
タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回は「AIの使い方」について聞いてみました。勉強や部活、ライフスタイルにまで、活用し放題なAI。10代はどんなふうに向き合い、使いこなしているのでしょうか? その利便性からデメリットまで、ティーンのリアルな意見を調査しました。
1. かわかつさん「勉強も日常も頼れる相棒」

慶應義塾大学SFCに通いながら、主権者教育やメディアリテラシー教育に取り組んでいる19歳。
「誰にも言えないことを話す人生相談から、塾講師としての業務まで、幅広くAIを活用しています。
塾講師で使うときは、英語の問題を送って、すぐに解説を出してくもらっています。他にも、小論文の添削やウェブ記事のライティング、さらに、人を傷つけないLINEの文面を考えてもらうこともあって……。
AIは、勉強にも生活にも頼れる相棒のような存在です」
2. Souさん「便利さと同時に、倫理の欠如も感じる」

逗子開成高校の部活で、能登半島でのボランティアや珠洲焼の販売企画など新しいボランティアのかたちに挑戦している16歳。
「最近、日本語ディベート大会に出場する機会がありました。
司法取引に関して調べる必要があり、マイクロソフトが開発したAIアシスタント『Copilot(コパイロット)』を活用。使ってみた感想は、めちゃくちゃ便利で感動しました。
AIは、データをまとめて提示するという動作において、人間が1時間かかるところを5分程度で仕上げてしまいます。文章を作ったり、画像を作ったりとクリエイティブな部分においては課題があると思いますが、使い方を理解すれば、本当に便利なものだと感じています。
ただ一方で、最近AIが自殺をほう助して訴訟を受けた事件を知って、AIにはまだ倫理的な感覚が学習されていないのではないないかと考えてしまうこともあります」
3. 門口愛実さん「感想文を任せたら、まさかの失敗」

発達障がいや不登校に悩む中高生に寄り添う手段として、『インクルーシブ教育』に関心を持ち、SNSでの発信や教育関連イベントの企画を重ね学生団体を立ち上げた17歳。
「学校の国語の宿題で感想文を書かなければならず、少し面倒だと思いchatGPTに代筆お願いしました。ところが、できあがった文章は内容が的外れで……、そのまま提出してしまって、焦った経験があります。
便利だからといって全部を任せるのは良くないなと実感しました」
AIを「便利な道具」として使う一方で、その「危うさ」も意識しているティーンたち。そのリアルな声からは、AIとの距離感を模索している姿が浮かび上がってきました。これからも「10代リアルVOICE」では、世の中を自分ごととして捉えるティーンの視点を伝えていきます。
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano