Steenz Breaking News

高校に進学せず世界を旅した創業者。エンジニア採用の課題解決に挑むスタートアップ企業をご紹介【Steenz Breaking News】

高校に進学せず世界を旅した創業者。エンジニア採用の課題解決に挑むスタートアップ企業をご紹介【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、エンジニア不足が深刻化する中、採用活動で発生する特有の課題解決に取り組むスタートアップ企業についてご紹介します。

深刻化するエンジニア不足

1947年から1949年に生まれた団塊の世代が、全員75歳以上の後期高齢者となる2025年。国内では今年から、労働力不足がこれまで以上に深刻化すると言われています。

この問題は、IT業界においても例外ではありません。以前からエンジニア不足が続いていましたが、団塊の世代の退職をきっかけに、今後ますますIT人材の人手不足が加速すると予測されています。

また、今年は2018年に経済産業省が指摘していた「2025年の崖」がちょうど該当する年です。この問題は、日本企業が20年以上稼働しているような古いシステムを使い続けることで、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失をもたらすというものです。

社会への悪影響を避けるためにも、現在、多くの企業でシステムの刷新に向けた取り組みが行われています。しかし、団塊の世代の退職で、古いシステムの複雑な構造やかつて使われていたプログラミング言語を知る人材が、システム刷新の現場で不在に。さらに、新しいエンジニア人材の確保が難しくなっていることで、今後古いシステムの入れ替えに困難が生じることも予想されます。

スキルの見極めが難しい、エンジニア採用

こうした状況があるため、比較的精度の高いコードが書けると言われている生成AIが発展する中でも、国内のエンジニア人材の需要は高止まりを続けています。

しかし、エンジニアの採用活動は、一定の難しさを伴うもの。なぜなら、1時間程度の面接時間のなかで、自社の求める技術力を持ち、自社の仕事の仕方にマッチした人材かどうかを見極めるのは困難だからです。

そのため、国内企業の多くが、エンジニア採用においてミスマッチを経験していることが、さまざまな調査で指摘されています。

アメリカ・巨大IT企業も採用する“テスト”で課題解決をめざす

エンジニア採用ならではの課題を解決すべく、独自サービスを立ち上げたのが、株式会社ハイヤールーというスタートアップ企業です。

同社は、GAFAM(※1)の採用選考を参考に、オンラインで完結するコーディング試験(※2)サービス『HireRoo(ハイヤールー)』を開発。企業は、採用したいポジションで求める技術レベルに合ったテストを選び、候補者に取り組んでもらうだけで、その人の技術力や仕事の速度、書いたコードの読みやすさなどを定量的に判定することが可能です。

※1:世界のIT領域に大きな影響を持つ、Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの5社の頭文字をとった呼称。

※2:実際にコードを書いてもらったり、選択問題などを解いてもらったりして技術力を測るテストのこと。

中学卒業後、世界一周の旅へ

そんなハイヤールーの創業者・葛岡宏祐さんは、とても興味深い経歴の持ち主です。

中学校を卒業後は、高校でやりたいことが見出せないからと、あえて進学をせず、バックパッカーとして世界を旅する道を選びます。

世界各国を訪れ、文化や常識の違いを目の当たりにした葛岡さん。帰国後は、当時のスマートフォンでは写真に位置情報を紐づけることができなかったことから、旅の写真整理がしづらいことに課題を感じ、それを解決するためのアプリを独学で開発していったそうです。

技術を身につけ、スタートアップや大手企業で活躍

その後、葛岡さんは、ひとりで開発した写真管理アプリをきっかけにエンジニアとして建設会社向けのSaaS(※3)を開発するスタートアップ企業に入社。実務経験を積むうちに、AI技術に携わりたいと考えるようになり、株式会社ディー・エヌ・エーに転職しました。

※3「Software as a Service」の略。インターネットなどを経由してソフトウェアを提供するサービスのこと。

同社で2年ほど経験を重ねた後、バックパッカーとして世界を巡った経験を活かすべく、さらなる転職を決意。その際、最終的には株式会社メルカリへと入社することになりますが、GoogleやFacebookの採用選考を受け、その仕組みに感銘を受けたことが、ハイヤールーを立ち上げる大きなきっかけとなったのだそうです。

『HireRoo』は最近、AIを活用することで、採用精度をさらに高めることが可能な仕組みへと進化を遂げています。日本が直面するエンジニア不足と採用活動の難しさに対して、独自の経験をもとに解決に結びつくサービスを開発した葛岡さん。ハイヤールーはいま、エンジニア採用を成功させる次世代サービスを担うスタートアップ企業として、多くの企業から熱い視線が注がれています。

References:
経済産業省「D X レポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」

Text:Teruko Ichioka

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Teruko Ichioka

ライター・編集

フリーライター。好奇心の強さは誰にも負けない平成生まれ。得意領域もスタートアップ、ビジネス、アイドルと振れ幅が広い。

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