
「書評アイドル」として執筆活動しながら、モデルなど幅広く活動している20歳のわたし、小春による書評フォトエッセイ連載企画 “Steenzブックレビュー。
今回は、「自分の可愛いをあきらめたくない人」ににおすすめの1冊『ピクニック部』です。今回も、わたしと同じく以前10代名鑑に出演されていた写真家の村山莉里子さんに撮影をいただいて、「感情と風景が交差するところ」をコンセプトに、新しい本との出会いをみなさんに届けられたらと思います。
どうしたらあの子みたいに可愛くなれる?
私は、可愛いものをみることが大好き。例えば雑誌。1ページ1ページ、可愛い洋服、モデルさん、可愛いヘアメイクに言葉……。「可愛い」がぎゅっと詰まっている。私にとって可愛いは、胸がときめく感情そのもの。でも、見るだけで終わってしまうのは、自分に自信がないから。だから、「可愛い」と思う感情には憧れや嫉妬も含んでいる。
小さい頃は、自分の好きなものが明確にあって、周りなんて気にしたことがなかった。PLAZAのペンケースにSWIMMERのペン、毎月購入した雑誌、JENNI loveのお洋服、歌って踊れる人になりたいという夢。でも否定される不安が積み重なってしまって、いつの間にかどんどん自分に自信がなくなっていった。今となっては、ペンは機能性を重視して、雑誌は購入しなくなったり、洋服もInstagramでみて満足。どうしたらあの子みたいに自分に自信を持てるんだろう? その強さはどうやって得られるものなんだろう?
「可愛い」を貫くピクニック部
今回の物語の主人公は、可愛いのもがとにかく大好きな男子、源治善悟郎。彼は、私服がSNIDELで、お菓子つくりが上手。好きな雑誌が決まっていて、とにかく自分の好きな「可愛い」を貫いている。
そんな彼がある日、高校で義足で歩いている乃梨子先輩を見かけ、その姿に可愛に思わず恋をしたくなってしまう。ついには、乃梨子先輩を追いかけてワンダーフォーゲル部に入ることに。そこでは、見た目がクールな里美先輩と「乃梨子先輩の可愛さ」や可愛いブランドの話などで意気投合。そして、そんな可愛い乃梨子先輩を守るためにも、義足の負担も考えたピクニック部を創部することになる。
「ワンダーフォーゲルで最も大事なこと、それは爽やかさ」
作中で、「ワンダーフォーゲルで最も大事なこと、それは爽やかさ」と語られている。乃梨子先輩は、みんな頑張るベクトルを間違えてしまう中で自分を貫いて頑張り続ける善悟朗のまっすぐな姿が爽やかさだという。
私がそうなんだけど、可愛く好きな自分でいるにも、周りに影響されたり、誰かを羨ましく思ったり、右往左往することもあるよね。結局、「可愛い」を諦めないためにはまっすぐ生きられる「強さ」が必要なんだと思う。でも、その強さは、「強くいなきゃ!」って思うんじゃなくて、自分に誠実であることを忘れないことなんだと思う。だから、「弱いから」っていう理由で諦めるのをやめた!最近は、1人の時間を増やして、好きな雑誌を読んだり、小学生のころ好きだった音楽を聴いて私にとっての「可愛い」を思い出すことから始めているよ。夏休みは見るだけだったブランドに行く予定!
今回紹介した本
『ピクニック部』/嶽本野ばら/小学館