単独チケットが10分で完売するなど、お笑い界からも演劇界からも熱い視線を集める8人組ユニット「ダウ90000」。そのメンバーひとりずつに単独インタビューを行うスペシャル企画。インタビューの第4弾は、道上珠妃さん。ちょっと変わった生い立ちや、ダウ90000に加入したきっかけ、そして今後の展望について伺ってみました。
タイで生まれて、器械体操に情熱を注いだ青春時代
―今回はよろしくお願いします! さっそくですが、道上さんはタイのご出身なんですよね。幼少期はどんな子どもだったんですか?
「すごくアクティブな子どもでしたね。友達と遊ぶのも、習いごとも、勉強も、とにかく全力で。生まれたのはタイで、それから日本に来て、また小学校に上がる前にタイに行って、小学5年生くらいまで、タイで過ごしていました」
―では、タイ語はペラペラだったりするんですか?
「それがそうでもなくて。⽇本⼈学校に通っていたので、そんなにタイ語を話す機会はあまりなくて。いま話してって⾔われても、簡単な⾃⼰紹介くらいしかできないです」
―日本に帰ってきてからはどうでしたか?
「兄が器械体操をやっていたのもあって、体操をガッツリやっていました。ちっちゃいころは、人が何かやっているのを見ると『私もやりたい!』って言って、何でもやりたがる子どもだったので。ミュージカルやピアノも習っていたけど、最後まで続いたのは器械体操で、競技者として打ち込んでいました。だから10代のときは、ほとんど体操ばかりしていたんです」
―そんなバリバリの体操ガールが、お芝居の道に進んだのはなぜですか?
「高校3年生のとき、大きなケガをしてしまって。次にケガをしたら大きなボルトを入れなきゃ……みたいな状態だったので、競技者の道は諦めて、高校3年生で区切りを付けたんです。
将来何がやりたいか、初めてちゃんと考えたときに、演技をしたいって漠然と思って。昔から人前に立つのが好きだったし。小さいころから目指してた、とかじゃないんで、割と浅はかなんですけど……。それで日芸の映画学科の演技コースを受けたんですけど落ちちゃって、やっている領域が近いから放送学科も受けたら、たまたま合格して。それで大学に入ったんです」
蓮見さんにネタにされるようなザ・大学生だった
―そして大学に入学して、ダウ90000に出会ったんですね。
「大学2年生のとき文化祭で、ダウの前身の『はりねずみのパジャマ』の舞台を観たんです。『面白いらしいよ』っていうのを風の噂で聞いて、本当にただの興味本位で。それがすっごく面白くて。いくつか養成所とかも決まっていたんですけど、せっかくなら日芸の面白い人たちと一緒にやってみたいなって思って、加入させてもらったんです」
―どんなところに惹かれたんですか?
「蓮見さんの台本は、いまも昔も、いわゆるザ・大学生というか、大学に入って浮かれている人たちをネタにしているような目線で書かれていて。でも当時の私は、どっちかというとネタにされている側の人間だったから、なんか公演を見たときに恥ずかしいような気持ちになって……」
―陽キャだったんですね。
「サークルの合宿とか飲み会とかガンガン参加して、『ウェイ!』みたいな感じだったんですよ。きっとダウに出会わなかったら、たぶん『ウェイ!』のまま、ふわふわ生きて、それはそれで楽しかったとは思うんですけど、全然違う視点の人たちに出会って、人生が180度変わりました。
もしもあのとき、蓮見さんの公演を見ていなかったら、面白い舞台があるらしいよくらいで終わっちゃってたはずから、不思議ですよね。 こんなに長くやっているなんて思ってもいなかったです」
―それから大学を卒業されて、卒業後もダヴ90000としてやっていくと決めたとき、迷いとかありませんでしした?
「けっこう悩みました。実は就活もちょこっとやって、どっちつかずの時期もあったんです。それで、プロしてやっていくか、本気で就活するか決めなきゃいけないタイミングで、『じゃあ就職します』と言い切れない自分がいて。だったらやれるところまでやってみよう、ダヴ90000に懸けてみようって決めました」
ーご家族の反対とかは?
