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オール・インクルーシブな社会の実現をめざして。海外でもランウェイを歩いたモデル兼イベントプランナー【棚澤直・17歳】

オール・インクルーシブな社会の実現をめざして。海外でもランウェイを歩いたモデル兼イベントプランナー【棚澤直・17歳】

気になる10代名鑑の751人目は、棚澤たなざわ なおさん(17)。同世代を中心にインクルーシブな社会の実現について話し合うイベントを主催するほか、インクルーシブをテーマに掲げるアパレルのプロジェクトに参画し、今年の4月にカナダ・バンクーバーで開催された『バンクーバーファッションウィーク』のランウェイを歩くなど、実績を重ねています。高校時代にファッションやメイクを興味をもったことが原点と語る棚澤さんに、活動に込めた思いやファーストアクションについて、詳しく聞いてみました。

棚澤直を知る5つの質問

Q1. いま、力を入れていることを教えてください。

ダイバーシティ&インクルージョンをテーマにしたイベントの企画や運営をしています。これまで、インクルーシブファッションの自主ブランド『SOLIT!』のモデルとして、ファッションショーに参加したり、イベント登壇をしたりしてきました。

『SOLIT!』は、日本とEUを活動拠点に展開していて、“東洋思想的なインクルーシブデザイン”や“多元性”というキーワードを大切にしています。

活動する中で、“マイノリティとマジョリティ”、“障がい者と健常者”のような二元論的な考え方に課題意識を感じるようになってきて。その違和感を同世代と共有し、解消していきたいと思っています」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

「ファッションやメイクに興味をもったのは、高校に入学したことがきっかけ。今年の4月で高校は中退したのですが、女子生徒が多い学校で。隣の席で当たり前のように女子がメイクしている姿を見るのや、いっしょにファッションのことを話している時間が好きでした。

それまではずっとサッカー少年で、ファッションやメイクと無縁な人生だったんですけど、自分を好きになるために努力をしている姿が、キラキラして見えて。憧れのような気持ちがありました。

『SOLIT!』を紹介してくれたのは、友だちのお母さんで。もともと自分がジェンダーレスファッションやメイクに興味をもっていたこともあって、こんなブランドがあるよ、と教えてもらいました。調べてみると、ちょうど下北沢でPOP-UPをしていたので、行ってみたらいまの活動につながりました」

 

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Q3. 活動におけるファーストアクションは?

『SOLIT!』でボランティアを始めたことです。POP-UPのボランティアスタッフというかたちで参加するようになって。基本的には、アパレルショップの接客なのですが、『SOLIT!』にはいろんなお客さんがいらっしゃるので、身体障がいを持った方の試着のお手伝いなどもします。POP-UPでお店に立っていると、いろいろな発見があります。

あるとき、車椅子に乗られたお客さまがいらっしゃって、履いていたスカートを褒めていただいて。すごく嬉しかったけど、同時に、過度に気を遣ってしまったり、壁をつくってしまっていることにも気付かされました。

フラットな価値観をもっていると思っていたんですが、実際に障がいのある人と接することで、考えが深まることが多いです。お客さんからのひと言で、オールインクルーシブな社会のあたたかさのようなものを体感したことを、鮮明に覚えています」

 

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Q4. 活動を続けている中で、印象的だった体験は?

『SOLIT!』が、バンクーバーファッションウィークに出展したとき、モデルとしてランウェイを歩かせてもらったことです。このショーは、文化多様性の大きな都市であるバンクーバーで、“多様性”をテーマに開催されているんです。

モデル経験もなければ、これが初めての海外だし、初めてのホームステイという、初めてづくしのチャレンジでした。さまざまな国籍の人が行き交う街で過ごした2週間は、いろんな刺激を感じることができた、とっても有意義な時間になりました。たくさん練習をして、無事にランウェイを歩くことができました!」

Q5. 最近、新しく始めた挑戦は?

体験型のワークショップ『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』へ行ったことのない友人同士を連れて行って、体験後に感想をシェアする企画を始めてみました。ワークショップでは、暗闇空間に入り、視覚障がいをもつ人に案内をしてもらいながら、さまざまな体験をして対話を楽しむことができるんです。初対面、かつ目が見えないという非日常な状態でなされる対話は、相手の外見や属性などのラベルがない状態で話をすることができるので、フラットな関係を築くことができます。

最初はひとりで行っていたんですが、最近はいろんな友人も連れて行っていて。こういったエンタメという切り口から、ダイバーシティについて考えるきっかけをなるのは、すごくいいことだなと思っていますし、障がいを持っている人や他者への関わり方も見つめ直すことができると思います。

ダイバーシティ&インクルージョンって、目に見える成果が出にくいテーマなので、実感が湧きにくいのが難しいところ。でも、だからこそ草の根的な活動を通じて、興味をもってもらうきっかけをつくることが大事だと思っています」

棚澤直のプロフィール

年齢:17歳
出身地:東京都世田谷区
趣味:サウナに行くこと、本を読むこと、音楽を聴くこと
大切にしている言葉:でも踊るしかないんだ

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Photo:Nanako Araie
Text:Ayuka Moriya

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Ayuka Moriya

エディター

1999年生まれ、秋田県出身。東京外国語大学 国際社会学部在学時よりライター・エディターとして主にインタビュー記事の執筆、ディレクションに携わる。Steenzでは、2021年ローンチ当初より「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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