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『ななめの関係』の居場所づくりを山形県から。杉原千畝の生き方を尊敬する大学生【佐々木まどか・19歳】

『ななめの関係』の居場所づくりを山形県から。杉原千畝の生き方を尊敬する大学生【佐々木まどか・19歳】

「気になる10代名鑑」の955人目は、佐々木まどかさん(19)。『ななめの関係』の居場所づくりを行うために、『19(ワンク)』という団体を立ち上げ、山形県で活動しています。杉原千畝の『私に頼ってきた人は、見捨てない』という言葉に感銘を受けたという佐々木さんに、活動をはじめたきっかけや今後の展望について、詳しく聞いてみました。

佐々木まどかを知る5つの質問

Q1. いまいちばん力を注いでいる活動は?

子どもが大人を信用できる社会になることを目標に、大学のある山形県を中心に活動する『19(ワンク)』という団体を立ち上げました。これは、大人に相談する一歩手前の存在、すなわち“ワンクッション”になれたらという思いで名づけました。

最近の子どもは、大人をあまり信用できないでいて、何かあったときに相談しづらくなっていると思うんです。でも、同年代にはない意見やアドバイスを求めている場合もあるはず。そんなときに対等に、でも大人とは違った考え方でアドバイスをくれるひとが必要だと考えました。

『19』では、なにか理由がなくても、少し寄るだけでいい。自分のペースで悩みを打ち明けることができる場所でありたいと思っています。そのためにまずは、学習スペースやフリースペースに通っている子どもたちと接点をもち、話を聞いていくところから始めていくつもりです。私自身が芸術系の大学に通っていることもあり、子どもたちの白いキャンバスに色をつけるお手伝いをしていけたらとも思っています」

 

Q2. そのテーマで活動を始めたきっかけは?

「わたし自身が児童館に通っていたとき、『ななめの関係』に救われていたことが大きいと思います。『ななめの関係』とは、まわりの大人や友人とは違って、少し遠い関係だけど、対等に接してくれる関係のことだと思っています。

児童館には、普通に友だちと遊ぶ子もいれば、一人でソファーに座っているだけの子もいて。ここでは、それぞれが求める居場所のかたちがあるように感じました。

悩みを抱えていたときは、児童館で出会った他校の先輩に話を聞いてもらっていたのですが、いっしょに楽しく遊ぶだけじゃなくて、真剣な悩みを相談することも全く苦じゃなかった。先生や両親とは違う、はっきりとした上下のない関係性ができたんです。

わたしにとって大きな心の支えであり、自分らしくいられる居場所だった児童館のように、誰かの心に寄り添いたいと、ななめの関係での居場所の大切さを伝えていけたら、と思ったんです」

Q3. 課題に対するアクションの、最初の一歩目は?

さまざまなイベントやグループワークに参加して、その場にいたひとに話しかけて、関係を構築していきました。地元である石巻市でのイベントには特に積極的に参加していて、市議会議員のひとや学生団体のひととグループワークをする機会にも恵まれました。

もちろんそういった機会は地方住みということもあって、多いわけではないです。だから、イベントで登壇するひとのこれまでの活動などについて調べたりから行くことで、より深い話ができるように心がけています。

幸い、人見知りは全くしないタイプなので、『とにかく私を覚えてもらいたい!』の一心で積極的に話しかけていきます」

Q4. 影響を受けた人物はいますか?

杉原千畝の生き方を尊敬しています。

杉原千畝とは小学生のとき、子ども新聞の漫画コーナーの偉人紹介で出会いました。外交官をしていた杉原が、ひとつつの紙にサインをするだけで人の命を救うことができるなんて、すごくかっこいいと思いました。

さらに、『私に頼ってきた人は、見捨てない』という彼の言葉にも出会いました。杉原が外交官のルールを破ってまでユダヤ人のためにビザを発行できたのは、外交官としてではなく一人の人間として命の重さを理解していたからこその行動だと思っていて。

私も決断を迫られたとき、ルールだけではなく、どうしたらそのひとのためになるのかを考えるようにしているし、どんなときもどんなひとでも見捨てないでいたいと思うようになりました」

Q5. 今後の展望は?

具体的に何になりたいとかはまだないのですが、居場所づくりの活動を通して、毎日夢や挑戦したいことが増えていくんです。例えば、地元の電車の本数を増やして、子どもたちが外の世界に行く機会を増やしたり、個人的に好きなコスメのプロデュースだったり……。私の夢は、その気持ちに答えていくことなのかもしれません。

他人から見たら『失敗』と言われるような挑戦もあるかもしれないけれど、私が成功と思えばそれは成功になる。自分の夢を追いかけながら、誰かの夢を応援したり、誰かの勇気を出せるひとになれたら幸せです」

佐々木まどかのプロフィール

年齢:19歳
出身地:宮城県石巻市
所属:東北芸術工科大学 デザイン工学部 企画構想学科、19(ワンク)設立者兼代表
趣味:食べ歩き、ライブ鑑賞
特技:ラクロス
大切にしている言葉:やってないのにできないって言わない

佐々木まどかのSNS

★Instagram

 

 

Photo:Naoko Araie
Text:Chikiri Kudo

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Chikiri Kudo

ライター

2002年生まれ、宮城県出身。上智大学 文学部新聞学科在学。メディアが社会に与える影響について学ぶ傍ら、コラム記事の執筆やフリーペーパーの制作に携わる。Steenzでは、2023年より「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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