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アカデミー賞のスピーチ「お母さんこそスーパーヒーロー!」が話題。3人の“最強ママ”に出会える映画【映画アクティビストDIZのSCREEN BITE#8】

アカデミー賞のスピーチ「お母さんこそスーパーヒーロー!」が話題。3人の“最強ママ”に出会える映画【映画アクティビストDIZのSCREEN BITE#8】

「10代のうちにたくさん映画を見て、インプットしておいたほうがいいよ」なんてよく言われるけど、過去作から新作まで、たくさんある作品の中から、どれを選べばいいかわからない……という10代に向けてスタートしたこのシリーズ。

21.3万人のTwitterフォロワーを持ち、「人生を豊かにする映画」を発信している映画アクティビストのDIZさんに、配信で見られる作品について、ひとかじり語ってもらいます。

今回は、アカデミー賞の主演女優賞を獲得したミシェル・ヨーの「お母さんこそスーパーヒーロー」というスピーチから、映画に登場する、さまざまなかっこいいお母さんたちをセレクトしました。愛と強さを秘めたその背中からは、ひとりの人間として学べることも多いはず!

映画に登場する「3人の最強お母さん」

こんにちは。DIZです。先日開催された第95回アカデミー賞で、アジア人俳優として初めて主演女優賞を受賞したミシェル・ヨーの感動的なスピーチが、記憶に残っているという方も多いと思います。

特に「この賞をわたしの母に捧げます。そして世界中の母親にも。なぜなら彼女たちこそが本物のスーパーヒーローだから。彼女たちがいなければ、今夜ここにいるわたしたちの誰もが存在していないからです」と語った部分が、とても心に残りました。そこで今回は、尊敬すべきスーパーヒーローのような“母”が登場する映画をご紹介します。

フォーチュン・クッキー

ディズニープラスで配信中 ©2023 Disney

「これってもしかして……」「私たち……」「入れ替わってる〜!?」と、あの『君の名は。』を思い出させる映画「フォーチュン・クッキー」。ある日、大喧嘩をしたことがきっかけとなり、母と娘の心と体が入れ替わってしまうことで大騒動が巻き起こる痛快コメディ。

パンクロック好きの反抗期の娘を理解できない母と、自分の好きなモノを理解してくれない頭のカタイ母にイラつく娘。お互いに話し合うことをせずに不満を募らせていました。子どもの立場からすると、過干渉で、信頼してくれない親は、思春期には敵のように思えることも。しかし、立場が入れ替わることで、それまで見えていなかった母の偉大さや、娘の大切さに互いが気づいていく展開は見事。

子どもをもつ親として、精神科医として生きるひとりの女性として、母の肉体に入った娘が、知らなかった意外な母の一面を知っていく……。ウザいとしか思えなかった小言やしつけも、母の気持ちを理解すれば、すべてが愛だったとわかる瞬間は感動的です。普段なかなか親子で心の内を話す機会がないという人に、ぜひ観てほしい。きっと観終わった後は、偉大な母に電話したくなるかも。

▶︎ディズニープラス

エノーラ・ホームズの事件簿

Netflix「エノーラ・ホームズの事件簿」独占配信中
ALEX BAILEY/LEGENDARY ©2020

名探偵シャーロック・ホームズに妹がいたという設定で、Netflixが映画化したミステリーアドベンチャー。16歳の誕生日を迎えたエノーラが目を覚ますと、母が謎めいた暗号を残して行方不明に……。母を探しにロンドンへ向かったエノーラは、恐ろしい陰謀に巻き込まれていきます。

エノーラは、兄である名探偵シャーロック・ホームズに負けないほど賢く、ひとりで何でもこなせる女の子。それは、男社会でも生き残れるようにと、母が教育してくれたから。ヴィクトリア朝のイギリスは、女性が自分らしく生きることが許されない時代で、エノーラも他の女の子同様、花嫁修業のために寄宿学校に入れられる運命にありました。しかし、エノーラの母は、読書や科学、護身術を教え、彼女を自立できる女性に育てたのです。

そんな母からの素晴らしい教育と意思を受け継いだエノーラが、「寄宿学校に行くよりも女性が自分らしく生きられるように世界を変えてみせる!」と革命を起こし、時代を切り拓いていく展開がアツい。

娘に悪しき伝統を打ち破る教育をしたエノーラの母のように、時代に翻弄されず、強い意思を持って自分らしく生きていきたいと思える、素晴らしいエンパワーメント作品です。ミステリーアドベンチャーでありながら、どんな時代でも生き抜ける教育の大切さも学べる1本となっています。

▶︎Netflix

メッセージ

© 2016 Xenolinguistics, LLC. All Rights Reserved.

これから母親になる人にぜひ観ていただきたい、壮大かつ人生観を揺るがす哲学的なSF映画。突如、地上に降り立った巨大な黒い宇宙船。謎の宇宙人と意思の疎通を図るために、軍に雇われた言語学者のルイーズは、“彼ら”が地球にやってきた理由を探っていく。その理由の真相が解けたとき、人類に向けた、美しくも切ないメッセージが明らかになります。

本作は、冒頭で愛する娘を亡くした母親・ルイーズが悲しみに暮れるシーンから始まります。とてつもない哀しみを感じる物語なのだろうか……と思いきや、ラストには心に愛と希望が満ちあふれる、美しい人生賛歌の物語に。

人生で迷いの中にいたり、これから先の未来が不安だと感じている人にとって、起こるすべてのことが愛おしく思える、これまでの価値観さえも揺るがすような強烈な“メッセージ”性を持った映画です。映画の構成が非常に面白く、観終わってすぐに2度目を鑑賞したくなる仕掛けも。母親であるルイーズの人類視点では到達できない深い愛を感じる、ある“重大な選択”が、心震える感動を体感させてくれるはず。

▶︎Netflix

それぞれに違ったかたちで生きる、さまざまなお母さんをご紹介しました。どれも、お母さんへの想いが特別になったり、”母親とはこうであるべき”というしがらみについて考えさせられたりする作品です。そんなお母さんたちに共通しているのは、すべてを超える無性の”愛”と“強さ”なのかもしれません。

DIZのプロフィール

映画アクティビスト。ひとりでも多くの人に映画の素晴らしさを伝えるために、フリーランスで活動している。体験型の映画イベントを主催したり、配信サービスのSNS企画・編集やコピーライティング、さまざまな作品の評論を寄稿したりと、枠にとらわれずに活動している。
Twitter:@DIZfilms Instagram:@diz2049

Text:DIZ

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映画アクティビスト

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