
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、最近発売となった図鑑についてご紹介します。
子どもだけのものじゃない!大人も楽しめるハイクオリティな図鑑
近年、電子書籍の普及により、スマートフォンやタブレットで本を読む人が増えています。「最近は紙の本を一切買わなくなった」という人もいるかもしれません。
しかし、そんな人にこそおすすめしたいのが“紙で製本された図鑑”です。紙の書籍は、視覚を通じて一度に多くの情報を捉えやすいもの。また、紙の本の方が「読んだ内容が記憶に残りやすい」とする研究結果もあるようです。テストのときに「そういえば教科書の右下に書いてあった!」と思い出したことのある人も多いのではないでしょうか。紙の本では、ページをめくる感覚や音が情報に付随することで、知らず知らずのうちに記憶に定着するのかもしれません。
図鑑は、そうした利点が発揮されやすい書籍です。ページをめくるだけで気になる写真や言葉が目に入り、興味を惹かれやすく、大人でも存分に楽しむことができます。
特に最近の図鑑は、カラフルで親しみやすく、写真集のような感覚で眺めることができたり、新たな視点を得られたりします。そこで今回の記事では、最新の図鑑の特徴や内容をチェックしていきましょう。
肉眼では見られない「プランクトンの世界」が圧倒的な美しさで登場
2025年1月10日に発売されたばかりの『迫力ビジュアル図鑑 プランクトンの世界』(トム・ジャクソン、ジェニファー・パーカー 著/グラフィック社)は、海、湖、河川に生息するプランクトンを掲載している図鑑です。
プランクトンは水辺に生きるさまざまな生物の総称で、魚類の幼生、クラゲの幼生、甲殻類の幼生、藻類、細菌など、分類は多岐にわたります。
とても小さく、肉眼では見ることができないプランクトンは、私たちの生活の中では“いないもの”として扱われがちです。しかし、たとえバケツ一杯の海水であっても、陸地の土と同じレベルでたくさんの生命が生きています。そして、それらは他の生き物の餌となり、生命の循環において重要な役割を果たします。
そのままの形で生命を終えるプランクトンもいれば、形態を変化させ、よく知っている生き物に変化するプランクトンもいます。そんなプランクトンを中心とした海の生き物の暮らしを、美しい写真と共に見られる必見の図鑑です。
彫刻の魅力、凄さがわかる図鑑
『世界のスゴイ彫刻』(佐藤晃子 著/Gakken)も、2025年1月30日に発売されたばかりの図鑑です。扱っているのは彫刻の世界。みなさんも街中や美術館で一度は見たことがあるでしょう。
彫刻を見て、「人の形をしているな」「座っているな」と思うだけで、その姿かたちが表現するものについて深く考えたことがない、という人もいるかもしれません。
でも、さまざまなサイズや素材の彫刻が、古代から現代までつくり続けられているということは、人々がずっと彫刻に魅力を感じてきたということ。この図鑑では、そうした彫刻を多様な角度から取り上げ、魅力に迫っていきます。
同じように見える作品であっても、着眼点を教えてもらうと、しっかりとその違いがわかってきます。日々の生活の中でも新しい視点を養えそうな図鑑です。
インフォグラフィックでデータが記憶に残る図鑑
宇宙・地球・生物・人体・現代社会を横断的に網羅する『ブリタニカ ビジュアル大図鑑』(アンドリュー・ペティ、コンラッド・キルティ・ハーパー 編/NHK出版)。さまざまな事象を解説する百科事典として250年以上の歴史を持ち、圧倒的な支持がある『ブリタニカ』シリーズの一冊です。情報やデータをイラストや図版で視覚的に表現するインフォグラフィック(infographic)という手法を用いて編集されています。
2024年11月に発売したものの、売り切れとなっていたこの図鑑。2月上旬に増刷されました。
例えば、「危険な生物とは?」と言われて、思い浮かべるのはライオンやサメではないでしょうか。しかし、実際に人間の命を多く奪っているのは蚊で、その次に人間が出てくるなど、驚きの情報が図示されています。
文字情報だけでなくビジュアルでも情報を捉えることができるので、読んだ内容が記憶に残りやすい図鑑だと感じます。勉強のノートに、こうしたインフォグラフィックのような手法を取り入れるのもいいかもしれませんね。
自由な図鑑の使い方で冒険に出よう
本棚の隅に追いやられてしまいやすい図鑑ですが、枕元に置いて、寝る前の数分にパラパラとめくるような読み方も良いものです。先頭から読む必要はありませんし、写真やイラストを眺めるだけでもOK。もちろん、机に座ってしっかり読み込むのも素敵な使い方です。自由な使い方で、これまで見えていなかった世界に飛び込める図鑑。ぜひ、図鑑ならではの重厚さも感じながら、ページをめくってみてくださいね。
Text:Itsuki Tanaka