「気になる10代名鑑」の402人目は、中村覚さん(19)。本のあらすじを動画で紹介するアプリ「scrap」の制作をはじめ、観光地紹介アプリ「minor」の制作や、自身で映画の脚本や文芸活動をすることも予定しています。そんな中村さんの活動に対する思いや、中村さんの思う本の魅力などについて深堀りました。
中村覚を知るための5つの質問
Q1. いま取り組んでいる活動について教えてください。
「本のあらすじを動画で紹介するアプリ『scrap』の制作に力を入れています。丁寧につくられた本を、丁寧に取り扱い、どこまで核心に触れるかなどを調整しつつ、ひとりひとりの琴線に触れる本を紹介したいという思いでつくっています。
現在は、アプリのデザインや、公開前のWEBサイトをつくったり、自分が書いたあらすじを基に、実際にアプリ内に載せたい本の紹介動画を編集したりしています。自分が主体となって、時代の流れやチームメンバーの考えなど、さまざまな局面を見極めながら進めています。とか言って、メンバーに助けてもらう場面ばかりですが(笑)。
それ以外にも、地元の人しか知らないおすすめスポットを掲載する観光地紹介アプリ『minor』の制作にも手をつけています。修学旅行に行ったとき、メジャーな観光地ばかりめぐって、もうちょっとマイナーな場所にも行ったら楽しかったんだろうなと思い、構想しました」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「小さいときから本が好きだったのですが、住んでいるところがけっこう田舎だったこともあって、なかなか地元の本屋さんだけでは、探している本に辿りつけなくて。もっとひとりひとりに合う本を見つけられる場所があればいいな、と思っていたことがきっかけです。
ただ、活動を始めるうえで決定的となったのは、12年間やっていたテニスで、テレビで全国トップクラスの選手を見たときに、絶対に敵わないと感じたことです。まったく違うスポーツをやっている感じで……。それ以降、中学校のころからものづくりに魅力を感じていたこともあり、アプリ開発事業や映像・演劇の制作にのめりこんでいきました」
Q3. 活動をする中で、悩みがあれば教えてください。
「ものづくりを事業にすることと、作品にとどめることの境目がつかみきれていないのが悩みです。ものをつくりたいという思いが根底にあるからこそ、境目が見出せなくて。
その問題が大きくて苦しむ一方で、それが楽しいとも思うんです。結果が出ていないとき、どれだけがんばれるかが大事だと思っているので、粘り強く、ひたすら耐えるようにしています」
Q4. 社会がこうあってほしいと思うことは?
「そんなに大層なことは言えないんですけど、人と技術のバランスがとれた社会になればいいな、と思っています。技術が発展しすぎて、生活がコンテンツであふれ返ってしまっても、疲れてしまいそうで……。頭も心も追いつけなくなってしまっている感覚があるんです。
その中でも本って、1冊読むのにかかる時間が長いので、ますます居場所を失っていっている気がして。本を絶対に読むべきだとは思わないけど、本を読むことで、日常のいろいろなことから離れて、心の余裕ができると思っています。だからこそ『scrap』が、いい本に出会えるきっかけになることができたら嬉しいです」
Q5. 今後の展望は?
「アプリの開発は続けますが、大学では小説や写真、映像を学んでいこうかなと考えています。高校の学校祭に向けて、演劇の脚本と統括をしたことがあって、大人数をまとめるのに苦戦して大変だったけど、自分はこういう創作が好きなのかなって思うようになりました。
すべてに共通するのは『人の役に立ちたい』『新しいものをつくりたい』というふたつのポリシーです。ひとまずは、大学で学ぶ予定の領域に近いので、本を取り扱う『scrap』に注力したいと思っています。ただ、その方面でどこまでいけるか、自分自身わからないので、走りながら考えていきたいです」
中村覚のプロフィール
年齢:19歳
出身地:北海道
趣味:本、映画、音楽
特技:書道
大切にしている言葉:深い谷を経験した人間にだけが高い山に登ることができる。(本田圭佑さんの言葉)
中村覚のSNS
この度 #makers_u18 に採択させて頂いたことを遅ればせながら報告させていただきます。
同期の方々よろしくお願い致します!!— Satoru Nakaura (@bini_2019) March 1, 2023
Photo:Eri Miura
Text:Ayaka Shinada