
「気になる10代名鑑」の1009人目は、東坂明憲さん(17)。地元である東京都豊島区に魅了されてから、豊島区の魅力発信や調査を行い地域の政治について研究しています。将来の夢はノーベル賞と国連総事務長だと語る東坂明憲さんの、活動に対する想いやありたい姿について話を聞きました。
東坂明憲を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「僕の地元である豊島区のポテンシャルを最大限に引き出し、『温故知新・最先端』の豊島区を創造するため、区政の研究を行っています。
豊島区は池袋という大都市がある一方で、雑司ヶ谷・巣鴨・南長崎といった昔ながらの情緒が漂う街があり、目白・千川などの閑静な住宅街もある多彩な表情を持った区です。埼玉や横浜から30分ほどと交通の便もいいですが、池袋以外はあまりひとが来ない地域で。もっといろんな豊島区の魅力が伝わって、ひとで賑わう地域になってほしいんです。
具体的な活動として、都市計画の分析や現地調査としてのインタビューを行い、それらをまとめたポスターや論文を作成しています。自分の足で調査をすることで、ネットには載っていない魅力を発見して伝えることをこだわっているんです」
Q2.活動を始めたきっかけは?
「中学生の頃にサイクリングにハマっていて都内の自治体を自転車で巡っていました。そうして豊島区の景色を眺める中で、その魅力に目覚めてしまったんです。
都市開発をする地域が多い中で、豊島区はずっと姿を変えていなくて。昔ながらの街並みが残っていたり高級住宅街があったりと、いろんなものが入り混じっていて、僕にとってはなんでも生まれそうな予感がするんですよね。
そこから、豊島区の未来や魅力について考えることが多くなり、研究や魅力発信の活動を初めていきました」
Q3. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「活動を始めたての頃、まずは自分が豊島区に詳しくなろうという思いから、地域の住民の方にインタビューをしていたときの出来事です。
地域に長く住むおばあちゃんが、区役所庁舎が老朽化によってリノベーションされることについて『あれは壊さないでほしかった』と話してくれて。それは、古いものは壊してどんどん新しくすることが良いと考えていた僕や他の地域のひととは、真逆の意見だったんです。
そう思う理由を聞いてみたところ、『戦後豊島区が復興する中で区民の生活を支えてくれた区役所だったから、すごく思い入れがあった』と教えてくれて、自分にはない視点に気づかされて。
その経験から、ただ新しくするのではなく、いままで頑張ってくれていたものへの愛や敬意を持つ大切さを知って、自分の活動のテーマを『温故知新』にしました」
Q4. 最近、新しく始めた挑戦はありますか?
「若者の政治についてカジュアルに議論するラジオ番組『ジェネポリ』を始めるために準備をしています。これは、自分がプロデューサー兼パーソナリティーを務め、高校生から大学院生の若者や専門家をゲストに招いて討論するというものです。
地域とその政治が自分の興味分野なのですが、この面白さをわかってくれる同世代が少なくて。もっとカジュアルに政治に触れる機会を届けることが必要だと思ったんです。
それに、ともにパーソナリティーを務める相方は国の政治に興味があるひとなので、区政と国政の両方の視点から政治を考えるのが楽しいですね。ラジオが始まって自分の考えがどのように同世代に届くのか、とてもわくわくします」
Q5. 将来の展望は?
「何といっても豊島区を皮切りに、日本を『古き良きもの』と『加速し続けるもの』が共存した国にしたいです。そのためには日本の魅力を底上げする必要があると考えていて。そのために、ノーベル賞を日本人として受賞したい、国連事務総長になりたいという目標があります。
ですが、将来自分がどんなに大きなことを成し遂げたとしても、全ての経験はプロセスであると忘れないでいたいです。成し遂げた先に何ができて、そこからさらにどう成長できるのかを常に考える、いつまでも未完成な自分でいたいと思っています」
東坂明憲のプロフィール
年齢:17歳
出身地:東京都 新宿区
所属:S高等学校3年生、N高グループ政治部(アドバンスコース)、 月刊「高校生新聞」記者、ラジオ番組「ジェネポリ」プロデューサー、東京都中高生政策決定参画プロジェクトメンバー
趣味・特技:馬術、囲碁、歌唱、変人
大切にしている言葉:「逃げない、はればれと立ち向かう、それがぼくのモットーだ」(岡本太郎)
Photo:Nanako Araie
Text:Rinna Koike