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祝日から学ぶカナダらしさMizuki in Canada #05【Steenz Abroad】

祝日から学ぶカナダらしさMizuki in Canada #05【Steenz Abroad】

こんにちは!現在カナダに留学中の安岡美月です。「Mizuki in Canada」では、カナダでの経験や発見をお届けしています。今回はカナダの祝日についてお届けします!

年間11日間の祝日

カナダには全国共通の祝日である「Federal Holidays(連邦祝日)」が年間合計11日あり、さらに州によって異なる「Provincial Holidays(州の祝日)」が設定されています。日本や他の国と共通の意味を持つものもあれば、カナダでしかみられないような祝日もあります。そして、日本と同じく、日付が固定されている「固定日」と、曜日が固定されている「移動祝日」の2パターンがあります。まずは、連邦祝日の名称と2025年の日程をご紹介します!(*がついているものは移動祝日)

1月1日—New Year’s Day
4月18日—Good Friday*
4月21日—Easter Monday*
5月19日—Victoria Day*
7月1日—Canada Day
8月4日—Civic Holiday(ケベック州以外のすべての州)*
9月1日—Labour Day*
9月30日—National Day for Truth and Reconciliation
10月13日—Thanksgiving Day*
11月11日—Remembrance Day
12月25日—Christmas Day
12月26日—Boxing Day

また、
州の祝日は各州がそれぞれ設定しているものなので、名称が同じでも、州によって日付が違ったり、そもそも祝日にならないところもあります。

日本と共通の祝日

国は違えど、同じような目的で設定された祝日もいくつかあります。例えばNew Year’s Dayは日本の元旦と同じく、新年をみんなでお祝いします。また、Canada Dayは日本でいう「建国記念日」のような日で、1867年にカナダ連邦建国の基盤となった「1867年英領北アメリカ法(現1867年憲法法)」の制定を記念する日です。

日本と目的は似ているが違う祝日も—Labour Day—

日本の祝日と名称が同じでも、目的の違う祝日も存在します。Labour Dayは直訳すると労働者の日。日本で労働者に関連する祝日といえば勤労感謝の日です。日本の場合は神道の新嘗祭に由来し、働く人に加え、収穫への感謝を表すことを目的にしています。一方カナダのLabour Dayは、1872年にトロントの労働者によって行われた、労働者の権利の拡大を主張したストライキが起源。そのため、働く人に感謝をするという点では同じですが、労働者の権利が拡大されたことを祝うとともに、さらなる労働環境の改善を訴える活動(ストライキ)が多く行われます。

例えば、カナダ郵便労働組合によるストライキ。ポスタルストライキといって、国内すべての郵便局が閉鎖、郵便の受け付けと配送が停止します。今年は少々長く、9月中旬に始まったストライキが、未だ完全には復旧していません。わたしは現地に到着してすぐの9月上旬に銀行の口座開設をしたのですが、その際に必要な社会保険番号(日本のマイナンバーのようなもの)の提出を求められる手紙が発送はされていたものの、実際に届いたのは、提出期限ギリギリの10月の下旬でした。ストライキの影響で仕方ないとは分かっていたものの、少々焦りと不便さを感じました。加えて日本からの郵便は受け付けが今現在も停止しているようで、荷物の受け取りに困っている学生も多いようです。

また、今年は航空会社によるストライキや、アルバータ州では公立の学校の教員によるストライキも発生してしまいました。わたしの大学では一時的に子どもたちを預かるエリアができたり、大学生が年下の兄弟とその友人たちを連れて一緒に登校している様子を何度か見かけたりしました。

大学による全校生徒・職員に向けた、託児場所の案内のメール

様々なサービスが停止してしまい、実際困ったことも多々ありましたが、「権利」をとても大事にし、積極的にアクションを起こす様子を見て、日本との文化や考え方の違いを実感しました。カナダ人は周りの人も大切にすることはもちろん、自分のことも大事にし、実際に行動に移すところに魅力を感じました。

Thanksgiving Day—感謝祭—

「感謝祭」とも呼ばれるこの祝日は毎年10月中旬に設定されています。元々は「豊作祈願」が目的でしたが、いまでは「家族で過ごす日」という意味が強くなっています。親戚一同が集まり、七面鳥など、とにかくごちそうを準備し、食べます。わたしは寮にいたのですが、ほとんどの学生が実家に帰省している様子を見て、改めてカナダの人にとってこの日がとても大切なんだということを認識しました。遠くに住む親戚もこのときには家族と集まり、ゲームをしたり映画を観たり、近況報告をし合ったり、充実した連休を過ごすようです。

また、感謝祭前後は大きなセールも実施されるので、たくさんの人が買い物に出かけていました。ちなみに、ブラックフライデーとは別です。アメリカの感謝祭は11月下旬にあり、11月最後の金曜日に行われるのが、日本でも行われるブラックフライデーセールです。時期は全く異なりますが、帰省してごちそうを食べる文化は同じのようです。また、カナダではブラックフライデーのセールも実施されるので、秋は買い物シーズンです!わたしの住む地域は冬の気温が氷点下40℃ほどまで下がるので、それに耐え得る防寒着や耐雪性のあるスノーブーツなど生活において揃えなければならないものも多く、とても助かりました。

購入した数日後に初積雪!

Remembrance Day—戦没者追悼日—

カナダで最も重要な祝日のひとつと言われるのがこのRemembrance Day。平和に感謝し、平和を祈る日です。この日は第1次世界大戦が起源となっていて、戦争でなくなった方を追悼し、平和のために戦った兵士たちをねぎらい、その平和に敬意を表すという意味が込められています。

そのため11月のカナダでは、様々な場所で平和について考える機会が設けられています。また、11月1日から11月11日は左胸にポピーのピンを身につけます。激戦地となったフランダース地方で、戦争終結後の荒野一面にポピーの花が咲いたことに由来していると言われています。そして、11月11日の午前11時11分はThe time of the silence(静かなとき)という、2分間の黙祷の時間があります。この時間は公共交通機関を含むすべての活動が一時的に止まり、国全体が静かに祈りを捧げます。

胸につけるポピーの花

キャプション:胸につけるポピーの花

祝日を通して感じるカナダらしさ

カナダの祝日は、日本と似た意味を持つものから、歴史や文化を強く反映したものまで、本当に多彩です。まだ一部しか体験できていませんが、実際に過ごしてみることで、人々が大切にしている価値観や、地域ごとの違いを肌で感じる場面も多くあります。特に、積極的に行動する姿勢や、家族や仲間とのつながりを大切にする文化は、日常の中でも深く根づいているように感じます!

安岡美月のプロフィール

2006年生まれ、福岡育ち。9月から1年間、教育や社会学の勉強のため、カナダ・アルバータ州に留学中。大の動物好きで、実家では4種7匹の動物を飼っている。特技は言語習得と三線。3ヶ月もあれば日常会話くらいまではできるようになる。

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Mizuki Yasuoka

2006年生まれ、福岡育ち。立教大学Global Liberal Arts Program在学中。福岡市のNPO法人「アジア太平洋子ども会議イン福岡(APCC)」にて、同窓会組織 BRIDGE CLUB Japan プレジデントを務め、国際本部 BRIDGE CLUB International Organisation のヘッドオフィスメンバーとしても活動。同団体による子ども大使として、ブータン、タイ、台湾への派遣を経て、中学生で単身カナダへ留学。その後、第57回国連人権理事会(UNHRC)に出席するなど、国際的な経験を積んできた。これまでの活動で培った国際感覚とネットワークを活かし、現在も国際交流・異文化理解・教育の分野で活動を継続中。

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