interfm(TOKYO:89.7MHz)で放送中のラジオ番組「CLUB CEO」(毎週日曜日6:30〜7:00)。ビジネスの第一線で活躍する経営者をゲストに迎え、その事業内容に迫りつつ、新しい価値観をもつZ世代と対話をしながら、これからの社会や経営について一緒に考え学んでいくラジオプログラムです。
この番組に登場するZ世代は、以前、「気になる10代名鑑」に登場してくれた10代の方々。Steenzでは、番組を聞き逃してしまった人たちに向けたテキストコンテンツと、放送には乗らなかった独自のスピンオフコンテンツを展開していきます。
先週に引き続き、ゲストは株式会社エアークローゼット代表取締役社長の天沼聰さん
五十嵐:「CLUB CEO」のゲストは、先週に引き続き、洋服のサブスクリプションサービスで注目を浴びる、株式会社エアークローゼット代表取締役社長の天沼聰さんです。またZ世代からは、放送大学2年の尼崎双葉さんと、慶應義塾大学環境情報学部の宮沢桜太朗さんにお越しいただきました。
Z世代の”死生観”と”エシカル”…天沼社長はどう受け止める?
五十嵐:先週の放送では、天沼さんから「セレンディピティー」や「時間的価値」についてのお話がありました。尼崎さんは「生きることと死ぬこと」についての学問である「死生学」を学んでらっしゃるそうですが、共通するところもあるんじゃないですか?
尼崎:そうですね。死生学は、自分の中で死を捉えることによって、生をどのように充実させるか、時間的価値をどのように高めていくかについて考える学問でもあるので、共感できるところがありました。
天沼:私が小学生のときに、すごく大好きだった父が、目の前で他界してしまったんです。それによって、死は訪れるものだというのを強制的に知りました。だから、人生何が起きてもおかしくないし、いま、この時間をいかに大切にするのかを考えることは、私もすごく大事だと思います。
五十嵐:広報の方からも、「天沼さんは常にいまを大切にしながら生きているんです」みたいなお話を伺いました。やっぱり日ごろから心がけていらっしゃるんですね。
天沼:そうですね。過去は過ぎ去っていくし、未来はまだ訪れていない。だからいまこの瞬間、自分たちができる最大限のことをする以外、選択肢はないのかなと思ってます。これがある種、自分の人生の死生観みたいなものになっているかもしれません。
尼崎:語られる言葉、ひとつひとつにすごく響きがあって、本当に日本語がお上手だなと思いました(笑)。
天沼:ありがとうございます(笑)。Z世代の方々にお話を聞いていただく機会はなかなかないので、私も嬉しいです。ところで宮沢さんは、どうしてエシカルファッションに携わろうと思ったんですか?
宮沢:中学生のときからファッションデザイナーになりたくて、親に買ってもらったミシンで服をつくって、友達にあげたりしていたんです。でも、高校生のときにロンドンに留学して、たまたまファストファッションのお店の前でデモしている様子を見かけて。
店員さんとお客さんが押し合っている姿を見て、「自分がなろうとしているファッションデザイナーという仕事は、もしかしたら環境に悪い影響を与えてしまうかもしれない」と思ったのがきっかけです。
天沼:地球環境だけではなくて、人類がほかの生物とどのように共存していくのかは、必ず考えていくべきだと思うので、宮沢さんにはすごく共感します。
宮沢:最近だと消費者側にも、環境に配慮している商品を選ぶような風潮が出てきていると思います。僕自身もそうですし。
天沼:でも、業界の中で「サステナビリティ」というキーワードが、多く出てくるようになった一方で、日本人の消費行動の中で、サステナビリティやエシカルが重要視されているかというと、まだまだだなという印象が強いですね。欧米だと、金額が少し高くても環境に配慮した製品を選ぶ人が多いけど、日本では似たような製品だったら安いほうを購入する人が多い気がします。
最近では、化学繊維はリサイクルができるので、環境負荷が必ずしも高いと言えない側面もあって、天然繊維のほうがエシカルとして優位かというと、そんなこともないかもしれないと言われてきています。いまはまだ、消費者それぞれが本質を捉えて、何をよしとするのか、いろんな情報を見ながら考える過渡期なんじゃないかなと思います。
「好きなことを仕事に」Z世代と天沼社長に共通する仕事観
五十嵐:逆に天沼さんから、Z世代に聞いてみたいことってあります?
