タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回のテーマは「授業中のデバイス」について。スマホの普及率の上昇にともない、多くの学校で「授業中のスマホ禁止」がルールとして設けられる一方で、「自由に使いたい」などのさまざまな意見もあり、ひとつの大きなトピックとなっています。一方で、学習用端末の導入などで、授業にもデジタルデバイスが入り込んでいる昨今。先生の需要のやり方や、板書といった、これまでの教育スタイルにも、変化があるようです。
そこで今回は、リアルな10代が、デジタルデバイスがある環境下で、どのように授業を受けているのか、ツールをどう活用しているのかを、5人のティーンに聞いてみました。あわせて、理想的な授業のスタイルについても、質問してみました。
1. 髙橋由衣さん「スマホを使うことで、勉強の効率が上がります」
「授業中でも、スマホやタブレット端末を活用しています。スマホは、わからない単語をすぐに調べたり、気になったことを検索したりして、授業を理解するのに役立っています。
みんなでディスカッションをしたり、意見交換をしたりすることもあって、そういうときにはタブレットを使います。出てきた意見をまとめて、みんなで共有したり、あとあら見返したりするのに、タブレットがあるとすごく便利です。
あとは授業の復習をするときも、スマホを使ってクイズ形式にしていることがあります。スマホやタブレットを使うことで、効率的に勉強が進められていると感じています」
2. 江澤哲哉さん「学校でiPadを導入しています。みんなで編集ができるシステムを使っています」
「授業中にスマホを使うことはありませんが、iPadは使っています。iPadの中に入っている『スクールタクト』というシステムを使っていて、クラス全員がひとつのスライドに書き込むことができるんです。
他にも、みんなで画像の編集ができたり、動画の視聴ができたりするので、授業にだいぶ役立っていますね。画像の貼り付けをしたり、文章をコピペができたりするので、学んだことをまとめるときには欠かせないです」
3. 瀬川悟さん「AIを使いこなせる人材になる必要があると思います」
「授業中でも、スマホをよく使います。高等専門学校に通学していることもあって、学校自体が積極的に生成AIを活用していこうという方向性なんです。情報工学を専攻していることもあって、プログラムを書くときにも、ChatGPTなどのツールを使うこともあります。
ぼく自身、いまよりももっとAIが発展していく未来を見据えていて、AIを使いこなせる人材になる必要があると感じています。なので、スマホなどのデバイス機器を授業で使用することは、これからの学びにとって重要なことだと思っています
4. スティーン・カレンさん「授業中のスマホは学校とプライベートが混在しそう」
「自分のスマホは使わず、学校で指定されたタブレットを使っています。授業中にスマホを使うと、学校とプライベートが混在しちゃう気がして。あとはタブレットのほうが、画面が大きくて記入がしやすいので、授業を受けるときにには便利です。
ただ、タブレットは大きいので、スマホのほうが持ち運びには楽だと思うし、どちらも一長一短なので、授業でもスマホが使えたほうがいいという気持ちも理解できます」
5. 金谷来音さん「スマホは身近な存在なので、文章をつくりやすいです」
「授業の振り返りなどをするときに、スマホを使っています。ノートに書くよりも、スマホで文字を打つほうが楽だなと感じたり、普段から手元にあるものなので、スキマの時間などをつかって、効率的に作業しやすいです。
家に帰ってからも、スマホを使って復習をしたりします。必要なときにすぐに取りかかれて、しかも継続しやすいところが、スマホ学習のいい点だと思っています」
授業中はスマホは禁止されているかと思いきや、時代はどんどん進んで、スマホを活用しながら授業を受けているという10代も多くいました。また、タブレット端末を使って、共同編集ができるツールや振り返りノートの作成など、効率的な学習につなげていることがわかりました。ツールを使いこなすのが普通のことだからこそ、AIに理解を深めるなど、差別化をめざしているというのも、現代の10代ならではの感覚なのかもしれません。
Photo:Eri Miura、Nanako Araie
Text:Serina Hirano