タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回のテーマは、「テキストコミュニケーション」について。最近では、文末につく「。」(句点)に対して、若者が威圧的に感じる「マルハラスメント」の存在を指摘する記事が話題になりました。SNSの進化でテキストでのやりとりが細分化しているいま、10代は「マルハラスメント」や、句点や絵文字を多用する「おじさん構文」「おばさん構文」と呼ばれるものについて、実際にどう感じているのでしょうか。4人のティーンに聞いてみました。
1. さなさん「悪気もないだろうし、怖いとは思わないけど、なんでこの絵文字なんだろう…と疑問に思うことはあります」
「おじさん構文は、送られたことが何度もあります。というのも、父からのLINEは、リアルおじさん構文なんです(笑)。父からのLINEには、語尾に顔スタンプがいくつもついていたり、びっくりマークがついていたりすることが多いです。
怖いというよりは『なぜこの絵文字や句点をつけたんだろう』と疑問に感じることが多いです。悪気はないと思うので、特に不快な気分を感じることはありません」
2. 今井智紀さん「ハラスメントとは思わないけど、句点があると冷たいなと感じるときはあります」
「仕事をしているので、年上の方とコミュニケーションをとることが多いのですが、たしかに文末に句点があると、冷たいなと感じることはあります。でもこの年上ってそういうものかなと思うし、そこまで気にしていないですね。それに仕事に関することだと、文章がそっけなくなったり、冷たくなったりするのは仕方ないとも思います。逆に、変に馴れ馴れしいほうがおかしいような気がします。
年上とのコミュニケーションは相手にもよりますが、僕自身が舐められない程度に意識していることが多いです。でも、距離を近づけるために、わざと子どもっぽく振る舞うこともありますね(笑)」
3. あべしょーさん「!だけでは伝わりきらない感情もあるので、絵文字を多用することも不快には思いません」
「句点で終わる文章に恐怖心を抱くことは特にありません。個人的な感覚ですが、おじさんと呼ばれる世代の男性はマル(句点)をよく使っていて、同じ世代でも、女性は絵文字をよく使っている気がします。
僕自身、最近まであまり絵文字を使わないでいましたが、『!』だけでは伝わりにくい感情があると知ってから、絵文字を使うようになりました。それだけで文章の雰囲気がやわらかくなる気がするので、絵文字を多用することも全然ネガティブに思わないですね」
4. 美羽さん「マルハラは感じたこともないし、聞いたこともなかった。日常的に句点を使うので、そう思われるのはちょっと困ります」
「世の中で言われている『おじさん構文』とか『おばさん構文』を見る機会は多いですが、それに対して嫌だと思うことはないです。『マルハラ』という言葉も聞いたことがなかったです。わたし自身、普段のメッセージでは、句点を使うことが多いので、それがハラスメントと思われかねないというのは困っちゃうなと思います。句点の件もそうですが、上の世代の方のテキストは、落ち着きや言葉の芯を感じさせるものがあって、わたしには心地いいです。
年上の方とのコミュニケーションで意識していることも特にないのですが、思い返してみると、なぜか上の世代にメッセージを書くときは、ニッコリマークを使う確率が高いことに気がつきました。メッセージをやり取りする中で、自然とそういうテンションになっているのかもしれません」
Steenzに出演してくれた10代にとって、いわゆる「おじさん構文」や「おばさん構文」で見られるような句点や絵文字が入ったテキストは、ネガティブに捉えられていないことがわかりました。何でもハラスメントにして現象化するのは、最近のメディアの傾向ですが、そういった表層的な情報に惑われず大切にするべきなのは、世代や年齢問わず、相手をリスペクトしたコミュニケーションなのかもしれませんね。
Photo:Eri Miura
Text:Ayuka Moriya