
「気になる10代名鑑」の1037人目は、さえさん(14)。進路支援を行う団体を立ち上げてエネルギッシュに活動を続けています。転校経験から日本の進路の考え方に疑問を持ち始めたというというさえさんに、進路のあり方についてのビジョンや今後の目標について聞いてみました。
さえを知る5つの質問
Q1.いま、力を入れていることは?
「『ココカラ』という進路支援団体を立ち上げました。おもに全国のZ世代やα世代の学生たちとともに、オンラインイベントを企画・運営したり、進路教育についてディベートを通じて価値観を共有したりしながら、どうすれば自分たちのような若い世代が、将来の選択肢を広げられるか、日々考え続けています。
自分が目指す進路支援のかたちは、進路を『教える』ことでは決してなくて。学生一人ひとりが安心して自分と向き合い、よりよい進路の選択を自ら進んでできるような『環境を整える』ことだと考えています。
自分たちのチームには、中学生から社会人まで、さまざまな背景や価値観をもったメンバーが集まっています。それはまるで、ひとつの小さな多文化共生社会のようだと考えていて。だからまずはチームを、年齢や立場に関係なく対等な立場で意見を交わし、ともに悩み成長できる“環境”を整えているところです」
Q2.活動を始めたきっかけは?
「これまでに4つの学校を転々としてきた中で、進路支援のあり方に疑問をもったことがきっかけです。
実際、進路に対する考え方には差があって、進路指導の色も大きく違うと、実感することがあって。だからこそ、あらゆる生徒が未来に希望を持つには、進路選択が平等に尊重されるような空気感を世の中に宿していかなければならないと使命感を持つようになりました。
活動は、自分が進路教育について感じていることをSNSで発信することから始めました。すると次第に共感してくれたり、賛同してくれたりする方々の声が集まるようになって。団体の立ち上げや運営でも助けてもらうことも多いです」
Q3.活動で大切にしていることは?
「興味のあるなしにこだわりすぎず、とにかく飛び込んでみることを大切にしています。
興味がないことも、まだ出会っていない自分の可能性になりうると思うんです。思わぬ発見や楽しいことに出会えると、今までの自分の殻を破る感覚があって、好奇心の幅が広がっていく毎日です。
一方で、自分は完璧主義なところがあって、活動の中で『本当は何をすべきなんだろう』と、すべてが中途半端に思えて苦しかったこともありました。でも、『何者でもないからこそ、何にでもトライできるんだ』とポジティブに捉えるようになれて。いまは、決まった正解を求めるのではなく、変化の中で『まだ知らない自分』との出会いを大切にしたいです」
Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?
「社会を『すべてのひとが夢を応援してもらえる環境』に変えていきたいです。
そのために、今後は自分の団体の進路支援活動を全国規模に広げていくつもりです。そして徐々に、各地の学校にまで直接支援が行き届くように少しずつ支援の輪が広がっていったら良いなと感じています」
Q5.将来の展望は?
「いま取り組んでいる教育の軸だけではなく、医療分野についても学びを深めて、医療と教育現場を掛け合わせた取り組みをしてみたいです。
その第一歩として、『トビタテ!留学JAPAN』という留学支援プログラムに応募して、トビタテ生として採択されたら、開発途上国で医療現場を体感する留学に行きたいです。これまで自分が出会ったトビタテ生は、どんな困難にも前向きに、ひたむきに挑戦しているひとがほとんどで、憧れの存在なんです。なりたい自分になれるよう活動を続けていきます」
さえのプロフィール
年齢:14歳
出身地:埼玉県
所属:First bee、ココカラ
趣味:いろんな人と話すこと
特技:食器洗い、人を笑顔にすること
大切にしている言葉:命有して恐れなし
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Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami