「気になる10代名鑑」の846人目は、津上剣心さん(18)。大学で油絵を学びながら、作品づくりに取り組んでいます。「時間」と「重なり」を表現した作品などを生み出しながら、芸術の価値についても考えていきたいと語る津上剣心さんに、詳しい活動内容や影響を受けたアーティストについて、聞いてみました。
津上剣心を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「大学で油絵を学びながら、自分のペースで作品をつくっています。最近は、蜜蝋という画材にハマっていて。蜂蜜の余った部分から取った画材なのですが、ろうそくを溶かして垂らしたみたいに、マットな感じに光るんです。絵の一部に使うと、とても面白いです。
いまはインプットも大切にしていて、美術館とかギャラリーにも意識して行くようにしています」
Q2. 創作する上での、テーマは何ですか?
「時間と重なりの表現について、可能性を感じています。ひとつの画面に複数の情報を入れる、ということにすごく興味があって。高校2年生のころから描いていた絵を、どんどん重ねていって、ひとつの作品をつくりました。重ねた絵は全部で117枚あるんですけど、重ねることでどんどん進化していく様子が好きです。
線についてもこだわりがあります。高校のときから、クロッキーという、ササッと何かを描くっていうのをやっていたんですけど、2年間で50冊くらい描いていたら『絵っていうのは、そもそも、線でできているんだ』と考えるようになって。それから、線で描く、ということにこだわるようになりました」
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Q3. これまでに影響を受けた出会いはありますか?
「大竹伸朗さんの展示で『スクラップブック』という手法の作品を観たとき、衝撃を受けました。新しいものを観せられた気がして、驚きとともに、悔しさも湧いて。『自分が先にやりたかった』って。笑
紙とかゴミとかいろんなものをスクラップブックにくっつけて、最後に油絵で塗ってひと晩置いた作品なんですけど、いい意味で、こんなものがあっていいのか! と思わされました。複数の絵を重ねる手法は、いま思うと、この作品に影響を受けているのかもしれません」
Q4. 最近、始めたことはありますか?
「美術作品の価値みたいなのを考えはじめています。
展示会やギャラリーで、有名なアーティストから無名の学生のものまで、いろんな作品を見てみると、やっぱり差があるなと感じるんです。美術館に飾られている作品と、 趣味の延長でつくられた作品は全然違っていて、すべての作品に、同じ価値があるわけではなくて。その差って何だろうかと、考えているところです。
自分の作品を見てもそうで。いまは価値がない作品を、どうしたら価値があるものとして世の中に証明していけるか、模索中です」
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Q5. 将来の夢は?
「ドイツに行くのが夢です。
ドイツは現代アートが盛んな国で、芸術が政治にまで影響してしまうくらいなんです。好きなアーティストの方々も、ドイツで活躍している人がたくさんいて。そんな本場の芸術を肌で感じて、作品に活かせたらいいなと思います。
そうやって自分の作品の価値を模索しながら、絵を描き続けていきたいです」
津上剣心のプロフィール
年齢:18歳
出身地:神奈川県相模原市
所属:多摩美術大学 絵画学科油画専攻
趣味:でかける、嘘つく 、ビーチコーミング
大切にしている言葉:変
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Photo:Nanako Araie
Text:Haruhi Hirayama