「気になる10代名鑑」の209人目は、まほさん(18)。アートとしての服づくりを中心に、ZINEの制作をしたり、イベントでアートディレクションを手掛けたりしていたりと、さまざまな表現活動をしています。「服は好きだけれど、あえて服飾の道を選ばなかった」というまほさんに、その理由や、創作についての思いをうかがいました。
まほを知る5つの質問
Q1. プロフィールを教えてください
「主に服を中心としたアートワークを手掛けています。アートは、わからないことをわかるようにする、いわば言葉を得る手段のひとつだと思っていて。なので、作品をつくったあと、短めの詩から長い論文のようなものまで、言葉に起こしています。作品は、たまに自分のサイト『ear』で販売することもあります。
あとは、前に『Steenz』にも登場した芙未と一緒に、不定期に『Square』という寄稿型のZINEを発刊しています。今年の10月には、北海道に引っ越した友だちの紹介で知り合った、札幌の同世代の子たちとのイベントで、アートディレクションにも挑戦します」
Q2. 創作活動を始めたきっかけは?
「小学生くらいのときに、弟にポシェットをつくってあげたことが始まりかな。
とにかく自由で、主体性を大事にしてくれる学校に通っていたこともあって、そのころから、『わたしはここにいるんだと点滅していたい』と思って生きていました。
影響でいうと、青葉市子さんの存在は大きいです。中学のときからずっと好きなんです」
Q3. どんな作品をつくっていますか?
「『皮膚透過』という作品をつくったのですが、生きている中で誰かから受ける影響というのを色で表現したくて、布を染め上げてつくりました。
自分も少なからず他人に影響を及ぼしていて、自分が気づかないうちに、誰かに広がっていく。それを表現するために、背中にビーズと糸で編んだ触手が生えているんです。
布の動きそのものに面白みを感じているので、ファッション業界における、いわゆる商業的な服にはそれほど興味がなくて。だから、服飾学生に憧れていた時期もあったけれど、アートとしての服を追求することに決めました。
特に、平面の布が、人の肌に触れると立体的になって、流れるように動いたり、質感が変化したり、いきいきとする姿がすごく好き。母がダンサーだったことや、小さいころに観たシルク・ド・ソレイユの『コルテオ』という演目のDVDを繰り返し見ていたことも、影響しているかもしれません」
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Q4. どんなことをテーマにしていますか?
「『不和になる瞬間』が、一貫するテーマだと思っています。
例えば『流動』という作品は、都市に生きていると感じる、ひとや社会、建物との距離感を縫いたいという衝動が絡んでいて。大きな都市の街角に立つと、わたしも周りのひとのことを何も知らないし、誰もわたしに興味もくれないことに気づきます。
都市が発展する一方で、自分以外との隔たりはどんどん大きくなっていく。それって、本当に人類が望んでいることなのかなって思うんです。そういった隙間、つまりはわたしにとっての不和を払拭したいと思って、この作品をつくりました。
服は、モダンダンスのパイオニア的存在の『ロイ・フラー』の衣装から着想を得て、布をたっぷり使って縫い上げました。肌に触れると風に揺られて、また新たな流動を生むというところにも着目して、制作しました」
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Q5.今後の展望を教えてください。
「肩書きを重苦しく感じてしまうので、何かになりたいとかはなく、わたし自身になりたいです。あ、最終的には天使にもなりたい。
でも、ひとつだけ言うとすれば、イギリスのファッションスクール『Central Saint Martins』で学んでみたい! Martin Margielaが手掛けていたときの『Maison Margiela』が好きなので、いつか一緒にお仕事できたらなって」
まほのプロフィール
年齢:18際
出身地:東京都
趣味:喫茶店でお茶をすること
特技:1日に予定をたくさん詰め込む
大切にしている言葉:水面
尊敬する人:青葉市子さん
まほのSNS
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Photo:Eri Miura
Text:Atsuko Arahata
Edit:Takeshi Koh