「気になる10代名鑑」24人目は、阿部舞哉さん(19)。「宇宙にたくさんの人を連れて行って、そこで生活する・・・そんな未来を実現させたい」と夢を語る大学1年生です。中学生のころから宇宙に興味を抱き、宇宙関連の活動を盛んに行う彼の原動力と想いに迫りました。
■阿部舞哉を知る10の質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「宮城県出身、19歳です。早稲田大学の基幹理工学部で、数学や物理を勉強しています。他にもセミナーやワークショップを通して、宇宙開発を文系・理系問わず考えて、問題意識を発信する『宇宙フォーラム実行委員会(SDF)』や、日本初の完全再使用型の有人ロケットの開発する『SPACE WALKER』のインターンなど、宇宙に携わるさまざまな活動をしています」
Q2. 宇宙に興味を持ったきっかけは?
「小さいころから科学系のイベントによく連れて行ってもらっていたのですが、自分の中で大きかったのは、ガンダムとの出会いですね。ガンダムの世界では、旅客機のようにダイヤが組まれていて、地球と火星が行き来できるんです。つまり、日常に宇宙が組み込まれている。その状況にワクワクして、どんどん宇宙への興味が強くなっていきました。
中学生の時点で、日本にも月開発(地球にあるものを月に持っていって、月で地球と同じような生活ができるようにする月面開発)に携わっている会社があることを知っていましたし、高校の志望理由書に『大学では宇宙開発が盛んなところに行きたい』と書いていたので、そのときには自分の将来の方向を決めていたのかなと思います」
Q3. いま頑張っていることは何ですか?
「大きくはふたつあって。ひとつめは、『CanSat(カンサット)』という宇宙開発に関する競技です。JAXAで働く人や工学のプロが必ず経験する競技で、『ローバー』というラジコンのようなものを開発します。実際の宇宙での振動や衝撃に耐えられるかという技術力を競います。チーム戦なので、目標達成に向けて計画を立てて、プロジェクトマネジメントする力も求められます。
ふたつめは、『ASE-Lab.』という、宇宙を好きな人が、好きなだけのびのびと宇宙について学べるコミュニティづくりです。専門的に学びたいけど、今の学部学科だと厳しい、一緒に宇宙を学ぶ仲間がいない・・・そんな人たちが、いつでもどこでも学べるプラットフォームを作成中です。オンラインで繋がれるいまの時代をうまく利用して、一緒に学ぶ仲間を増やしたいです」
Q4. 活動の原動力は?
「『自分は宇宙分野が好きだ』ということを自覚できていて、かつ、その想いを共有できる人が周りにいること、それが原動力です。自分ひとりだと怠けてしまって続かなかったり、孤独に負けることもあるけど、周りに頑張ってる人がいると、刺激を受けて鼓舞されるし、ときに協力しあいながら前に進めます」
Q5.幸せや生きがいを感じる瞬間はどんなとき?
「自分がやってきたことが誰かの役に立っていたとき。何かアクションを起こすときは、『自分が楽しいから、好きだからやる』という感覚だけで行動しているので、後からそれが誰かの助けになっていたと知ることがあると嬉しいです」
Q6. 「宝物」はありますか?
「宝物・・・う-ん、物質にあまり執着がないので、パットは思い浮かびませんね。目標に向かっている時間や、刺激を与えあえる仲間が宝物です」
Q7. 生きる上で大切にしていることは?
「自分を前に出すことです。初対面の人と話をするときは、お互いの『好きなもの』について話すようにしています。人をラベリングするためではなく、お互いの好きなものを尊重して、協力できることがあれば、力になれるような関係性を築けるといいなと思います」
Q8. 社会が「こう変わればいい」と思うことは?
「宇宙開発の話をしたときに、『夢がありますね』と言われないようにしたいですね。宇宙移民や火星移住レベルになってくると、それは現時点では確かに夢ですが、月旅行や宇宙滞在くらいなら、努力すれば必ず手の届くような段階だと思うんです。『楽しみですね』と言ってもらえるように、頑張ります!」
Q9. 目標を教えてください。
「月面都市を開発することです。この間、ZOZO(ゾゾ)創業者の前澤友作さんが宇宙に行ったとき、20人が同時に宇宙空間にいたんです。これが、ここまでの最多記録なんですが、もっともっとたくさんの人を連れていきたいなって思ったときに、足を踏める場所が大事だなと思います」
Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。
「月の開拓ができれば、数百人、数千人規模で暮らせるようになって、街や家庭、社会、営みが生まれるはず。仲間を巻き込みながら、僕が誰もが月に行ける時代をつくるので、そのときはみんなで、月面から宇宙の壮大な景色を見上げながら、バカ騒ぎしましょう」
■阿部舞哉の今日のファッション
「宇宙開発に関わるうちに、ビジネスの場に顔を出したり、研究者に話を聞いたりと、大人の人と顔を合わせることが多くなってきました。なので、フォーマル寄りの服装をすることが多いですね」
■阿部舞哉のSNS
★ASE-Lab.「宇宙好き」が集まる勉強会コミュニティ
Photo:Eri MiuraText:Tomoka UendoEdit:Takeshi Koh