世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、いまだ軍事政権の支配が続くミャンマーにて拘束された日本人ジャーナリスト、久保田徹さんに禁錮刑の判決が下ったというニュースについて、お届けします。
抗議デモの取材中に拘束。いったい何が…?
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2021年2月にクーデターが発生し、国軍が実権を握るミャンマーで、今年7月、日本人ドキュメンタリー映像作家・久保田徹さん(26)が、抗議デモを取材していたところ、ミャンマー当局に拘束されました。そして10月、同国の軍事法廷で計10年の禁錮刑を言い渡されたのです。久保田さんの身に、一体なにが起きているのでしょうか。改めて見てきましょう。
不当な拘束が相次ぐ軍事政権下のミャンマー
久保田さんは今年の7月末、最大都市ヤンゴンで、数年前から取り組んでいたドキュメンタリーの撮影しているところを、当局に逮捕されました。その後、10月5日に開かれた軍事法廷で、通信法違反の罪と扇動罪で7年の有罪判決を受けました。さらに12日、取材活動をするために観光ビザで入国していた入国管理法違反の罪で、禁錮3年の判決を言い渡されました。
しかし、法廷は非公開で弁護士すら立ち合えず、久保田さんに科せられた刑の具体的な根拠は明らかにされていません。審理も短期間で行われ、公平性を疑問視する声が強まっています。
ミャンマーでは久保田さんのように、不当な拘束が相次いでいます。同国の人権団体「政治犯支援協会」(AAPP)によると、クーデターが発生してから今日までに、国軍に対する抗議活動を行う市民や活動家が1万5,000人以上拘束され、いまだ1万2,000人以上が解放されていません。国軍による弾圧によって死亡したのは、2,300人以上とされています。
拘束の理由も、抗議デモに参加したことや、抗議を示す内容をSNSに投稿したことといった理不尽なものが多く、世界の民主主義の流れから逆行する内容となっています。
日本からも声を上げ続けたい
久保田さんは現在、政治犯の収容先として知られるヤンゴン市内のインセイン刑務所に収監され、健康状態は問題ないと報じられています。9月には、解放に向けて支援を続けている友人らを通じてメッセージを寄せ、「ミャンマーは見えない戦争状態にあります。この国で生きる人々について注目し続けてほしいです」などと呼び掛けました。
昨年、久保田さんと同じくミャンマーで拘束されたジャーナリストの北角裕樹さんは、取材に対し、「久保田さんはジャーナリストの仕事をしていただけで、何も悪いことはしていません。不当な判決です」とコメントしており、久保田さんの早期解放を求めています。
解放に向けて、わたしたちにできることはあるのでしょうか。現在、久保田さんの解放を求めるオンライン署名が行われていて、署名が一定数集まるごとに、日本の外務省に届けられています。
北角さんはこの署名活動のサイト上で、わたしたちができることとして、「①(署名活動などを通して)外務省が動かざるを得ない状況を作る。②彼が帰ってきたときに、温かく迎えてあげられるような雰囲気を作る、ということかと思います」と述べています。
一刻も早く、久保田さんや、不当に拘束されたミャンマー市民らが解放されるよう、これからの世界の中心となる10代ひとりひとりが、ミャンマー情勢に関心を持ち続けていくべきだと考えます。
Text:Risako Hata