東京・青山にあるカフェ。そこから聞こえてくるのは、ティーンたちが繰り広げる、取り止めもないリアルな会話です。話しているのは、以前「気になる10代名鑑」にも登場してくれた、金杉龍吾さん(19)と、その友人のあずみさん(19)、ゆうぜんさん(19)。さて今日は、どんな話で盛り上がっているのでしょうか。
今回のテーマ:「いまの10代は倹約家なの?新しい世代の経済感覚」
アルバイトはお金が目的じゃない
ゆうぜん:ふたりはバイトは何をやってるんだっけ?
あずみ:私は高校のときにお世話になっていた塾で働いてる。受験のとき、すごく助けてもらったから、逆に自分でも何か力になれないかなぁと思って。
あとは、掛け持ちで飲食もやっていて。そこではいろんな世代の人と関わる機会が多いから、社会経験のためっていう感じかな。もちろんお金を稼ぐためだけど、それが第一目的じゃないと思っていて。
龍吾:掛け持ちを続けてるのはすごいね。僕も前はインターンとバイトをやってたけど、今はインターン1本だけにした。
ゆうぜん:バイト辞めたんだ?
龍吾:そうなんだよね。バイトは時間の縛りがストレスで。コロナもあって実家に帰省してるとき、よくバイトのためにわざわざ戻らなくちゃいけなくて、それがすごく面倒だったんだよね。
その点、インターンはリモートでも働けるから、場所も時間も制限されなくて、その自由度が良くて。収入はもちろん減るけど、お金よりも動きやすさとか柔軟さを大事にするのが合っているかなって。
ゆうぜん:確かに。バイトはあくまで生活の一部分だから、バイトが理由で予定を調整するのはイヤだよね。僕もあんまり疲れて授業で寝ちゃうとかがないように、週3くらいしか入れてない。
お金のためにバイトめっちゃ入れるとかはしないし。実際、お金がそこまで足りないってこともないから、バイトはほどほどにするのが自分には合ってる。
貯めるか、全力で使うか…10代の貯金事情
あずみ:学生のうちって、みんなどのくらい貯金してるんだろ。私は旅行代を貯めたくて、500円玉貯金を始めたけど、みんなは?
ゆうぜん:してるよ。けっこう堅実でしょ(笑)。バイトのお給料が入ったら、別の口座に1万円ずつ入れてる。
龍吾:すごいね! 僕はまったくしてない。お金のことをちゃんと考えてはいるんだけど、いろいろ考えた結果、「若いうちは破産するべきだ!」っていう視点に辿り着いて、貯金しなくなった(笑)。
あずみ:どうしても必要なときは、500円玉貯金を切り崩したりもするけど、なるべく毎月の収支を把握して、貯めるようにしているよ。
龍吾:ゆうぜんは、貯金の目的はあるの?
ゆうぜん:なくなったときが怖いなと思って。突然、必要になるお金って、たまにあるじゃん。例えば、教科書を買うことになったとか、水道が壊れたとか……。そういうときに、親には頼りたくなくて、貯金してるかな。
あずみ:それ、わかる。私は親元を離れているからこそ、あまり心配かけたくないし、なるべく自分の力で生活したいなって思うから。
龍吾:なるほど。将来のためっていうより、使いたいときに使えるようにしておくための貯金なんだね。僕もこれから少しずつ頑張ろうかな。
キャッシュレス決済は当たり前?現金は持つ?
龍吾:貯金するとなると、まずは支出管理からだよね。やっぱりいまはキャッシュレス決済かな。みんなはどのくらい使ってる?
ゆうぜん:僕はPayPayくらいかな〜。
あずみ:私はデビットカードとPayPay、Line Payを使い分けてる感じ。
龍吾:みんなけっこう使ってるね。僕はデビットカードをスマホと連携させてる。あとは、交通系ICも使うかな。基本的には、スマホで完結できるようにしてる。
あずみ:すごいね。私はまだ半分くらいは現金だなー。
龍吾:キャッシュレス対応してないお店もあるから、そのときに困らないように、現金も少しは持ち歩いているけど……。
あずみ:割り勘するときとかは、PayPayを使ったほうが便利だよね。おつりとか小銭のやり取りするのってけっこう大変だもんね。
ゆうぜん:でもさ、中国みたいに全部キャッシュレスになるのも怖くない?ピッってやるだけで何千円、何万円って決済できちゃうと「お金を使ってる」って感覚がないよね。使いすぎちゃう気がする。
あずみ:めっちゃわかる。私はそれが怖いから、毎月PayPayに入れる額を決めて、それ以上は入金しないようにしてる。
龍吾:支出管理するなら、キャッシュレスにしたほうが便利だよね。僕は家計簿アプリと連携させていて、使った額を数字化して見れてるから、使いすぎの心配はそれほどないかな。
10代にとってムダなお金の使い方って?
ゆうぜん:こうやって話してみると、みんなけっこう堅実にお金のことを考えているよね。
龍吾:倹約っていうわけじゃないけど、ムダはイヤだよね。
ゆうぜん:ラーメンがめっちゃ好きだけど、食べた後に「ムダだったんじゃないか」って、いつも後悔する……(笑)。
あずみ:私も、コンビニで目的じゃないもの買うのは、ムダだって思う。特にペットボトルの飲み物。コロナ前は学校に給水機があったから、水筒を持ち歩いて、飲み物はほとんど買わないようにしていた。いまはそれができなくなっちゃって、すごく困ってる。あとはビニール袋も、勿体ないかな。
ゆうぜん:僕もビニール袋はなるべく買わないようにしている。環境にも良くないしね。基本、スーパーのほうが安いから、コンビニにはあまり行かないようにしてるな。
あずみ:あと地方出身者としては、東京っていろんなものが高いなって思う。電車もひと駅歩ける距離なのに、けっこう初乗りでもお金がかかるから、それなら歩こうかなって。歩くといろんな発見があって楽しいし。
龍吾:確かに。節約っていうとちょっと違うかなって思うけど、ひとつひとつのお金の使い方に惰性みたいのをなくして、正しく使っていきたいなって思うよね。
今回のカフェは・・・Off coffee stand (青山)
東京メトロ銀座線・半蔵門線、都営地下鉄大江戸線の青山一丁目駅から徒歩5分。2022年3月にオープンしたばかりの、おしゃれなコーヒースタンド。おすすめドリンクは、長野県産の「オブセ牛乳」を使ったカフェオレ。また、暑い季節にピッタリのジェラートも4種類あり、人気です。
Photo:Kaori Someya
Text:Sayuri Otobe
Edit:Atsuko Arahata