2023.09.26 Teen's Snapshots

オーストラリアで受けた双方向な教育を日本でも！『未来の授業』を提案する高校生【もも・17歳】

「気になる10代名鑑」の493人目は、ももさん（17）。オーストラリア留学で、生徒が積極的に参加できる相互的な授業を体験したことをきっかけに、日本の教育に疑問をもち、団体を立ち上げ運営しています。行動力を武器に、海外で開催するイベントなどでも積極的な発信活動をしているももさんに、活動のモットーや今後の目標を聞いてみました。

ももの活動を知る5つの質問

Q1. プロフィールを教えてください。

「日本の教育を変えたいという思いから、昨年の9月、『JPE』という団体を立ち上げて活動しています。目指しているのは、持続可能性のある教育。すでにある答えには、AIなどでもたどり着けるけど、答えのない問いに立ち向かっていくのは、人間にしかできない。それができるような力を養うことこそ、持続可能性のある教育だと考えているんです。

この活動を広げるために、複数の外部コンテストにも参加しています。これまで、『Change Maker Awards』の東京ブロックにて金賞を受賞して、全国大会で銀賞をいただきました。それと『全国高校生マイプロジェクトアワード』でも、地域サミット特別賞をいただいて。今年の夏には、シンガポールに赴き、Global Link Singapore でプレゼンテーションを行う挑戦もしました」

Q2. 活動を始めたきっかけは？

「オーストラリア留学での授業が、大きなきっかけです。

日本の授業は、生徒が座って話を聞いて、内容を覚えてテストを受けるというのが一連の流れですが、オーストラリアの授業は全然違っていて。先生が問いかけた話題に、みんながしっかり意見を持って、議論が自然に生まれる。一方的にただ話を聞いているという時間がなかったんです。

テストも、エッセイなど自分の生活に基づいて自分で考えるものが中心で、すごく驚いたのと同時に、実践的で楽しい学びができたっていう実感があって。同じくオーストラリアに留学した友達と振り返って話をしていたときに、『こういう授業のほうが楽しいよね』『日本の教育、変えたいよね』と意気投合したのが始まりで、その友達と団体を立ち上げました」

Q3. これまでの活動の中で、印象的な出会いはありますか？

「教育について研究している専門家の方にインタビューさせていただく機会があるんですけれど、その中でも、ニューヨーク大学で教育人文学を研究している菊田隆一郎さんとの出会いは大切なものになりました。

始めのうちは、『わたしたちはこういう授業をしたい！』という主張を、情熱的にしていたんです。でも菊田さんは『人によって教育の価値観は違う』という考えを教えてくださって。『わたし』だけではなく、もっと多くの生徒の意見を聞いて、寄り添った意見を出すことが、よりよい教育になるんじゃないかということに気づけたんです」

Q4. 活動をしていくうえで、大事にしていることはなんですか？

「行動力です！　これまで、省庁の方にアポイントを取ったり、海外で出会った方に声をかけたりしていて。やっぱりすごく緊張するけど、自分のやっていることをさらにステップアップさせて広げるためにも、話を聞かせてもらうために、自分から行動することって、大事だと思うんです。

7月の終わりに、シンガポールでプレゼンをして、そこで出会ったベトナムの方に自分から話しかけてみたんです。そうしたら、『こうしたらもっと良くなるんじゃない？』というアドバイスをもらえて。新しい発見になったし、自分のやってきた活動を評価してもらえて、自信にもつながりました」

Q5. 今後の展望を教えてください。

「いま挑戦しているのは、海外の学生とも密接につながる未来の授業をVRで再現するという企画です。文化祭で展示して、来場者の方に体験してもらおうと思っていて。いま考える、わたしたちの未来の教育の形を提示したいです。

将来的には、個人の自主性を伸ばす教育について、研究を深めたくて。日本の授業はどうして発言がしづらいのかを考えてみたとき、コミュニケーションをただ増やすではなく、もっと根本的な課題があると思っていて。日本人特有の集団心理や価値観、それらをふまえた意見の言いやすい環境づくりについて、もっと研究してみたいなと思っています」