「気になる10代名鑑」の865人目は、あまのせなさん(19)。幼いころから絵が大好きで、いまは藝大で油絵を専攻し、女性の美しさを油絵で表現しています。「見た方の心に届く作品をつくりたい」と語るあまのさんに、印象的だった出来事や今後の目標について聞いてみました。
あまのせなを知る5つの質問
Q1.プロフィールを教えてください。
「芸術高校を卒業後、東京藝術大学に進学して油絵を専攻しています。女性の美しくて繊細な体や形を表現したくて、女性をミューズに絵を描いています。
わたしの祖父母が西洋絵画が好きで、わたしも一緒に美術館に行ったり、画集を見たりしていました。それで自然と絵が大好きになりました。藝大をめざしたのは『いちばん高みをめざせる場所で、絵を好きなだけ描ける環境にいれたらどんなに素敵なんだろう』と思ったからなんです。
高校生のころに映像を専攻した時期もあって、光の取り入れ方や画面の切り取り方を学んだり、大学生になってからは、違うジャンルの絵にも触れて勉強してみたりして、自分の表現に引き出しを増やそうと頑張っています」
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Q2. 活動のテーマはなんですか?
「『生ぬるい温度感』を絵で伝えることです。
小学校4年生のころ、図書館で何気なく手に取ったマリーローランサンの画集の『接吻』という絵に釘付けになってしまって。『湿度と温度をもった空気がここまで伝わってくるような、こんなにも美しい絵を描いてみたい……』と強く思って、そこからわたしのテーマが生まれました。
にごりのない淡い色使いや、“暗いところにあるからこそ綺麗なものが際立つ”という美意識を反映した、影の表現にもこだわっています」
Q3. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「高校では、課題とは別に、イチから企画を立てて展示をやらせてもらえる機会があって。メンバーを集めて、グループ展示をしたんです。
自分の内面に向き合って感じたものを表現したいっていう気持ちがずっとあって、小説を書くことも好きだったので、『思い出』をテーマに小説を書いて、展示しました。見てくれた方の反応が嬉しかったのはもちろんですが、多くの人にちゃんと届けるためには、他の作品のことも考えて、どの順番でどう見せるか、見せ方の工夫をしなきゃいけないっていう大きな学びが得られて。
アーティストになるなら、好きだからそれでいい、という自己完結じゃなくて、受け手を意識してちゃんと届けるべきなんだと気づけました」
高校の頃に執筆して展示した小説を公開しました。暇つぶしにぜひhttps://t.co/0a7LT7ZAzy pic.twitter.com/0TfuJhNPoQ
— あまのせな (@amnsn72) May 25, 2024
Q4. 活動するうえで、大切にしていることは?
「中学1年生のときに、美術の先生から言われた言葉です。自分を見つめ直すきっかけになったと思っていますね。
当時、美術部に入っていて。そのとき、美術の先生に『一度賞を取ったことに甘んじないで、もっともっと上手くなるように努力すること。並大抵なことではないけど、そこを目標にしないといけない』と喝を入れていただきました。
自分の実力が認められて嬉しかったのですが、正直、調子に乗りかけていた部分があったと思います。このときの先生の言葉を忘れず、つねに謙虚でいること、手を抜かずに『それでいいの?』と問いかけて、自分の作品に妥協をしないことをずっと意識しています」
Q5. 将来の展望は?
「わたしがいまこうして絵を描いているのは、家族の影響で、アートに触れる機会がたくさんあったおかげです。だからこそ、人々がアートに出会える機会をもっとつくって、美しいアートをより身近に感じられる社会のために貢献できたらいいなって思っています。
街中にアートが自然に溶け込んでいたり、気軽に美術館に行って楽しめたり、アートにまつわるワークショップが至るところで開催されていたり……。そんな社会になったら、素敵ですよね。
まだまだ未熟なので、在学中に一度、アートが日常にあふれているイギリスに留学して、アートと社会の結びつきをこの目で見て勉強したいと考えています。そこで出会った現地の人ともコミュニケーションをとりながら、芸術についての素養や、価値観をたくさん吸収したいです」
あまのせなのプロフィール
年齢:19歳
出身:東京都中野区
所属:東京藝術大学
趣味:読書、散歩
特技:大食い
大切にしている言葉:幸福とは、自分が実はひとりだということを、なるべく感じなくてもいい人生だ。(吉本ばなな キッチンより)
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— あまのせな (@amnsn72) April 25, 2024
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Photo:Nanako Araie
Text:Chihiro Bandome