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「反同性愛法案」が遂に成立したウガンダ。アフリカ諸国が反LGBTQに向かう理由とは【Steenz Breaking News】

「反同性愛法案」が遂に成立したウガンダ。アフリカ諸国が反LGBTQに向かう理由とは【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、ウガンダのLGBTQ女性の難民認定というニュースから、アフリカの反同性愛法について紹介します。

ウガンダ出身のレズビアンの女性を難民認定

同性愛者であるために迫害を受けたと訴えていたウガンダ国籍の女性について、4月19日、大阪地裁は難民と認めるよう国に命じました。ニュースでも取り上げられたので、耳にした人もいるかもしれません。

今回、難民認定を受けた女性は、レズビアンであることを理由に、母国ウガンダで、警察から拷問を受けていました。2020年、命の危険性を感じ、ビザが唯一獲得できた日本に来日しました。しかし当初は「信頼性に欠ける」という理由から難民申請が通らず、就労も不可能であるため、過酷な3年の月日を過ごしたと言います。

そして2023年3月に、国が国外への強制退去としたことに対し訴訟を起こしたところ、国が控訴しなかったため、難民認定されることにありました。

日本の難民認定率(2022年)が、イギリスの57%、カナダの55%に比べ、2%と非常に低い水準である中、難民として受け入れたのは、大きな出来事です。

 

世界で最も過激な反同性愛法案が可決

その難民認定の直前である2023年3月、ウガンダの国会で、反同性愛法案が可決され、ついに5月29日に成立されました。これは世界最悪とも言われる、性的少数者と自認するだけで犯罪者となる法律です。

そのほかにも、同性愛者が性交渉をくり返したり、HIVを持つ同性と性交渉を持ったりした「重度の同性愛」には「加重罪」が適用され、死刑になる可能性もあります。また、同性愛に関する助長や扇動といった行為、LGBTQの権利を訴える活動や組織、メディアの活動の支援を行うだけでも禁錮刑となる可能性も。つまり、LGBTQに対する差別、憎悪、偏見が、強大な力で制度化されたのです。

この反同性愛法案は、市民生活に大きく影響するものであり、3月に発行された現地の新聞には、反同性愛がどのような罰を受けるのか、イラストとともに大きく取り上げられました。中には、反同性愛者の顔写真と名前を晒す新聞も存在します。

 

Papa De on Instagram: “The Anti Homosexuality bill Uganda 2023Many of you have been unaware of the inhuman treatment that has been going on behind the scenes before the bill passing, for many months let alone, years. The bill passing is only amplifying the justification of the violence against queer bodies.The last bit of this video broke me. I didn’t want to share it but it’s important that you know to what extent these people are willing to go to erase us with no remorse, since the government basically gave them a go ahead. I want you to see the realities we have to live. The reality that we are subjected to.As a human rights artivist, I have worked my ass off to highlight all these issues in my work for years. Being on the ground and experiencing these horrendous crimes against your existence doesn’t leave you the same. With the bill into law, it feels like everything we have worked so hard for as the queer community is all shattering down to nothingness.This bill is a violation of human rights. Taking away shelter, medication, education, a right for protection is a war crime against humanity. Obligating friends, families, and relatives to ‘report homosexuals’ is a violation of privacy.Queer people don’t owe you anything, but deserve to live just as freely.Receiving brutal images of my siblings black bodies naked and bruised, videos of vigorous beatings, calls and cries for help, for support, for rescue, or to just talk have left me so broken, so hurt. All of a sudden, the God that they told us about, the ever so loving and non judgemental and accepting you as you’re, is now the one they quote to kill us.Everyone is entitled to freedom. We deserve freedom just like you. We can procreate just like you. Marginalizing an already marginalized community is absurd. We are all human before we are queer.I call upon you all to speak up for us, the human rights organizations, either come together to reverse all this shit, put sanctions on Uganda or help me, help us, to take our people out of there. Link to donate and educate yourself more is in the bio.#dontbeperfectjustbeyou #antihomosexualitybilluganda”Papa De (@aconstantbecoming) on Instagram: “The Anti Homosexuwww.instagram.com

 

なぜアフリカは同性愛に厳しいの?

そもそも、ウガンダをはじめ、アフリカ諸国では、どうして同性愛に対して厳しいのでしょうか。これは植民地時代の名残による、厳しい反同性愛法があることが関係しています。

植民地化以前から、アフリカ社会には土着の「同性愛」行為が存在したという研究もありますが、西欧キリスト教国による植民地化によって、同性愛に対する見方は変化しました。

ウガンダは全人口の約85%がキリスト教信者で、キリスト教的価値観が根深いため、植民地時代に制定された法律とその影響が今も残っています。政府にとって、同性愛の取り締まりは国内で大きな影響力をもつキリスト教会の支持を得やすいのです。

実際、植民地時代に制定された法律の文言からは、同性愛は「公序良俗に反する淫乱」であり、「家族の名誉」を守るためも、認められるべきではないという考えが見えてきます。つまり、アフリカ社会において、子孫を残すことこそが、婚姻の最大の目標であるということなのです。

居場所を失うLGBT難民

東アフリカには、LGBTのための難民キャンプが存在します。LGBTを理由に迫害を受ける人や、家族がLGBT当事者であることを理由に迫害を受ける人が暮らしています。

しかし、こういった難民キャンプでも、逃れてきた難民が、暴力的な攻撃や財産の破壊を受けているという現実もあります。例えば2022年6月、ケニアのカクマ難民キャンプで、LGBT難民が地元住民などの群衆から、石や棒で叩かれるという襲撃に遭いました。ケニアの難民キャンプに暮らす600名のうち、400名はウガンダから逃れてきた難民であり、もしもこのまま法律が制定されれば、こういった難民は増えていく一方です。

国際社会からは非難が相次ぐ

こうした動きに対して、欧米社会は厳しく反応しています。米政府・ホワイトハウスは、「人権は普遍的なもので、誰ひとりとして自分の性的自認や誰かを愛するだけで、攻撃されたり投獄されたり殺されたりしてはいけない」と表明。

法律が制定されたことから、援助の停止や削減など、何らかの経済措置がおこなわれるかもしれせん。しかしウガンダに対して行われている経済支援は、エイズ患者などの救済計画なので、措置がおこなわれて実際に困るのは、迫害されている側の民衆なのではないかという懸念もあります。

貧困層が多くを占める同国で、同性愛者の置かれる状況はさらに悪化しています。今回の法案も、政治的な目的で推進されて、いわば利用されているとというのが現実です。アフリカの国は欧米諸国の援助に依存している場合が多く、今後ウガンダがどのように対応するかは注目です。

Reference:難民認定者数と認定率の世界比較、受け入れ数ランキングや日本の現状Kenya’s LGBTQ Refugees Face Threats, Attacks at Kakuma Camp

Text:Hao Kanayama

リモートワークをしながらアフリカを縦断!年内にアフリカ移住を決意した行動派【Hao(金山葉織)・19歳】
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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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