Teen's Snapshots

みんなで生きる世界をみんなでつくりたい。創設した会社の代表を退任し、未来に向けて動く【山口由人・18歳】

みんなで生きる世界をみんなでつくりたい。創設した会社の代表を退任し、未来に向けて動く【山口由人・18歳】

「気になる10代名鑑」の392人目は、山口由人ゆうじんさん(18)。「みんなで生きる世界をみんなでつくりたい」という思いのもと、イベントの主催や会社の創設を経験し、さらに幅広い領域にウィングを広げて、アクションを続けています。そんな山口さんの社会に対する思いや、忙しく活動をするリアルな姿を深堀りしました。

山口由人を知るための5つの質問

Q1. いま取り組んでいる活動について教えてください。

2019年に『Sustainable Game』という一般社団法人を創設し、昨年、事業継承をして、代表を退任しました。『Sustainable Game』は、未成年で運営するという体制を維持したいと思っているので、今度はOB・OGの人たちを束ねて、活動に還元できるように動こうとしています。

時期によって活動内容が異なる部分もあるんですけど、根幹には『中高生が社会問題を解決しやすい社会をつくりたい』という思いがあります。自治体や企業と、社会問題を解決したいという思いを持った中高生を、対等な関係でつないで、共創できるようにサポートしていく、ということをずっとやってきました。

具体的には、京丹後市と包括連携協定を締結するという取り組みだったり、社会問題解決に取り組む若者を取り上げるリアリティ番組『SPINZ』を制作したり、中高生と自治体や企業が繋がることのできるプラットフォーム『Flare』を開発したりしました」

 

Q2. 活動を始めたきっかけは?

「生まれた直後から11年間ドイツに住んでいて、日常的にシリア難民の人たちと接するような機会があったんです。日本に帰国したのが中学受験のタイミングで、ちょうどSDGsが話題になり始めた時期だったんですけど、学校でやっているSDGs教育は、本質を捉えられていないような気がして……。

実際に問題に直面している人たちを身近に感じる機会があったからこそ、どうすればそういった人たちの生活の課題を見つけて、そのつらさに寄り添えるかな、と考えるようになりました。

そこで始めたのが、『課題発見DAY』というイベント。中高生が街を自由に歩き回り、街の中で見つけた課題を見つけ、それを持ち寄って、その理由を深堀りながら解決策を考えてみる、というのが基本的なプロセスで。

『愛を持って社会に突っ込め』というのを理念に掲げているのですが、イベントの参加者の中からそれを体現する人たちが少しずつ出てきて。その人たちがもっと大胆に社会に踏み込んでいけるよう、社会的信用のある枠組みとして、法人をつくろうと決めました」

Q3. どんなことを大事にして、活動をしていますか?

「とにかくいろいろなところに行く、というのは大事にしています。Sustainable Gameには、自分が岩手や秋田に直接行ってスカウトしたメンバーもいて。自分と同じような思いをもっている人たちが、地方に住んでいるからという理由で夢を諦めてしまわないように、頑張ってアプローチしました。あと、プログラミングができる人が欲しいと思ったときは、プログラミング教室に行って、隣の人をスカウトしたこともあります(笑)。

地方をはじめ、いろんなところに行くのはやっぱりお金がかかるんですが、知り合いに依頼されたクリエイティブの制作を請け負ったり、主催したイベントのスポンサーをしてくれる企業を探して資金をいただいたりして、最低限の活動費を得ながらプロジェクトを回すようにしています」

 

Q4. 活動をする中で感じる難しさがあれば教えてください。

中高生と自治体や企業が共創することは、本当に双方にメリットがあるのか、というのは難しい問題だと感じています。葛藤しながら、まさに検証を進めているところですね。

未成年のおこなうプロジェクトということで、そのレベルは近年もちろん上がってきてはいるけど、とはいえ自治体や企業にとって価値があるかどうかはわからないし、逆に中高生としても、大人と一緒にやるプレッシャーの中で、やりたいことが十分にできているのかはわからなくて。そこはやっぱり難しいですね。

あと、もうちょっと学校生活を楽しむ時間を持てたらよかったのかな、と。学校の10分休みにひたすらメールを返したり、ひどいときは弁当も食べず、昼休みに学校を抜けて、外で仕事をしたりしていました(笑)。もちろん、自分の歩んできた道はよかったとは思っているんですけど」

Q5. 今後の展望は?

僕は小さいころから『みんなで生きる世界をみんなでつくりたい』という思いが強いみたいで。それを実現できるのなら、たずさわる領域はどこでもいいと思っています。まだ自分は何者でもないけど、最終的に何者かになることができたらいいかなと。

これまでも、入管問題に興味を持ってドキュメンタリーを撮ったり、食糧問題に興味を持ってマレーシアとベトナムに行ってサステナビリティフードについて学んだり、住民参加型の政策立案プロジェクトもやったりと、興味は幅広いです。

収益性も高くて、自分自身も納得感を持ってやりたいと思えるものに、どのように辿り着けるのか。そのためには自分がどのような能力を高めたらいいのか。そして、これまで関わってきた仲間を支えることができる立場にどうすればなれるのか。それをいつも考えています」

山口由人のプロフィール

年齢:18歳
出身地:東京都
趣味:空を見ること・スキー・絵を描くこと
特技:人間分析
大切にしている言葉:みんなで生きる世界はみんなでつくる

山口由人のSNS

★Twitter

 

Photo:Eri Miura
Text:Ayaka Shinada

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Ayaka Shinada

ライター

2001年生まれ、神奈川県出身。慶應義塾大学 環境情報学部に在学し、ライターとして活動。「若年層マーケティングメディアSORENA」での記事執筆経験がある。Steenzでは、「気になる10代名鑑」で、学生団体の運営や起業に携わる10代を中心に取材。

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