日本から4地域が受賞!世界中のサステナブルツーリズムを審査する「グリーン・デスティネーションズ アワード2024」とは【Steenz Breaking News】
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は世界的なサステナブルツーリズムアワード「グリーン・デスティネーションズ アワード2024」の結果についてご紹介します。
グリーン・デスティネーションズ アワードとは
近年、世界各地の観光地で、観光客の増加や、観光のための過剰な開発による、環境破壊や地域住民の生活への影響、観光資源の劣化などが問題になっています。環境への負荷軽減、文化の保全といった対策が求められ、昨今では、観光や旅においても、サステナビリティが重要なキーワードに。持続可能な観光「サステナブル・ツーリズム」を実現しようと、各地でさまざまな取り組みがおこなわれています。
そうした観光地の持続可能性を、審査・認証する仕組みがあります。世界のサステナブルな観光地を表彰する「グリーン・デスティネーションズ アワード(以下GDアワード)」です。オランダに本部を置く観光の国際認証団体「グリーン・デスティネーションズ」が、2018年より実施しています。
GDアワードは、「観光地管理」「自然と景観」「環境と気候」「文化と伝統」「社会福祉」「ビジネスとコミュニケーション」という独自の6つの基準と、84の基準項目に基づいて審査をおこないます。それらの項目の達成率によって、「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」とアワードのランクが上がっていき、100%を達成すると「認証」の称号が得られるというものです。
これまでGDアワードを受賞してきた地域は、国際的な評価や注目度が高まったとのこと。旅行業界のサステナビリティ推進につながることを期待したいですね。
持続可能な観光地に表彰された日本の地域は?
2024年のGDアワードでは、日本から4地域が受賞しました。どのような取り組みが評価されて受賞にいたったのか、見ていきましょう。
【ゴールド賞】岩手県釜石市
まずご紹介するのは、ゴールド賞を受賞した岩手県釜石市です。東日本大震災によって甚大な被害を受けた地域でもあり、もともとは伝統的な観光地ではなかったのだそう。観光地の持続可能性というと、観光客が訪れすぎる「オーバーツーリズム」対策などが思い浮かびますが、新たに地域の観光化をすすめることで、地域の経済的な持続可能性を高めることも、サステナブル・ツーリズムのひとつです。釜石市は、伝統的な漁業や農業を活かしたアクティビティを推進。地元の魅力や産業を学生に伝える観光教育などの取り組みもおこなってきました。こうした地元への愛着形成への姿勢が高く評価され、日本初のゴールド賞受賞へとつながりました。
【シルバー賞】愛知県大洲市
続いてご紹介するのは、「歴史的資源を活用した観光まちづくり」が評価され、シルバー賞受賞へと実を結んだ、愛媛県大洲市です。町屋や古民家などの歴史ある資源の有効活用を進めており、かねてより文化・伝統保全の面から注目されていました。所有者の高齢化や修繕費などのの関係で、歴史的な価値ある建造物の取り壊しや改装などが進んでいた大須の城下町。歴史的風情や地域のアイデンティティを守るため、建物を古民家ショップやホテルなどに生まれ変わらせ、まちの再生をはかっています。
【シルバー賞】香川県小豆島
「観光により消費される島ではなく、観光により持続できる島」を掲げ、大洲市と合わせて四国で初のシルバーアワード受賞となった香川県小豆島。瀬戸内海に浮かぶ島で、穏やかな海や渓谷などの豊かな自然が魅力です。重要無形民俗文化財に指定されている「小豆島農村歌舞伎」をはじめ、未指定のものも含めた文化や伝統の保存活用や、障害のある方向けの「ユニバーサルビーチ」の取り組みが「文化・伝統」と「社会福祉」の分野で高評価を得ました。
【シルバー賞】岐阜県高山市
最後にご紹介するのは、シルバー賞を獲得した岐阜県高山市。「飛騨高山」とも呼ばれ、城下町の情緒ある街並みなどが人気の観光スポットです。今回、4つの分野の取り組みが獲得の決め手となりました。「環境と気候」分野では二酸化炭素排出量削減や再エネ活用が、「文化と伝統」では独自の文化認証制度を設けた点が評価されたそうです。他にも、市民アンケ―トで集めた声を施策に反映している点が「社会福祉」の観点から、「SDGsパートナー登録制度」を推進したことは「ビジネスとコミュニケーション」の観点から評価され、選定されました。
GDアワードから旅のサステナビリティを知るきっかけに
今回は、持続可能な観光地として表彰された4つの日本の地域を紹介しました。せっかく旅に出るなら、持続可能性に積極的に取り組む地域に訪れてみませんか。GDアワードを受賞した地域を足がかりに、その土地の魅力をさらに味わいながら、旅を楽しんでみてください!
Text:kagari