「気になる10代名鑑」の194人目は、大門太陽さん(19)。高校時代から写真を撮り始め、現在は武蔵野美術大学の映像学科に通いながら、写真から映像まで広く学んでいて、最近では写真の展示もしています。そんな大門さんの写真へのこだわりや影響を受けてきた作品などについて、聞いてみました。
大門太陽を知る5つの質問
Q1. 活動を始めたきっかけは?
「高校生のときに、写真家の森山大道さんの写真を見て、あっという間に写真表現の虜になったんです。
小さいころから絵を描くのが好きで、パソコンも好きで触っていたこともあって、高校は美術系の学校の、映像メディア専攻に通って、アニメーションやCG、実写映像について学んでいました。でも、その課題のあるとき学校の課題で、森山さんの写真を見て、それまで自分の中にあった写真へのイメージや常識がひっくり返ったんです。
その日以来、それまであまり撮らなかった道ばたの写真を撮り始めて、つくる作品も写真ばかりになっていきました」
monochrome my “inspiration”s pic.twitter.com/5MhL37KHZ4
— 大門 太陽 (@my_blue_zine) August 8, 2022
Q2. 表現へのこだわりを教えてください。
「美しいとか、おもしろいと思ったその瞬間を、あまり力を入れず、ラフに記録すること。『なんか良いのが撮れた』ぐらいの、ある種の雑さが、自分の作風です。
いつも持ち歩ているカメラは、コンデジ。コンデジの良いところは、小さくて軽いからポケットにも入るし、取り出してすぐ撮れること。一眼レフだとか大きいカメラは、シャッターを切るまでに時間がかかるし、構えて撮るので、良くも悪くも画が整ってしまう。人を撮るときも、自然な動きや表情は撮りづらいから、あまり使わないです。
フィルムカメラもたまに使います。デジタルが当たり前な時代に生まれたからこそ、ファインダーを覗いてシャッターを切るときの緊張感や、デジタルには無い気配りがあって、面白いなと思います」
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Q3. 影響を受けた作品は?
「森山大道さんの写真はもちろんですが、荒木経惟さんの写真集『センチメンタルな旅』にも、強く影響を受けています。
この写真集は荒木さんが、自身の妻が亡くなるまでを記録したもの。写真に表れる喜怒哀楽には、本当に心を動かされたし、写真というものがここまで人の生を写し出して、記録できるのか……と衝撃を受けました。
写真表現の力をもっと信じられるようになったし、いまの自分の作風を、確固たるものにできた作品だと思っています。悩んだり、行き詰まったりしたときには、おふたりの写真集を見返して、初心を思い出しています」
Q4. 写真以外で、続けていることはありますか?
「文章表現が好きです。文章の長さはバラバラですが、エッセイとか雑文みたいなかたちで、スマホに記録しています。
生活している中で心が揺れ動いたり、何か視覚的に面白いものが見えたときに、それを備忘録的に保存するようにしていて。スマホに記録しておくと、たまに読み返したとき、当時の自分を俯瞰して見ることができる。
それに、文章として書くことで、ただ『面白い』だけじゃなくて、何に心が惹かれたか、気付くこともあるので。この感覚は、昔撮った写真を見返すときと近いように思います」
Q5. 今後の展望は?
「いま活躍されている写真家のようになりたいとは思っていません。『大門太陽』という名前の写真家として、大きくなりたい。有名になりたいというよりは、自分のスタイルを確立させたいんです。
将来的に、仕事として写真家をやるかは、まだ決めていなくて。依頼されて写真を撮るのは、向いていないような気もしているんです。動きや場所を決めて、アシスタントや照明を使って、求められる写真を撮るよりも、目の前の光景や人の姿を、自分ひとりでラフに撮っていたいなと思います。
そして将来は、自分が撮った、明確なテーマがないような写真集が、本屋さんに並ぶことが目標のひとつです」
大門太陽のプロフィール
年齢:19歳
出身地:東京都
所属:武蔵野美術大学映像学科
趣味:読書
特技:冷たいもので頭がキーンとならないこと
大切にしている言葉:僕らはとても不完全な存在だし、何から何まで要領よくうまくやることなんて不可能だ。(村上春樹さんの言葉)
大門太陽のSNS
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— 大門 太陽 (@my_blue_zine) August 9, 2022
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Photo : Eri Miura
Text : Daiki Ido
Edit : Takeshi Koh