見ることもあります。
また見るだけではなくて、自分が描いた絵を投稿することもあります。投稿した動画に対する世間の反応や、いまのトレンドをチェックするためにも、TikTokは便利ですね」
4. しおはるさん「ペット動画、ひとり芝居、Vlog、英語学習、ニュースの切り抜き…幅広いジャンルを見ています」

19歳。高校生のときに、自ら校則改革プロジェクトを立ち上げ。現在もさまざまな活動を通して、中高生の校則改革を支援。
「1日でアプリを開いているのは、20分くらいですね。よく見ているのは、犬の動画、ひとり芝居の動画や、Vlog動画などです。また、フォローしているアカウントでいうと、英語学習のチャンネルや、ニュース番組の切り抜きなどですね。コロナ禍では上半身だけで踊れるダンス動画がよく流れてきましたが、最近はピクニックや旅など、外へ出て撮影している動画が増えているような気がして、そういうのをよく見ています」
5. 亀田サンゴさん「これ以上時間を取られたくないと思っているので、そもそもインストールしていません」

19歳。学生団体TEDxNagoyaUで、集客担当のリーダーを務める。将来の夢のひとつは、文化人になること。
「TikTokはまわりでも使っている人が多いので、チェックするべきかなと思いつつ、結局スマホに入れていないです。これ以上、作業以外で時間を取られたくないですし、何かを短時間で学んだり、煽るようにして動画を見てもらったり、容姿重視の発信だったり……といったトレンドには、正直なところ乗りたくないとも思っています。
ただ、TikTokの拡散力がすごいことは認識しているので、もしも今後、自分のことや取り組んでいる活動について、より多くの人に知ってもらうために、発信者として活用する可能性はあるかもしれません」
日常的に自身の活動や娯楽のために使っている10代が多数派であることがわかりました。一方で海外に目を向けると、個人情報保護の観点や、青少年に及ぼす影響などを鑑みて、TikTokの利用を制限したり禁止したりしている国や地域、大学なども出始めています。便利で楽しいツールだからこそ、TikTokとの付き合い方について、考えることも大切ですね。
Photo:Eri Miura
Text:Ayuka Moriya