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水溜りボンド「新たなフェーズへ」カンタが語るトミーとの未来

水溜りボンド「新たなフェーズへ」カンタが語るトミーとの未来

インタビュー第2弾「水溜りボンド・カンタをYouTuberにした3つのターニングポイント」では、10代のときに出会った、大きな飛躍のきっかけを聞くことができた。

もちろん、良いときもあれば、悪いときもある。相方・トミーさんが活動休止中に行われたこのインタビューでは、10代から相方として隣にいるトミーさんへの愛情と、水溜りボンドの未来への希望が語られた。

1時間半にわたって、丁寧にインタビューに対応してくれたカンタさん

1.快進撃の裏側

19歳でカンタさんとトミーさんが運命の出会いを果たし、結成された『水溜りボンド』。YouTubeを始めるときは「1年やってチャンネル登録者が10万人を越えなかったら、諦めて就職する」と決めたが、結果的に1年後に10万人を達成、さらにその1年後には100万人を突破するという快挙を成し遂げる。

しかし、その成功の裏には、ふたりの才能だけでなく、地道な努力があった。2015年1月1日から、1日も欠かさず、毎日動画を投稿し続けた(その後も計6年間継続)のだ。言葉にすると簡単に聞こえるかもしれないが、実行するには強い信念と精神力が必要。カンタさんは、当時頑張れた理由を、こう振り返る。

「まず第一に、YouTubeが好きだった、ということがベースにあります。中高の6年間打ち込んでいたバスケットボールも、半分は友達をつくるために頑張っていたようなものなので、YouTubeに関しては『やっと好きなスポーツを始められた』というような感覚がありました(笑)。

でも、もちろん1日も休まずに、動画を投稿し続けるのはめちゃくちゃ大変な作業です。当時は、お笑いを続けられるかどうかという人生の岐路で、『いま頑張らないと、好きな仕事につけない』という焦りがあった。だからこそ、頑張れたんだと思います。

でもその分、できることは全部やろうと。視聴者が少なかったころは、架空のファンアカウントをTwitter上に作って、自作自演で宣伝したりも(笑)。10代が終わる節目とか、就職を決める節目っていうのは、期限を設定するチャンスでもある。僕の場合、タイムリミットをつくったことで、『絶対に成功させる』という強い執念を持って、行動につなげられたのかなって思います」

さらに、継続が苦手で悩む人のために、こんなコツも教えてもらった。

「確かに、成功するかどうかわからないのに、何年も続けるのって、つらいですよね。そんなときは、最初から1年とか2年とかいうスパンで考えずに、まずは1か月間、毎日続けてみるといいかもしれません

1か月間続けた時点で、すでに独自のポジションを築きかけていたり、数はそれほど多くはなくても、大切なファンや仲間ができていたりして、『ここで辞めるのはもったいない』と感じるようになっている可能性がある。それが積み重なって、自然と続くことも」

2.10代のうちに「異常な熱量」で挑戦してほしい

ここまで自身の10代を振り返ってきたカンタさんに「現在の10代に伝えたいことは?」と、ストレートに聞いてみた。

「僕はもう27歳ですが、20代前半で活躍しているYouTuber、たとえばコムドットとかと会って思うのは、本当にアツくて、熱量が異常だということ。これはYouTuberに限ったことじゃないし、どんなジャンル、いつの時代でも同じなんじゃないかなと思います。

普通なら『やめとこう』と諦めてしまうようなところでやり抜いた人が、他にないポジションを築いている。だから、今の10代の方々には、周りからヘンだと思われたり、ちょっと浮いてしまったりしても、好きなら全力の熱量でやったほうがいいよ、と伝えたいです」

ちなみに、もしいま10代に戻ったとしたら、やりたいことはありますか?

「基本的にやりたいことは、動画でやりきってきたと思ってるのですが、強いて言えば、友達とワイワイする大学生活は送ってみたいかもしれません。でもきっとできないんだろうな。僕は先のことを考えて行動しないと、時間がもったいないと感じちゃう性格なので」

3.水溜りボンド完全復活!そして「新しいフェーズ」へ

中学時代からさまざまな局面で「先読み」を続けて、それを形にしてきたカンタさん。だが、この取材を行ったとき(2021年11月中旬)、彼は予想外の状況の最中にいた。それは、相方・トミーさんが、2021年6月から活動休止中であったこと。でも、カンタさんは強気にこう言った。

「僕は戦略的に動くタイプではありますが、一方で『完全に予想できたら面白くない』とも思っているんですよ。たとえ厳しい道になっていたとしても、だからこそ乗り越え甲斐がある。水溜りボンドとしての活動は、ここからさらに面白いだろう、と僕は期待しています。

それに、6年間続けていた『毎日投稿する』というルールもなくし、仕事よりも自分自身を優先する瞬間がつくれたりしていて、新しいフェーズに入る前のような感覚があるんです」

水溜りボンドの新章。期待が高まる中、今後について聞いてみると…。

まずはとにかく、トミーに早く帰ってきてもらいたいですね。ファンのみなさんも待ってくださっているのを強く感じます。でも、本人の気持ちが前向きになりきれていない中で、僕が無理に引きずり出すのも違うし、本人が戻ってきていないときに、僕が彼の気持ちを代弁するのも違うと思うんです」

トミーさんについての詳しい言及を避ける理由にも、カンタさんの優しさが滲み出ていた。そしてこの取材の直後の12月2日、トミーさんは復帰し、水溜りボンドは完全復活を果たす。約半年ぶりにコンビとして出演した動画には、ふたりを見守ってきたファンからの喜びのコメントが殺到した。

 

 

10代から続くカンタさんの冒険。そして、水溜りボンドの「新たなフェーズ」。これからもみんなで応援しよう。

Photo:Aoi
Text:Shu Nissen
Edit:Takeshi Koh

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Ayuka Moriya

エディター

1999年生まれ、秋田県出身。東京外国語大学 国際社会学部在学時よりライター・エディターとして主にインタビュー記事の執筆、ディレクションに携わる。Steenzでは、2021年ローンチ当初より「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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