東京・恵比寿のとあるカフェ。通りを歩いていると聞こえてくるのは、ティーンたちのリアルな取り留めのない話と、楽しそうな笑い声。おしゃべりしているのは、以前「気になる10代名鑑」にも登場してくれた、村田夕奈(17)、小春(18)、もも(19)の3人です。さて、今日はどんな話題で盛り上がっているんでしょうか?
前編はコチラから。
今回のテーマ「握手会やライブだけじゃない!推しとはつまり日常」
【それぞれのオタク事情】
もも:19歳。フリーランスのライター。アイドルオタク歴6年。4人組の女性アイドルユニット「神宿」推しで、ライブやチェキ会に通う。ほかにも、男性の声優など幅広く推し活中。
小春:18歳。書評アイドル。アイドルオタク歴7年。「超ときめき♡宣伝部(とき宣)」をはじめ、箱推し(※)が多め。解散したグループや卒業したメンバーを後から好きになることも多い。
※1人のメンバーではなく、グループ全体を推すこと。
村田夕奈:17歳。映画監督。アイドルオタク歴5年。「48グループ」や「とき宣」を推すほか、「BiS」や「BiSH」などといったWACKグループなどのライブにも参戦。基本、箱推しが多め。
推しが尊すぎる…ついつい上げすぎちゃうSNS
もも:この前ライブ行ったとき、SNSにアップしたんだけど、みんなって、オタ活はどこまで上げるの?
夕奈:ライブに行ったときは、絶対に上げるよね。あとは新曲が出たときも、『尊い推しをみんな見て!』っていう気持ちで上げちゃう。
もも:新曲リリースのときは、思わずあげちゃうようね。高校生のときは、繋がってる人に引かれちゃうんじゃないかなぁとか思って、ちょっと控えてたけど、最近はオタクが自分のアイデンティティになりつつあるから、もう吹っ切れて発信しまくってる!
小春:あんまりあげすぎると、興味ない人には迷惑かなって不安になるけど、すごいビジュ(※)がいい写真があると、勢いであげてる……(笑)
※「ビジュアル」の略。
夕奈:あとから冷静になって消したり(笑)。一定数見てくれたからいいや、みたいな。
小春:インサイトで閲覧が増えてるのを見ると、「あっ、ヤバいかな」ってなって、消したくなっちゃうこともある。
夕奈:あの急に我に返るテンション、マジ謎だよね(笑)。
推しの「いいね」は気になる
夕奈:でも、推しから反応があったら、やっぱりうれしいな。
もも:わかる! 認知が目的じゃないけど、それでもリプとか投稿に反応されると、認められた気がしてくるっていう……。
夕奈:一時期、48グループにハマってたときは、SHOWROOMで私の誕生日にバースデーソングを歌ってくれた子がいて、めっちゃうれしかったな~。だけど人気が出てくると、認知とかいう話じゃなくなってくるよね。
小春:すでに遠い存在の推しもいるよね……。認知はされたらいいな、くらいの重要度だな。
推しは日常の一部
夕奈:ちなみに私は、SNSに載せるのは恥ずかしい……ってなるくせに、推しのタオルは学校で普段使いしてるよ(笑)。
もも:確かに、高校生のときは推しの名前の書いてあるタオルを堂々と広げて、体育祭のときに写真を撮ってたわ……! 卒業して、タオルはもう使わなくなっちゃったけど、アクスタ(※)は常に持ち歩いてる。
※主にアイドルの写真をアクリル素材で固めた「アクリルスタンド」の略(写真参照)。
小春:え~、いいな。アフタヌーンティーとかには連れていく?
もも:うん! たまに推しのDMに「ここのアフタヌーンティー連れてったよ~」って送りつけてる(笑)。
小春:私はまだやってないけど、すごい推しができたら、多分そうなるだろうな(笑)。自分の次元に存在させたいとか、そんな感じ?
もも:そうそう! アクスタを撮ってどうしたいってわけじゃなくて、日常の風景にアクスタを取り入れて撮影する行為そのものが楽しくて。
夕奈:友達のジャニーズ好きな子とか、めっちゃアクスタ持っている
もも:他のグループを好きな友達同士で、「異文化交流」とか言いながら、並べて写真撮ったりもするよ(笑)。
小春:ケーポペン(※)も単推しが多いよね。センイルケーキ(※)とか、まさにあの行動そのものが楽しいんだろうな~。
※K-POPファンのこと。「ペン(팬)」は韓国語で「ファン」の意。
※推しの誕生日ケーキ(写真参照)のこと。「センイル(생일)」は韓国語で「誕生日」の意。
インテリアでの主張もさりげなく
小春:アクスタと違って、とにかくデカいうちわは、正直ライブのときにも買うか迷うくらい、日常の使い道はないよね(笑)。単推しになったとしても買わないだろうな〜。
もも:私も。保管に困る気しかしないから買わない(笑)。
夕奈:うちわとかポスターを飾ってる時期もあったけど、もうしまっちゃった。別に推しじゃなくなったっていうわけじゃないんだけど……。
小春:でも最近は、部屋にポスター貼ったり、グッズを飾ってる子自体、あんまり見ないよね。
もも:わかる! インスタでお部屋を見てると、いかにおしゃれかつナチュラルに生活の中に取り入れるかっていう感じじゃない? 「あ、見つけた!」くらいの、間違い探しのテンション(笑)。
私たちを悩ます「推しが多すぎる問題」
もも:正直、推しが多すぎるよね(笑)。わたしはひとりの推しのアクスタを持ち歩く人間ではあるけど、実際はいろんな界隈に推しがいるから、けっこう大変で……。
小春:意識して増やしたとかではなくて、気づいたらいっぱい好きな女の子ができちゃうよね……。
夕奈:どこかで踏ん切りつけてかないと、推し活でいつか破産しそう(笑)。でもWACKだけは、いつかは万チケ(※)を買って、最前で見たいっていう欲もあるな……。
※最前席に近いチケット
小春:私も、推し活が十分にできてないっていう気持ちはある。本当はライブに死ぬほど通いたいし、推し全員の握手会を何ループもしたいけど……。
もも:でも、推しが増えるのは、ある意味幸せな悩みじゃない?
夕奈:確かに、生きる活力をいろんな方面からもらえてるってことだもんね!
小春:我慢しようとしても、どうせこれからも増え続けるだろうしね(笑)。
今回のカフェは・・・JOE TALK COFFEE(恵比寿)
恵比寿駅から徒歩2分。今年3月にオープンしたばかりコーヒースタンド。「日常の」「ありふれた」を意味する「常套句」に由来する店名のとおり、フラッと立ち寄れる気軽さが魅力です。毎日店内で焼き上げるカヌレは、SNSでも大評判。バニラ香るプレーン味と、自家焙煎コーヒーを使用したコーヒー味の2種類を楽しむことができます。
登場したティーンのスナップ
Text: Atsuko Arahata
Photo: Kaori Someya