
「気になる10代名鑑」の939人目は、陽詩さん(18)。友人と立ち上げた『Know Your Worth』というプロジェクトに取り組み、セルフケアやメンタルヘルスに関する情報を発信しています。アメリカと日本の文化のギャップに悩んだことが活動のきっかけになっていると話す陽詩さんに、活動について詳しく伺ってみました。
陽詩を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れていることは?
「中学時代の友だちと取り組んでいる、セルフケアとかメンタルヘルスについて発信する『The Know Your Worth Project』です。活動を始めたのは、それらをもっと身近なものにしたいという想いから。いまはInstagramを通じて情報発信をおこなっています。投稿のひとつひとつを通じて、わたしたち自身も学びを深めていっているようなかたちです。
あとは、『CFF ジャパン』というボランティア団体で活動しています。過去には、マレーシアの子どもたちを支援するプログラムに参加したり、最近も能登半島の災害支援に行ったりしました」
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Q2. 活動をはじめたきっかけは?
「小学校4年生から中学2年生まで、アメリカに住んでいたんですけど、当時は自己表現が得意なアメリカ人の影響もあって、最大限に自分をアピールすることができていました。
でも、日本に帰ってきたら、あらゆることで他人と自分を比べてしまって……。自己否定に陥ってしまったんです。日本人の謙虚さというか、自己アピールに消極的な雰囲気や、同調圧力に影響を受けていたんだと思います。次第に、精神的に不安定になってしまって。
でも、友だちに少しずつ悩みを打ち明けていくうちに、心が軽くなっていったし、みんなもそれぞれ悩みを抱えているんだってことに気がついたんです。メンタルの問題って、ちょっと話しにくいテーマじゃないですか。でも、そこを一歩踏み出して、対話するきっかけになるものを作りたいという想いで、活動を始めました」
Q3. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「高校2年生のとき、マレーシアの『子どもの家』という、いろんな事情で親元で暮らせない子どもたちが住む施設でボランティアをおこなったときのことです。
子どもたちはもちろん、日本人の参加者や現地のボランティアのひとなど、いろんな出会いがありました。当然普段はそれぞれ違う生活をしているのに、いっしょに泣いたり、笑ったりして本当に幸せな時間だったんです。それができたのは、もちろん言語とか文化の壁はあるけど、お互いを尊重し合って、心から素直に受け入れる環境があったからなのかなって思います。その日々を通じて、もっとこうなりたいっていう自分を思い描けるようになった気がします」
Q4. 活動を通して、実現したいビジョンは?
「これまでの経験から、メンタルヘルスの問題には、それぞれの地域や国の文化が、良くも悪くも影響していることに気がついたんです。だからこそ、いろんな国のひとが、互いの文化を理解しながら悩みを話せるようになればいいなと思っています。そうすれば、自分のメンタルヘルスについてより広い視点から考えられるし、新しい自分の発見にもつながるんじゃないかなって。
同時に、自分に対しても、他人に対しても優しくなれるような社会にしていきたいです。簡単なことのようで、実は意外とできていないんじゃないかなって思っていて。それぞれが一生懸命生きていることを認めあって、もっと精神的に支え合えるような世の中になればいいなと考えています」
Q5. 今後の展望は?
「今年の夏から、海外の大学に進学します。 Know Your Worthでの活動はこれからも続けていきたくて、いろんなひとが言語や価値観の違いを超えて、お互いに心から対話できるようなコミュニティにしていくことが目標です。
将来は、発展途上国の教育開発に携わりたいと思っています。地域のひとたちと協力しながら、学校に行けない子どもをなくしていきたいです。自分自身学ぶことが好きで、『学びたい』『知りたい』気持ちが活動の原動力になっています。だからこそ学びの機会を奪われている子どもたちのために、ワクワクするような教育を届けていきたいです」
陽詩のプロフィール
年齢:18歳
出身地:東京都
所属:国際基督教大学高等学校、The Know Your Worth Project
趣味:古本屋巡り、カラオケ、映画鑑賞、楽器演奏
特技:学びのきっかけを見つけること!
大切にしている言葉:Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever.
陽詩のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Fuka Hagai