
―誰かが手放したものは、誰かの宝物になる。
フリマで出会うアイテムってそれぞれにストーリーがある。服のシミやほつれから、前の持ち主の生活がわかったり、ハンドメイドのアイテムから、作り手の人柄や想いを感じたり……。そんなビハインドを想像したら、そこで出会ったモノをもっと大切にできる気がする。
そして何より、フリマって”宝探し”そのもの。
無造作に積まれたアイテムの中から、お気に入りを見つける瞬間がたまらなく気持ちいい。古着屋やリサイクルショップもいいけれど、トレンド関係なく、ジャンルや出展者も多種多様なフリマから、自分だけのお宝を探したいんです!
モカに聞く、フリマの歩き方
そこで、フリマ巡りの先生として以前「気になる10代名鑑」にも出演してくれた、スタイリスト志望のモカ(21)をお迎えしました。暇さえあれば古着屋やリサイクルショップにいると語る、大の服好きの彼女なら、フリマで宝探しするのもお手のもの、いや、むしろ大好物なはず!セカンドハンドをこよなく愛する彼女に、大井競馬場第一駐車場”Tokyo City Flea Market”でアイテム探しのトリセツを聞いてみました。
いざ、大井競馬場フリマのディープゾーンへ!
東京最大級のフリマといえば大井競馬場。フードの出店もあっと、フリマ独特の雑多な空気感がたまらない。 小さい頃、買い物途中のケバブを楽しみに家族と来ていたのを思い出すな〜。
開場と同時に到着したものの、既にあたり一面、人、人、人! そして、目をこらせば、昭和の香りが漂うお皿や、ちょっとクセのあるレザージャケット、レトロな家電まで、 あれもこれも欲しくなるものばかり。宝探しは早い者勝ち!ということで、いざ戦闘開始。
まずはながーーーいトートバッグから。
まず目に飛び込んできたのは、天井からずらりとぶら下がるトートバッグたち。店主さんに話を聞いてみると、ほとんどがドイツのスーパーマーケットや本屋で手に入れたものらしい。シミやシワもいい感じに育っていて、チャームポイントになってる。
トートって本来、エコを意図して売られているんだろうけど、柄がかわいいとつい集めちゃうんだよね。で、気づいたら家に何十枚も溜まっていって……。うん、きっとみんなも同じ気持ちなはず!
なかでもひときわ異彩を放っていたのが、縦にビヨ〜ンと長いトートバッグ。用途不明だなと眺めていると「それ、フランスパン用だよ」と店主。まさかの専用設計(笑)。とはいえ、冷静に考えたら大根とかネギも入りそう。フランスパン用のバッグにネギと大根、このミスマッチ感が逆にかわいいかも、とワクワクして、もちろんこれはお持ち帰り。この子となら、ただ近所のスーパーへ行くだけの時間を、なんだかちょっと好きになれる気がする。
チェックポイント
✅️持ち手のクセ
・手に馴染む曲がり具合や、肩にかけたときのしっくり感。これが意外と大事。持ち手が短くて肩にかからない物は、結構使いづらいから要注意!
✅️プリントの褪せ具合
・ちょっと色褪せてるくらいがちょうどいい。新品っぽさよりも、使い込まれた味を。
✅️つい集めたくなるご当地感
・スーパーの名前、レジ袋代わりのエコトート、知らない地名が書いてあると、誰とも被らなそうで嬉しいかも!
300円の山からお宝ニットが
ラーメンじゃないけど、フリマでもやっぱり1番美味しいものは底に埋まっている。ということで、モカフリマ恒例の天地返しを。ブルーシートの上に山盛りになった服たちは、破格の全品300円。雑に積まれているけど、こういうところに限って、いいものが眠っているから油断できない。
jazzy sportのTシャツを見つけて一瞬大興奮したけど、脇が真っ黄色で即見送り。あぶないあぶない。これもフリマあるある。
そんな中、モカがひょいと引っ張り出したのは、どこからどう見ても”当たり”なニット。ざっくり編まれてて、手触りも見た目もあったかそう。タグを見たら、まさかの毛100%。ポケットはついてないけど、裾のリブがすこぶる良くて、丈感も完璧。ないならないで、むしろいいのかも。フリマ服に大事なのって、そういう余白だったりする。
「分厚くて重めの雰囲気だからこそ、秋とかは今流行りのJortsと合わせたら抜け感が出てかわいいね」とモカ。早く着ているのが見たい。
チェックポイント
✅️タグで素材を確認(できれば毛100%)
・ポリエステルより、ちょっとチクチクしてるくらいが本物。あったかさがまるで違う!
✅️編み目のざっくり感は緩すぎないが◎
・フリマだと意外と多いのが、解けそうなゆる編みニット!ざっくりしていても、目は詰まってるものが理想!
ミーハーも唸る、サッカーTシャツ
次に立ち寄ったのは、おしゃれなお兄さんのブース。よく見ると、並んでるのは全部サッカーTシャツ。それも、やたらと渋いやつばっかり。聞けば、1993年のJリーグ開幕から集め続けているんだとか。アーカイブには数万円超えのTシャツもざらにあるらしく、もはや趣味というより私設ミュージアムみたい。
思わず「手放していいの?」と聞きたくなる、このコレクション。どうやら最近、娘さんが誕生したため、奥さんに「家のスペースがないから売ってきて!」とフリマへ送り出されたらしい(笑)。とはいえ、娘さんの誕生が、お兄さんの大切なものを手放せる理由になったのかな、なんて勝手に想像してほっこり。
そんななかで、わたしたちが一番テンション上がったのが、2001年の日本代表の顔写真がずらっと並んだ、真っ青なTシャツ。サイズ感もちょうどいいし、何よりプリントのインパクトが強い。プリントが剥げてる感じも、お兄さんが長く大事にしてきたのが伝わって、もっと愛着が湧く。サッカーの知識はないけれど、顔のプリントがずらっと並んでいるプリントのユーモアと、絶対誰とも被らなそうな安心感に、サッカーミーハーでも唸るほどかわいいと思った。
「本当は6000円で出品しようと思ってたんだけど、2001年のだから2001円でいいや!」とお兄さん。優しさとストーリーに、つい財布が開く。これもフリマのいいところ。知らない世界の服なのに、身に付けたくなるのが面白い。
「こういういかにもメンズっぽいTシャツを着る時は、アクセサリーで女性らしさを出すのが好きだな〜」とモカ。Tシャツは年中活躍するから使いやすそう。
チェックポイント
✅️代表メンバーTは復刻されにくい!
・2001年の代表みたいな年号付きのTシャツは基本的にその時にしか作られないから、同じデザインに再開できる確率はものすごく低い。
✅️ギルダンやフルーツオブザルームのタグは2000年代の特徴!
・この時代のスポーツTは、こういうアメリカンブランドの無地ボディに印刷されることが多い。
✅️タグを見れば時代がわかる
・つまりお宝度が上がる!
✅️スポンサー名が入ってると尚良し!
・スポンサー名を見ると当時の時代の流れが見えるのも、サッカーのヴィンテージTの面白さ。
✅️ナンバリングが入っているものは誰かの推しTかも?
・背番号と名前入りは、その人の当時の推しが誰だったかがわかる一枚。知らない選手でもなんだかワクワクする。
戦利品スタイリング
たくさんのお宝に出会えた私たち。お気に入りのアイテムが見つかったときの喜びは、何にも代えがたい。「フリマって、誰かが大切にしてたものに新しいストーリーを作る場所だよね」とモカ。
さあ、次はどこのフリマへ行こう。