タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回のテーマは「AI活用方法」。AIが身近な存在となり、日常生活にも取り入れられるようになってきました。『ChatGPT』などのAIチャットサービスや、AI画像生成など、さまざまなツールが登場するなかで、情報社会を生きる10代の若者たちは、どのようにAIを活用しているのでしょうか。どんな場面で、どのツールを使っているのか、また、AIを活用するときに工夫していることや、注意していることについて詳しく聞いてみました。
1. 松澤智朗さん「壁打ち相手には『ChatGPT』を、イメージ画像はAI画像生成を使っています」
「AIには、積極的に触れるようにしています。新しいものに手をつけずに毛嫌いするのは、可能性を狭めるだけだと思っていて。
AIについて勉強していると、奥が深いなって感じます。実際、ブレストしたいときに、壁打ち相手として『ChatGPT』を相談相手にすることがあります。イメージしている画像が見つからないときには、画像生成AIにお願いをして、イメージと一致したものを生成してもらうことも。幅広く活用していきたいです」
2. 秀島知永子さん「メールやコンテストの文章を考えるとき、AIを活用しています」
「メールやコンテストの文章を考えるときに、生成AIを使っています。AIを使うことで、作業効率が格段に上がって、文章のアイデアや構成をよりスピーディーにできるんです。限られた時間の中で、役に立ってくれています。
ただ、画像生成AIはいろいろなものを試していますが、なかなか期待しているものにならなくて。たとえば、くっきりした線のイラストが欲しいのに、イメージ通りのものにならない、みたいなことが多くて、あまり使っていません」
3. 手島美月さん「AIには依存しすぎず、いい距離感で付き合っていきたいです」
「レポートの誤字脱字を確認してもらったり、企画が行き詰まったときに『ChatGPT』にブラッシュアップを手伝ってもらったりしています。ただ、AIに頼りすぎず、自分の考えにちょっとだけアドバイスをくれる存在として、うまく付き合っていくことが大事だと思っています。
せっかく企画やアイデアを考えられる自分の頭があるからこそ、とことんフル活用して、たまにアシスタントとして使うくらいの距離感がちょうどいいのかも。これから、どんどん発達していきそうですが、依存しすぎず、いい距離感で付き合っていきたいです」
4. 棚澤直さん「AIは、自分だけでは気づくことができない新しい視点を教えてくれます」
「障がい者と健常者の二元論的な考え方に対する社会問題を課題に活動しています。アイディアを出す際などに『ChatGPT』を利用しています。例えば、イベント会場のバリアフリー化について考えたいときは、身体障がい者の方、高齢者、妊婦さんなどが会場へ着くまでの道中で、障壁に感じていることなどを相談しています。
普段とは違った視点で見ることができて、新しい発見に気がつくことができるんです。ほかにも、一般的な知識や情報についても、AIのおかげで手軽に知ることができて、重宝しています。
ただ、AIだけでは見えないこともあるので、あくまでも補助として使うようにしています。実際に当事者の方々の声を聞くことが、何よりも大事。それだけは、忘れないようにしています」
5. 松澤光春さん「AIを使うときは、プライバシーの取り扱いに注意しています」
「文章を作成するときや、翻訳、情報検索に生成AIを活用しています。また、学校の勉強でも、答えが分からないとき『ChatGPT』を使って途中式を調べたり、なぜこの解答になるのかを聞いたりしています。ただ、たまに間違った情報も出てくるので、複数のツールを駆使しながら、クロスチェックをするようにしています。
あと、生成AIを使うときには、プライバシー管理についても気を付けています。個人情報などの情報漏洩のリスクを避けるために、入力内容には十分注意していますね」
文章作成や画像生成だけでなく、企画やアイディアを考える際の壁打ち相手や、作業効率アップ、新しい視点を得るためなどにも、生成AIを使っているようです。
一方で、AIに頼りすぎないように気をつけて、自分のアイディアや実際の声を大事にする姿勢の大切さも実感しているようでした。プライバシーや情報漏洩にも配慮しつつ、AIといい距離感で付き合おうとしている10代たち。こうした慎重な姿勢を見習いながら、かしこく活用していきたいですね。これから増えていくAIツールをどう使いこなすか、引き続き注目していきたいです。
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano