「気になる10代名鑑」の307人目は、ハナスエトミ（19）さん。大学で日本文化について学ぶ傍ら、演劇やダンス、インスタレーションの制作など、表現者として、パワフルな活動を行っています。この取材直後に20歳の誕生日を迎えるというハナスエトミさんに、表現者となった経緯を振り返ってもらいました。
ハナスエトミの活動を知る5つの質問
Q1. いま力を注いでいる活動は？
「いろんなかたちで表現活動を行っています。好きなのは現代アートと浮世絵。それに、ダンスと演劇もやていて、自身の肉体を使って表現するということを最近の活動としています。
アートやエンタメは以前から大好きだったのですが、自分が表現する側になることは全然考えていなくて。でも、授業で取り扱った作品についてゼミの教授と話し合ったときに、『キミは表現者になるべきだ』と言っていただけて。
その言葉をきっかけに、大学で初となる学内展示を主催し、自分でも作品を制作しました。このとき『自分は創る側の人間じゃないと思っていたけど、実は表現したいものはたくさんあったんだ』って気付いたんです」
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Q2. 活動を始めたきっかけは？
「ファッションがスイッチを教えてくれたんだと思います。
小学生のときは、親やまわりの目を気にして、地味な洋服で学校に通っていました。中学と高校では制服があったので、『逆に制服じゃないときは、何着てもいいはず』って思って、徐々に自分が好きなハデな服を着るようになりました。
親はそんな服を着ていることにいい顔はしなかったけど、それまで抑えていた自分らしい格好で街を歩くのが楽しかったし、褒めてくれる人も増えたんです。原宿行くたびにスナップに撮ってもらえたり……。だんだんと自信になって、自分の好きなものや考えを表現することへの関心が強くなりました」
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Q3. 創作をするときに意識していることは？
「SNSで文章を書くときも、インスタレーションを制作するときも、苦しさや不安な状態を隠さずに伝えるようにしています。
ダウナーな状態でないと、表現モチベーションが高まらなくて。落ち込んだときを狙って制作することもあれば、制作するために自ら落ちた状態に持っていくこともあります。
もちろん、それはけっこう削られることもあって。ある演劇の稽古期間、うまくいかなくてすごく落ち込んでいたんです。でも、わたしの演じる役は明るくてテンションが高い子で。そのときは感情がぐちゃぐちゃになったけど、振り返ると、そんな人間らしい姿をさらけ出すからこそ、人の心を動かすのかもしれないなって思うんです。そんな風に自分の表現ではネガティブな要素を大事にしています」
Q4. これまで生きていて、いちばんのターニングポイントは？
「大学受験に失敗したことです。これを期に自分の行動の決め方が180度変わりました。
高校時代までは、いつも将来の夢が明確にあってそれに突き進んでいました。”夢につながるならやる。夢に直結しないならやらない”って、行動の指針を決めていたんです。
高校のときは演出家になりたくて、演劇サークルが盛んな早稲田大学に行って、『絶対に力をつけてやる』って思っていたんです。でも合格できなかたとき、夢に問われるのを一度やめてみようと考え直して……。先のことばかり見て、”いま”を大切にしていなかったと気付きました。
それからは、将来の夢は決めず、いまやりたいと感じたことを、すべて並行してやっています。おかげでスケジュールはパンパン！ 妥協できない正確なんですよね（笑）」
Q5. 活動を通して実現させたいことは ？
「自分の発信するものが、見る人の居心地の良さや行動力を生んだらうれしい。美術館に行ったり、舞台を見たりと、実際に生の芸術を観に行く人って、それほど多くないなって感じていて。
だから、私のSNSを見てくれた人が、実際に演劇やダンスの公演に足を運んでくれたら、すごくいいなって思っています。そう感じてもらえるように、わたし自身、エンタメになれるように、活動を続けていきたいです」
ハナスエトミのプロフィール
年齢：19歳
出身地：東京都八王子市
所属：明治大学国際日本学部、明治大学中野ダンスサークルSIGN、劇団森
趣味：カラオケ
特技：プレゼン
大切にしている言葉：ときめき
ハナスエトミのSNS
— ハナスエトミ (@87sue_tommy) November 12, 2022
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Photo：Eri Miura
Text：Minori Abe
