Steenz Breaking News

リサイクル率日本一を14回達成!鹿児島県大崎町の「ALL COMPOST PROJECT」で広がるコンポストの輪【Steenz Breaking News】

リサイクル率日本一を14回達成!鹿児島県大崎町の「ALL COMPOST PROJECT」で広がるコンポストの輪【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、鹿児島県大崎町から広がるコンポストを活用した取り組みについてご紹介します。

世界で広がるコンポストの動き

わたしたちの暮らしに馴染みつつあるリサイクル。さまざまな取り組みがありますが、その中でも近年は、コンポスト(堆肥化)への注目が高まっています。Steenzでも以前、フランスにおけるコンポスト義務化のニュースをお伝えしました。

フランスで2024年1月から生ごみの堆肥化が義務に。世界中で広がる有機廃棄物の活用の動き【Steenz Breaking News】
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https://steenz.jp/23022/

また日本各地でも取り組みが始まっており、自治体によっては、コンポストの購入費用に対する助成制度を制定している地域もあります。

リサイクル率日本一を14回も達成した鹿児島県大崎町

鹿児島県の大崎町でも、1998年に、あと数年でごみの埋立処分場が満杯になるという事態に危機感を抱き、コンポストを活用したごみの分別とリサイクルが開始されました。いまから20年以上前のことなので、とても早いアクションであるといえそうです。

大崎町に暮らす住民たちは、ごみを出す際、容器についた汚れをしっかり取り除いて、種類ごとに分別。その後、企業が回収し、さらに細かく分別します。なかでも、ごみの60%以上を占める生ごみや草木は、有機工場に運ばれて、半年以上かけて堆肥化されるそうです。

コンポスト以外にも、缶・びん・ペットボトルからスタートしたごみの分別・回収は、現在では27種類まで増え、リサイクル率が83.1%まで上昇しました。埋立処分場の寿命も40年ほど延び、リサイクル率日本一を14回も達成しています。このような背景もあって、現在、大崎町の取り組みがかつてなく注目されているのです。

それを背景にした新たな試みとして、2023年6月より「ALL COMPOST PROJECT」という取り組みも始めています。

県を越えて広がる「ALL COMPOST PROJECT」

「ALL COMPOST PROJECT(オールコンポストプロジェクト)」は、鹿児島県大崎町のリサイクルの仕組みを参考にして、生ごみ堆肥化のノウハウや実証実験の機会を提供する取り組みです。、プロジェクトに参加している自治体は、長崎県対馬市と静岡県西伊豆町です。

2023年7月から参加している長崎県対馬市は、ひとりあたりの年間ごみ処理経費が高額であることや、処理後の灰の取り扱い、さらに漂着する海ごみ問題など、離島ならではの悩みを抱えていました。「ALL COMPOST TSUSHIMA」では、大崎町SDGs推進協議会が現地を視察し、対馬市の行政担当者と打ち合わせを実施。2024年2月17日には「対馬生ごみセミナー2024~生ごみの捨て方を変える、対馬の未来を変える~」を開催するなど、取り組みを進めています。

また2023年9月から参加した静岡県西伊豆町は、古くからカツオ漁などで栄えた町です。これまで、地域内で大量に出る、魚のアラの対策に悩んでいました。そのような背景もあり、「ALL COMPOST NISHIIZU プロジェクト」と題し、魚のアラや家庭から出る生ごみの堆肥化実証実験を開始。2024年3月21日には「みんなの生ごみフェス」を開催し、実証実験の報告やできた堆肥を使った寄せ植え体験なども行ったそうです。

家庭から出た生ごみを堆肥化し農家に届ける自治体も

他にも、コンポストを活用した取り組みを進めている自治体は存在します。

神奈川県座間市は、小田急電鉄株式会社と協力し、2022年7月から「フードサイクルプロジェクト」を進めています。このプロジェクトでは、各家庭にバック型のコンポストを配布し、生ごみを堆肥化させ、市がそれを回収します。その堆肥は、市内の農家や市民農園などに届けられ、農作物の栽培に活用してもらうのです。

令和5年度は281世帯が参加し、3,914㎏の生ごみが集まり、その堆肥を活用して、ジャガイモやダイコンなどが栽培されたそうです。

世界的にも注目が集まるコンポスト

このようなコンポストの取り組みは、世界的にも注目が高まっています。2024年1月1日から、家庭から出る生ごみや草木などのコンポストが義務化されたフランスに限らず、ヨーロッパのさまざまな国々で、有機廃棄物の分別が自治体レベルでおこなわれています。

さらに、アメリカのカリフォルニア州では2022年から、韓国においては2013年から、コンポストが義務化されています。制度の内容や仕組は国や地域によって差がありますが、世界全体で導入が進められているのです。

生ごみや二酸化炭素排出量の削減につながるだけでなく、おいしい野菜やフルーツに生まれ変わり、好循環を生み出すコンポスト。環境と人の両方にメリットがあるため、これからますます活躍の場が増えていくでしょう。座間市の取り組みで使われたバック型コンポストのように、手軽に挑戦できるタイプもあります。「難しそう」や「準備が大変そう」という理由で踏み出せずにいるのであれば、これを機に試してみてもいいかもしれません。

References:

France implements compulsory composting. Here’s how it will help slash emissions|euronews.green
California goes to war with food waste. Composting is its next climate crusade|Los Angeles Times
South Korea has almost zero food waste. Here’s what the US can learn| Guardian News

Text:Yuki Tsuruda

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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