天沼:いま、新型コロナウイルスが流行っていますけど、これって人類にとってすごく大きな出来事で、転換点になると思うんです。これを経て「仕事をする」とか「働く」ということに関して、「今後こうなるんじゃないか」「こうなってほしい」みたいな願いとか、あったりしますか?
尼崎:例えば「アーティストになりたい」とか「お洋服を作りたい」とか、それぞれみんなやりたいことがあると思うんです。でも生活を安定させるために、時間を割いてアルバイトすることを余儀なくされたり、やりたいことに当てる時間がなくなってしまっている人もいると思うんです。だから、やりたいことに対して、支援をしてくれるようなクラウドファンディングが、一般的に広まっていけばいいなと思います。
天沼:面白いですね。クラファンって、事実上集まっているのは「お金」だけど、実はみんなの「共感」が集まっているんですよね。
宮沢:僕も去年、クラファンやりました。失敗してしまったんですけど(笑)。
五十嵐:ちなみにどんなことをしたんですか?
宮沢:地方に僕の親戚の家があったので、そこにみんなが集まれるシェアハウスをつくろうと思ったんです。うまくいくときもあれば、そうやって失敗するときもあるんですよね。
五十嵐:そうですよね。
宮沢:それで言うと、これからもっと、みんな地方とかに分散していくんじゃないかなというふうに思っていて。知り合いの人で、サラリーマンを辞めて、長野県でめちゃくちゃでかい古民家を月1万円で借りて、古着屋さんをやって、毎日踊って暮らしているみたいなおじさんがいて(笑)。僕も、生きていくために時間を使ってバイトでお金貯めるとか、そういうことをせず、本当に自分が好きなことをやるために働いていきたいなという考えです。
五十嵐:好きなことをやるためにか。昔だと大企業に就活生が殺到していたけど、そういうような働き方じゃなくなるかもしれないなという感じですか?
宮沢:そうですね。働くという概念が、遊びと融合しちゃっている感覚はあって。やりたいことをやってる企業があったら、そこに就職すればいいし、なかったら自分でやればいいしという発想ですね。
天沼:たしかにそれは本質にあるかもしれないですよね。私たちの会社も新卒の仲間がいますけど、やっぱり声を聞いていると、サービスそのもの以上に、会社がどういうことを考えているのか、思っているのかみたいなところに共感して来てくれている人が多いんですよ。昔は事業内容や会社の積み重ねてきた経歴が重視されていたのかもしれないけど、それが変わっていっているなという印象はありますよね。
五十嵐:まさに桜太朗さんが言った、仕事とプライベートの境目がなくて、仕事も楽しいみたいな感覚ですよね。実際、天沼さんも、「趣味=仕事」なんじゃないですか?
天沼:多分、そうですね。仕事のことを考えているのが楽しいですから。仕事の時間も、全部私たちの人生じゃないですか。全部の時間楽しむことで、人生が豊かになっていくんじゃないかなと思って、瞬間瞬間を過ごしています。
五十嵐:いろんな意味でポジティブになれますね。天沼さん、そして尼崎さん、宮沢さん、今日はありがとうございました!
CLUB CEOアフタートーク
Steenzだけの限定コンテンツとして、「CLUB CEO」の放送では聞けない、収録後のアフタートークを公開しています。放送とはひと味違う、Z世代のパーソナルな悩みや、活動に対するリアルな課題感を、ゲスト経営者にぶつけています。放送には乗せられない、ココだけの話が飛び出すかもしれません。
5月15日放送回のゲストCEOは、Netflix マーケティング ディレクター(日本・中国語圏)の稲本弾さんです。radikoでは、タイムフリーで聞くことができます
番組概要
番組名:CLUB CEO
放送局:interfm(TOKYO:89.7MHz)
放送日:毎週日曜日 AM6:30〜7:00
ナビゲーター:五十嵐彰(株式会社CMerTV代表取締役社長)
番組ホームページ:https://www.interfm.co.jp/clubceo