
「気になる10代名鑑」の1033人目は、岩崎愛彩さん(19)。すべての若者が自分らしく生きられる社会を目指してユースワークに取り組んでいます。進学先の京都を選んだのも、ユースワーカーになる夢を叶えるためだったと話す岩崎さんに、活動する中での悩みや今後の展望についてあれこれ聞いてみました。
岩崎愛彩を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れていることは?
「教育格差や体験格差をなくす『ユースワーク』に力を入れています。すべての若者が自分らしく輝ける社会を実現するために、ユースワークという道を選びました。
いまは、実際に現場で活躍するユースワーカーの方々に会いに行き、話を聞いたり、ユースセンターなどの施設を見学したりしています。また、関連する論文や書籍を読み、知見を深めると同時に、中高生を対象としたイベントの企画・運営や、仲間が集うコミュニティづくりにも取り組んでいます!
京都に進学したのも、日本の中でも特にユースワークが盛んな地域だったから。『ユースワーカーになる』という目標を叶えるために、京都という場所を選び、日々学びと実践を重ねています」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「わたしは小さい頃から、ひとの役に立つことや、ひとの笑顔を見ることが好きでした。ありがたいことに、多くの環境にも恵まれ、高校生の頃から関心のある活動やボランティアに積極的に参加することができました。
その中で出会ったのが、ユースワーカーとして活動する大人たちです。高校2年生という多感な時期に、親でも教師でもない第三者が、心から親身になってわたしに向き合ってくれたことに大きな衝撃を受けました。年齢や立場に関係なく、ひとりの人間として接してくれるその姿勢に、強く心を動かされて。
一方で、高校生になってからは、わたしと同じように恵まれた経験をしてきた同年代が決して多くないことにも気づきました。学校の内外で出会ったさまざまなひとたちとの関わりを通して、『誰かの力になりたい』『同世代の選択肢を広げたい』という思いが芽生えていきました」
Q3.活動する中で、悩みがあれば教えてください。
「ユースワークに取り組むなかで、言語の壁を抱えるひと、障がいというハードルを抱えるひと、家庭環境に悩みをもつひと、と一った、それぞれに異なる事情を抱えているひとたちに出会ってきました。
そんな中で、ある生徒に『どうせお前には、俺の気持ちなんてわからない』と言われてしまったことがあって。
周囲に相談してみると、『まずは真正面から対面で、丁寧に関係を築いていくことが大切』とアドバイスを受けました。そこで、改めて相手に向き合い、謝罪の気持ちも込めて、言葉を選びながら丁寧に接していくと、相手も『さっきは感情的になってごめん』と少しずつ本音を話してくれるようになってくれました。
もちろん、すべてのケースがこのようにうまくいくわけではなくて、背景も抱えている課題も違う相手と信頼関係を築くには、簡単ではないことも多いです。だからこそ、わたしはその難しさと正面から向き合うためにも、大学で学び続けています。知識や視点を増やしながら、より良い関わりができるユースワーカーになれるよう、これからも模索していきたいと思っています」
Q4. 活動を通して実現させたいビジョンは?
「若者が格差に苦しむことなく、自分らしく輝ける社会です。
学びたくても学べない、田舎に住んでいて経験の選択肢が限られている、機会が近くにあってもその情報が届かないという“目に見えにくい格差”に、これまで何度も直面してきて。そんな『自分ではどうしようもない事情』で可能性を閉ざされない社会をつくりたいと思っています。
だからわたしは、当たり前を享受できないひとに向き合って、少しずつでもいいからそのひとの歩みを後押ししていきたくて。たとえ家庭や環境に問題があったとしても、この世界にはもっと面白い社会があることを、関わったひとに伝えられる存在になれたらと思っています」
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Q5. 将来の展望は?
「ユースワーカーとして地元・名古屋でユースワークを広げていくことです。名古屋は、これまでわたしが多くのひとに支えられて育ってきた場所です。だからこそ、次はわたしがこの街の若者たちを支える番だと思っています。
まだユースワークが十分に届いていないし、取り組みをまずは身近なところから知ってもらいたいと思っていて。だからこそ、名古屋で出会う次世代の若者たちといっしょに、この取り組みを少しずつ広げていきたいです。そして、わたしが受け取ってきた優しさや支援を、バトンのように渡していけたら嬉しいです」
岩崎愛彩のプロフィール
年齢:19歳
出身地:愛知県名古屋市
所属:同志社大学社会学部・学生団体マヒロヤ
趣味:スポーツ観戦 食べること
特技: 要確認
大切にしている言葉:恩送り
岩崎愛彩のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Honori Kukimoto