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思春期をもっと楽しく!カードゲームを使って親子間のコミュニケーションの活性化をめざす高校生【剣之介・17歳】

思春期をもっと楽しく!カードゲームを使って親子間のコミュニケーションの活性化をめざす高校生【剣之介・17歳】

「気になる10代名鑑」の890人目は、剣之介さん(17)。親子で遊びながらコミュニケーションを深め、家事や育児について理解を深められるカードゲームを開発し、普及活動に取り組んでいます。思春期の悩みにいち当事者として向き合いながら、その期間を楽しいものに変えるために尽力する剣之介さんに、活動を始めたきっかけや今後の展望について詳しく伺いました。

剣之介を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

『親子カルタ』というカードゲームの開発、普及活動に取り組んでいます。このカルタは、思春期に差し掛かる子どもたちとその親の間に生じやすい“コミュニケーションの壁”を乗り越えるために設計されているんです。遊びながら親子間のコミュニケーションを深めて、家事や育児についても理解できるようになるという仕組みです。地域の教育機関や児童館、子育て支援団体と連携して、体験会やワークショップも開催しています。

また、現在は『親子カルタ』から派生して、“交渉”をテーマにしたカードゲームの開発もおこなっています。目的は、子どものお手伝いへの参加から会話を生み出すこと。まだまだ制作段階ですが、どちらもカードゲームを機に、親子のコミュニケーションを無理なく自然に生み出し、家事への理解や、お手伝いを自発的にできるようにしていくことをめざしています」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

少子化や不登校、引きこもりなどの社会問題に興味があったからです。

少子化が進む社会において、こうした社会問題への経済的支援はもちろんですが、僕は、精神的な支援がもっと必要だと感じています。特に不登校や引きこもりといった問題は、思春期に差し掛かる子どもたちが、体や心の変化に伴って、親とコミュニケーションを取りづらくなることも原因のひとつにあるのではないかと仮説を立てました。僕たち高校生がまさにそうなんです。

そこで、もっと親子間の理解と協力を深めることはできないかと思って、学校内でメンバーを募ってプロジェクトを発足。『親子カルタ』を開発しました。カードゲームやカルタに注目したのは、もともと僕が大好きだったからです。現在は共創施設『SHIBUYA QWS』のプログラムにも採択され、さまざまな方からのフィードバックを受けながら、日々活動をおこなっています」

Q3. 活動にあたってのファーストアクションは?

いちばん初めはネットで既存のコミュニケーション促進カードゲームを探して、とにかく体験しにいきました。遊ぶ側としてこれまでたくさんのカードゲームに触れてきましたが、もちろん僕自身でカードゲームを作ったことはなかったので、作る側の目線になって、さまざまなカードゲームのことを見てみようと思ったんです。中でも影響を受けたのは『カジークジー』という、夫婦間で楽しめるカードゲーム。これもネットで見つけて、実際に体験ができる板橋区役所に行きました」

Q4. 活動をする中でつらかったことは?

「もっといろんな人たちに体験してもらいたいと思って、外部の機関に問い合わせた際、『高校生だから』といった理由で対等に見てもらえず、何度かカードゲーム大会などの実施を断られたことがありました。悔しかったですね。

その後も他の施設などに連絡を取り続けていたら、ありがたいことに、受け入れてくれる方々もいて。児童館の方や子どもたち、さらに子どもを預けている保護者の方からもフィードバックをいただけて、大きな活力になりました。また、さまざまな方と対話をしていくうちに、同じ夢と志を持つ仲間たちや、活動について素直に話せる大人の方とも出会えました」

Q5. 将来の展望は?

「思春期は苦しいもの、辛いものという印象を持っている人も少なくないはず。大きな夢ですが、そんな思春期を『みんなが楽しめるもの』という、価値の転換を起こしたいと思っています。僕も僕の友達もその友達も、みんながいま、思春期の当事者です。人の視線を気にしたり、自分の体の変化に驚いたり、本当は親と話したいことがあってもうまく言えなかったり。そんな思春期特有の悩みやモヤモヤした気持ちを、僕らのアイディアで解消していきたいです。

『親子カルタ』をはじめ、この活動を通じて、親子が一緒に楽しめる時間が生まれて、家庭内での絆が強まればいいなと思っています。ゆくゆくは同じ目標を持つ仲間たちと一緒に、民間の学童施設を作って全国に展開していきたいです」

剣之介のプロフィール

年齢:17歳
出身:東京都世田谷区
所属:聖学院高校
趣味:茶道
特技:スポーツ全般、おしゃべり
大切にしている言葉:子供の心は乾く前のセメント。(ハイム・G・ギノット)

Photo:Nanako Araie
Text:Ayuka Moriya

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Ayuka Moriya

エディター

1999年生まれ、秋田県出身。東京外国語大学 国際社会学部在学時よりライター・エディターとして主にインタビュー記事の執筆、ディレクションに携わる。Steenzでは、2021年ローンチ当初より「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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