
タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回は、多様な時代を生きる10代が「最近気になった時事問題」について。現実に起こる出来事をどのように受け止めて、何を感じているのでしょうか。興味関心があったニュースについて、6人のティーンに聞きました。
1. 魅音さん「音楽の力で変わっていく世界」

ヴァイオリンを通じて人と人をつなぐことを大切にしながら、演奏活動や芸術祭の企画に取り組む17歳
「トヨタグループと音楽業界がタッグを組んで始まった『MUSIC WAY PROJECT』。これは、日本の音楽を世界に発信し、若いアーティストの成長をサポートしていくプロジェクトです。
トヨタのような大きな会社が音楽業界を盛り上げてくれることに、すごくワクワクしました。これから音楽業界を目指していくひとたちにとって、すごく嬉しくて心強いことだと思います。
音楽の力で世界が少しずつ変わっていく。その瞬間を自分の目で見られるかもしれないと思うと、ドキドキします」
2. 佐藤愛奈さん「ミャクミャクの魅力から広がった万博への興味」

組織運営者と制作者という2つの顔を持ちながら、大学内のコミュニティで、ファッションをテーマにさまざまなイベントに携わっている19さい
「4月13日から始まった大阪・関西万博のニュースです。
特に、マスコットキャラクター『ミャクミャク』。独特なデザインが好きで、関連広告を見かけるとつい目がいってしまいます。
もちろん、万博に対して批判的な意見も多くあると感じています。でも、開幕したいまだからこそ、課題だけでなく、いいところにも目を向けていきたいです」
3. 水野美咲さん「報道されなくなっても、目をそらさずにいたい」

高校時代のインドネシアでの留学経験がきっかけとなり静岡で観光をテーマに活動している18歳。
「最近、ガザに関するニュースが減ってきたように感じています。でも、報道が少なくなったからといって、状況が落ち着いたとは限らないと思うんです。
ニュースで見なくなると『もう収束したのかも……』と思ってしまいがちですが、実際にはいまも多くのひとが苦しんでいるのではないでしょうか。
たとえ報道されなくなっても、目をそらさずに関心を持ち続けること。自分から知ろうとする姿勢が大切だと感じています」
4. 梅木岳人さん「多様な文化があるいま、生きる視点を考えることが必要だと思う」

紅茶農家や養鶏農家などを学びながら、生産から販売まで行う農業の6次産業化に実践的に取り組む19歳
「最近、日本における移民の受け入れ問題に関心を持つようになりました。
たとえば、2024年6月に現行の技能実習制度が廃止され、『育成就労制度』という新しい仕組みが登場します。これは、日本の人手不足を補うための人材育成を目的とした制度です。ほかにも、埼玉県川口市では、トルコから逃れてきたクルド人が多く暮らしていて、さまざまな社会課題が起きているというニュースに興味があります。
多様な文化や背景を持つひとたちと、どのようにともに暮らしていくのか。そのためにどんな価値観や社会の仕組みが必要なのか、改めて考えさせられました」
5. 吉田祐梨「米国制度の変化が自分ごとのように感じる」

若者の食生活をテクノロジーの力で支えたいと、アプリ開発に取り組み数々のコンテストに参加している15歳。
「アメリカで、約4700人の留学生のF-1ビザが一時的に取り消されたというニュースを見て、不安になりました。
報道によると一部は撤回されたそうですが、今後どうなるかはまだ分からないと思います。
わたし自身、夏からアメリカへ留学する予定なので、まさに自分ごとのように感じました。留学って、勉強だけじゃなくて、制度や社会の動きにもちゃんと目を向けることが大切だなと実感しています」
6. 山崎陽奈さん「移民受け入れに積極的なスウェーデンでの事件」
「移民の受け入れに積極的なスウェーデンで起きている、いくつかのニュースが気になっています。移民や難民の増加にともなって、治安の悪化や地域の分断といった課題が浮き上がってきているようです。
たとえば、今年2月には、移民が多く通うスウェーデン語教育を行う学校で銃撃事件。さらに6月には、ギャングに関わっていたとされる14歳の少年が銃殺されるという出来事もありました。子どもたちの更生や保護を目的とするはずの施設が、逆に犯罪の入り口になってしまっている現実に驚きました。
わたしは、今年の秋からスウェーデンに1年間留学します。だからこそ、福祉国家と呼ばれるこの国の“光”と“影”、その両方を、自分の目でしっかり見て、感じて、考えていきたいと思っています」
最近気になったニュースといっても、そのテーマはカルチャーから国際情勢までさまざまでした。気になった挑戦や共感できる目標はありましたか?これからも10代の関心ごとや、彼らのリアルな視点と声をお伝えしていきます!
Photo:Nanako Araie,Kaori Someya
Text:Serina Hirano