
「気になる10代名鑑」の960人目は、長谷川美晴さん(19)。貧困による教育問題にアプローチするべく、大学でNPO運営やソーシャルビジネスについて勉強しています。今年は所属する空手部の活動とも両立させながら、ボランティアにも参加していきたいと話す長谷川さんに、その原動力について詳しく聞きました。
長谷川美晴を知る5つの質問
Q1.プロフィールを教えてください
「慶應義塾大学総合政策学部に所属し、子どもたちが貧富に関わらず夢を持てる世界を実現するために、自分にできることを模索しています。
特に考えているのは募金のような間接的な支援ではなく、10代である私たちが直接的に関わりながら支援できるシステムや環境づくりです。大学でもNPOやソーシャルセクター、ソーシャルビジネスの運営について勉強しています。
なかでも印象的だった講義は、疑似的にNPO団体を設立して運営するというもの。将来のビジョンが持てない子どもたちに夢を見つけるきっかけを提供する団体をつくるべく、少人数グループを組んで定款や予算案まで考えて、職場見学やサマーキャンプを企画しました。実際にNPOを運営する気持ちで取り組んだので、資金のやりくりや書類の作成など、現実的な難しさを感じられて、とても勉強になりました」
Q2.活動を始めたきっかけは?
「高校2年生の時に、フィリピンのセブ島に短期留学したことがきっかけです。いちばん衝撃だったのは、道路の隅で子どもが寝ていたこと。車に乗っていると、5歳くらいの子どもたちが水を売るために『窓を開けて』と言ってきたんです。わたしよりもずっと幼い子が、生活のために働いている。恵まれた環境で育ったわたしにとって、貧困の連鎖をまざまざと思い知ったあの光景は忘れられません。
日本では募金であったり、ペットボトルキャップの寄付によってワクチンを支援できたりする制度があります。でも、現地の様子を見て、問題の対処ではなく原因の解決にも、もっと力を入れるべきなのではないかと感じました」
Q3.活動をしている中で、印象的だった出会いは?
「慶應義塾大学に入学し、NPOや社会問題を扱っている授業に参加することで、ボランティア団体を設立したり、会社経営をしていたりと、経験豊富で実行力のあるひとたちと出会って、自分の世界が広がりました。
それに触発されたことで、『こんなことをしてみたい』『こんなことをいっしょにやりたい』と声に出せるようになったと思います。大きな夢を追っかけていいんだと気づくきっかけになりました」
Q4.最近、新しく始めた挑戦はありますか?
「この春から、フィリピンの子どもたちを支援するボランティア団体に入りたいと考えています。3歳から空手をやっていて、大学でも空手部に所属し、いまも週6日で活動しているのですが、この1年で部活もボランティアも両立していけるという自信がついたので、チャレンジしたいと思います。
あと、最近はソーシャルビジネスや経営学について学ぶ機会を増やそうと意識しています。近い将来、社会問題の解決に取り組む会社を起業してみたいと思っていて。ビジネスでありながらも、お金のためだけに動くわけではないというかたちを実現したいんです。そのためにも、資金などの現実的な問題に対処できる知識をつけたいですね」
Q5.将来の展望は?
「貧困による教育格差を解消し、10代が堂々と自分の夢を語れる社会をつくる人間になりたいです。社会ではいまだに、挑戦をすることに対して批判的な意見があったり、安定した道を選ぶべきという『普通』を求められたりすることが多いと思います。わたし自身、大学生なんだからもっといまのうちに遊んだらいいのに……と言われたこともあったし、就職活動に敏感な世の中だなと感じることもあります。『現実』や『普通』を気にする前に、そもそもその言葉の定義ってなんだろうと聞きたいです。
そういった意見を気にして、行動しにくくなってしまった子どもたちに、いろんな選択肢があるんだという夢を与えたい。どんな道に進んでも、この軸だけはブレないようにしていたいと思います」
長谷川美晴のプロフィール
年齢:19歳
出身地:京都市西京区
所属:慶應義塾大学総合政策学部
趣味:お菓子作り
特技:空手
大切にしている言葉:Going My Way
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Photo:Kaori Someya
Text:Yuzuki Nishikawa