
「気になる10代名鑑」の1028人目は、八木智代さん(19)。フラッグフットボールの日本代表として国際大会などでも活躍する大学生です。2028年のオリンピック出場を目指しつつ、今年の夏からのアメリカ留学に向けて準備を進める八木さんに、そのきっかけや将来の展望を聞いてみました。
八木智代を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「フラッグフットボールという競技の日本代表候補メンバーとして、日々練習に取り組んでいます。
フラッグフットボールは、アメリカンフットボールをより安全に老若男女問わず楽しめるように考案されたスポーツです。タックルの代わりに、腰に着けたフラッグを取るプレーが特徴のひとつで、2028年のLAオリンピックには追加競技として採用されました。
わたしは2023年から日本代表にメンバー入りして、今年6月にLAでおこなわれたInternational Bowlに出場し、8月におこなわれるThe World Gamesに出場予定です。また、今年の夏からフラッグフットボールの強豪国であるアメリカに留学を予定しています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「もともと3歳年上の兄がプレーしていたり父がコーチをしていたりして、よくグラウンドについていって遊んでいたんです。自然に『わたしもいつかプレーするんだろうな』とは思っていて。それで、小学校1年生のときに始めました。
その後、中学生のときに一旦離れたのですが、高校2年生のときに新しくジュニアインターナショナルカップというユース世代の国際大会が始まるというのを聞いて、4年ぶりに競技を再開しました。
本場アメリカで開催された国際大会に出場したときは、現地での盛り上がりに圧倒されました。各国の選手と交流するときのお祭りのような雰囲気もフラッグフットボールの魅力だと感じています」
Q3. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「2024年8月の世界選手権に出場したとき、世界強豪国のアメリカのチームに自分と同じ大学生の選手がいることを知って刺激を受けて。この大会で3位であったという結果もあって、もっと上達したいなと強く感じたし、できるならば本場でより強い選手たちとプレーしたいという気持ちが芽生えましたね。
あとは、いっしょに代表としてプレーしていた2歳上の選手が、フラッグフットボール留学のためにアメリカの大学に編入したんです。彼女の挑戦を見て、自分にもその選択肢があると知って、アメリカ留学がうんと身近なものになりました」
Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「2023年にはじめて代表入りしたときは、とにかく自信がありませんでした。
自分よりも上手い選手たちとプレーしていると、『自分なんて』と思ってしまったり足りないところが見えてきたり……。『不安なのを見せないようにしないと』と考えていた時期は、つらかったですね。
でも、コーチが『成長の早さや吸収力があなたのよさだ』って言ってくれたんです。コーチとの対話を通して自分と向き合った結果、自分の長所を言語化することができて。チームへの頼り方も学びましたね。
自分の足りないところに気づけたら、それは成長のチャンスだと捉えられるようになったと感じています」
Q5. 将来の展望は?
「直近の目標は、2028年のLAオリンピックに出場して、メダル獲得に貢献することです。
今後もフラッグフットボールをライフワークとして続けていけるかどうかは、2032年以降のオリンピックで継続して競技として採用されるかどうかにかかっていると思います。一時的なブームとして終わってしまうのか、日本でもカルチャーとして根付いてメジャースポーツになっていくかはまだわかりません。
でも、わたしが純粋に『楽しい』と思って続けてきたフラッグフットボールを、日本でたくさんのひとに知ってもらい、応援してもらえるようなカルチャーをつくりあげていきたいと思っています」
八木智代のプロフィール
年齢:19歳
出身地:東京都板橋区
所属:国際基督教大学、東京ヴェルディフラッグフットボールチーム ローゼス、Aloha(ICUフラッグフットボールサークル)
趣味:観劇
大切にしている言葉:人間冥利
Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa