「気になる10代名鑑」の695人目はまほさん(18)。小学6年生から世界の貧困問題に向き合い続け、高校時代に単身でフィリピンを訪ねた経験をもとに、貧困問題と教育格差の解消に焦点を当てて活動しています。将来はそれらの問題をビジネスの力で解決したいと語るまほさんに、活動をするときのファーストアクションや今後の展望について詳しく聞いてみました。
まほを知る5つの質問
Q1. いま、力を入れて取り組んでいることを教えてください。
「キャリア教育団体に所属していて、貧困と教育格差のない世界を実現させるための勉強と活動をしています。
きっかけは学校の授業。小学6年生のときに、貧困と教育の問題に興味をもちました。いまは、実際に訪問したフィリピンや、日本の貧困と教育格差をビジネスで解決する方法を模索しています 」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「高校生のときに、自分ひとりでフィールドワークとしてフィリピンに行って、中国人墓地スラムと水上スラムを訪れたんです。 もともと本などでフィリピンの貧困の現状について調べてはいましたが、実際にスラムの状況を目の当たりにしたときに、強い衝撃を受けました。
スラムに住む人と対話する中で、幸せとは何かっていう話になったんです。そうしたら、『体が丈夫で、住める場所があって、今日生きられるお金があることが幸せ』と言っていて。その言葉で、日本とフィリピンの幸せに、大きなギャップがあることを痛感して。
それに、フィールドワークをするなかで、物乞いや物売りをしている現地の子どもたちにも何度も遭遇しました。子どもがこうしなければ明日が保証されない毎日を生きているという現実が印象強くて、心に残っています。その日から、本気で教育と貧困問題の解決に携わろうと思うようになりました」
Q3. 活動を始めるときのファーストアクションは?
「フィリピンの貧困と教育にまつわる情報はとても少なくて、最初は知りたいことがあるのに、それを調べられない状況にすごく悩んでいたんです。でも、ジェトロ・アジア経済研究所図書館の存在を知ってからは、文献をたくさん見つけることができたので、東南アジアまで範囲を広げて、ひたすらに本を読みました。
なので、高校生になるまでは、貧困について机の上で調べるだけで、行動には移せていなかったんです。でも、勉強を進めるうちに、どうしても自分の五感を通して貧困を知りたい!と思うようになり、一人で現地に足を運ぼうと決意しました」
Q4.活動をする中で、つらかったことは?
「真剣に社会問題に向き合っていても、まわりの人に、自分の活動や考えを理解してもらえず、否定されたり、応援してもらえなかったりするのが、つらかったです。友達にフィリピンに行ったときの話をしても、『それって何のためになるの?』『時間の無駄じゃない?』『社会問題を解決して、お金を稼げるの?』と言われることもありました。
それでも、現地の人と面と向かってコミュニケーションをとったり、現地のコミュニティに入り込む経験が、これからの自分にとって必ず大事な経験になると思って、地道に活動を続けています」
Q5. 今後の展望は?
「将来の夢は正直まだ決まっていません。まずは、フィリピンの貧困についてのアクションを続けながら、自分が生まれた日本の社会問題、具体的には教育格差や貧困問題について研究をして、博士になるまで勉強を続けたいです。そこで得た知識や経験、コミュニティを、世界中の貧困や教育格差問題の解決に生かしていきたいと考えています。
最終的には、生まれた国や家庭環境に左右されずに、何かを学びたいと思っている人たちが、同じスタートラインに立って勉強ができる、そんな世界をつくりたいです」
まほのプロフィール
現在の年齢:18歳
出身地:千葉県柏市
所属:成城大学、エシカル研究会
趣味:野球観戦
特技:お菓子づくり、本の速読
大切にしている言葉:万事塞翁が馬
Photo:Eri Miura
Text:Mizuki Maeda