「親は就職してほしいって思っていたみたいですし、でもどっちつかずだったこともバレていたから、決断したときは、認めるというか、半ば呆れられる……っていう感じて(笑)。でも、ちゃんと応援してくれているんだなって思う瞬間もあって。テレビに出るときは、家族ラインで報告しているんですけど、父は基本的に既読スルーなんです。でも、実家に帰ったとき、父が私の知らないところで、私が出演した番組を、ビール飲みながら見ていることを知って……」
―それは嬉しいですね。
「本当に嬉しかったです。そのとき、自分なりの親孝行ってこれなんだなって気づきました。この仕事って、初任給もないしボーナスもないので、食事に連れていくとかはないから。でも、この世界に入ったからには、とにかくテレビで活躍している姿を見せるのが、いちばんの親孝行なんだろうなって思っています」
ドラマ出演を経て、お芝居への気持ちが倍増した
―テレビといえば、先月、フジテレビで放送された初の冠ドラマ「ダウ90000 深夜1時の内風呂で」はどうでしたか?
「あのドラマでは、私は勝村政信さんの娘役なんですけど、私の父と勝村さんが演じられた役がちょっと被って。20代の娘と50代の父親のリアルな関係性が描かれていると思うので、父娘で見て、ぜひ気まずくなってほしいなって思います(笑)。見所はもちろんそこだけじゃないんですけど、ドラマがきっかけで、親子が先に進めたらいいなと思います」
―ドラマ出演のお話が来たときの感想は?
「もともと私はお笑いには疎くて、ドラマとか映画に出演したかったから、単純にテレビドラマに出られることが嬉しかったです。ダメなところもたくさんあったし、反省も尽きないんですけど、もっとやってみたい!ってなりました。今回のドラマを通して、お芝居に対しての意欲がすごく沸いて、ずっと頑張ろうモードになっています。何をどう頑張るとかは、よくわからないんですけど(笑)」
―理想の未来像はありますか?
「途方もない夢なんですけど、ダウ90000の存在が、誰かの生きる希望になっていたらいいなって。私自身、目標が遠いと、現実味がなくて頑張りきれないタイプで、1日後とかの小さなことを、生きる希望にしているんです。だから、応援してくれるお客さんにとって、その小さい理由のうちのひとつに『ダウ90000を観る』があったら最高だなって思うんです」
―素敵ですね。
「あとは、街中で声をかけられたいです!(笑)。メンバー全員で歩いているときは、たまに声をかけていただくことがあるんですけど、ひとりで歩いているときはまだなくて。そういうの大好きな人間なので、声をかけてもらえたら、とびきりの笑顔で対応したいですね」
道上珠妃のプロフィール
1998年10月2日生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒。
「ダウ90000で1番運動神経良い」 https://t.co/rjFuanRPxm
— 道上珠妃 (@tmk_chachacha) December 25, 2021
ダウ90000出演情報
Hulu ショートドラマ「今日、ドイツ村は光らない」
配信日時:2022年10月5日(水)0:00~
初回は5エピソード、2回目以降、毎週水曜0:00より2エピソードずつ配信。日本テレビでは毎週土曜14:50ごろからオンエア。※初回10月8日(土)は 13:50ごろから。
出演:小関裕太、ダウ90000(道上珠妃、吉原怜那、中島百依子、忽那文香、上原佑太、園田祥太、飯原僚也、蓮見翔)
新作演劇公演「いちおう捨てるけどとっておく」
2022年10月5日(水)~19日(水)
東京都 新宿シアタートップス
作・演出:蓮見翔
出演:園田祥太、飯原僚也、上原佑太、道上珠妃、中島百依子、忽那文香、吉原怜那、蓮見翔
前回のインタビューはこちら!
Photo:Masaharu Arisaka(STHU)
Text:Mai Sugawara