
「気になる10代名鑑」の1070人目は、得丸創生さん(18)。海外で学生生活を送りながら、独学でプログラミングを学び、AIを用いた教材のシステムを作りました。この成果が評価され『未踏ジュニア』という最先端のクリエイター支援プログラムに参加した経験もあります。「マイクラをきっかけに世界が広がりました」と話す得丸さんに、印象的だった出来事や今後の展望をくわしく聞きました。
得丸創生の活動を知る5つの質問
Q1.プロフィールを教えてください。
「デジタル空間上でものづくりをしています。ここ1年は、ソフトウェア開発、特にLLM(大規模言語モデル)をベースとしたAIを用いて、プログラミング教育に力を入れています。
中学1年生からマレーシアのインターナショナルスクールに通っていて、最近帰国しました。小学生の頃からゲームの延長でパソコンを触り始めて、独学でプログラミングを勉強したり、中学生にパソコン教室でレクチャーしたりしていました。
あるとき、『これ、自分がやるより、AIが教材になったらもっと効率的なのでは?』と思いついて。わからないことを打ち込んだら自動で答えてくれたり、生徒の進度に合わせてカリキュラムを提案するAI教材をつくりました」
Q2. 活動を始めたきっかけはなんですか?
「コロナ禍で何にもすることがなくなってしまったとき、オンラインで繋がっていた友人たちとマイクラ(Minecraft)にのめり込んだことです。
あるとき、『Minecraftカップ』という大会を見つけて。日本にいる友人と夢中になって、大会のテーマに沿った街を作り、応募しました。いわゆる『ぼくたちがかんがえるさいきょうのまち』ってやつです。
初めての応募で、ファイナリストになれたことはとても嬉しかったですね。それに、自分が好きでやっていたことに仲間が加わって、評価されたという経験も初めてで。“ひとり”から世界をもっと広げたい、シェアしたいと思うようになりました」
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Q3. 印象的だったことは?
「開発した学習ソフトをアメリカでデモンストレーションしました。
世界中の小中高生がユーザーになっている『Scratch』というプログラミングソフトがあって。指示が書かれたブロックを組み合わせて猫のキャラクターを動かす、『Scratch』の裏側のシステムをベースにして自分の作品を開発したことがきっかけで、その開発者に当たる人たちに会うことができました。
『今日はこれ(Scratch)に新しい機能をつけたので説明しますよ』と、あまりにもすごいことがサラリと進んでいくのを見て、ぼくにとっては『わあ……この世を操ってるみたいな人たちだ』と深く感動したのを覚えています」
Q4.活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「常に上には上がいるし、技術も日々アップデートされていくなかで、『いま自分ができることってあるのか?』と悩みます。
アメリカですごい世界をのぞいたこともそうですし、高校2年生のときに『未踏ジュニア』というクリエイター支援のプログラムに採択され、参加したときも、それは感じることでした。
採択される周りのクリエイターもどんどん若くなっていて焦りますし、勉強して身につけたプログラムのコードも、いまではAIが一瞬で書いてくれて、しかも正確なんですよね。
できるだけ最先端に触れて知っていたいと思うので、毎日勉強して、気になるテクノロジーがあったら手を出してみることは意識しているつもりです」
Q5. 今後の展望は?
「いまは、新たにのめりこめることを自由に探している途中なんです。自分がつくったAI教材の開発にひと段落つけたのですが、それでもAIの進歩は引き続き追っていきたいです。
ある意味、AIはレクチャーという当時の自分の仕事を奪ったようなものなんです(笑)。でも、その分自分のために新しく使える時間をつくれるようになったという意味で、それは“進歩”だと思います。そういった、人間の可能性をAIがポジティブに広げられるようなかたちを探したいです。
また、未踏ジュニアの先輩では、資金や協力者を募り、起業から開発、リリースまでをひとりでやってしまう人もいて。ただすごいものをつくれるだけじゃなくて、つながりも大切にしながら、もっと大きいビジョンを叶えていく姿に憧れます。秋から始まる学生生活は、コミュニティを広げることにも挑戦したいです」
得丸創生のプロフィール
年齢:18歳
所属:慶應義塾大学環境情報学部(SFC)、未踏ジュニア
趣味:ビデオゲーム(特にマイクラ)
特技:同じような趣味を持った人と繋がること
大切にしている言葉:明日死ぬなら何をしよう?
得丸創生のSNS
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じゃんじゃかじゃーん https://t.co/okxUl0WOlf pic.twitter.com/BTzLZGTSZS
— そうまめ (@So_to9) March 9, 2025
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Photo:Nanako Araie
Text:Chihiro Bandome