世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、米企業「SpaceX」が開発・運用している、衛星インターネットサービスによるアフリカ進出についてお伝えします。
急成長を見せる大規模衛生インターネットサービス『Starlink』
電気自動車、宇宙開発、脳神経科学など、多岐にわたる分野で世界をリードする実業家、イーロン・マスク氏。同氏が手がけるさまざまな事業の中でも、注目を集めているのが、衛星インターネットサービス『Starlink(以下、スターリンク)』です。
スターリンクは、低軌道衛星を活用した、衛星インターネットサービス。アンテナとルーターの設置のみで使用でき、地上での通信インフラの整備が必要がなく、山間部や離島などの僻地、災害時の通信確保に活用できるという優位性をもっていることから、急速にサービスを拡大させています。
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アフリカの通信産業を揺るがすスターリンク
そんなスターリンクへの期待は、アフリカでも広がっています。実際、ケニアやナイジェリアをはじめ、エスワティニやマダガスカルなど、2024年9月現在で14か国で使用可能となっています。
中でもケニアは、銀行を介さず、携帯電話のみで送受金などができる「モバイルマネー」大国として知られています。8割以上の国民がモバイルマネーに登録しており、買い物や公共料金の支払い、給料の受け取りなどに使用されています。携帯電話の普及率も非常に高く、SIMカード数では人口の100%を超えているそう。
これまでは『サファリコム』や『ジャミー・テレコミュニケーションズ(JTL)』などといったケニアの大手通信会社が広く使われていましたが、2023年7月には『スターリンク』が通信市場に参入しました。
スターリンクは、他社より高速なインターネットを、他社と同額で提供するなどのサービスで多くの顧客を集め、競争を激化させています。インターネット使用者が増加し続けるアフリカ大陸で、今後、通信産業の市場を大きく揺るがす存在となるかもしれません。
『スターリンク』の戦争加担をどう見るか
急成長を見せ、注目を集めている一方で、スターリンクは「戦争への加担」という一面も指摘されています。ロシアとウクライナとの戦争において、ウクライナ軍はスターリンクを使用しており、病院や支援団体などに必要なインフラとしてだけでなく、ドローンなど、通信を用いた兵器による攻撃にも活用されているといわれています。スターリンクとしても、こうした実態を知りながらも、通信サービスの提供を継続していると報じられています。
また戦争と企業のつながりは、スターリンクに限った話ではありません。例えば、紛争やクーデターで政情が不安定なニジェールやマリといった国々では、ロシアの民間軍事企業「ワグネル」の傭兵が雇われているといいます。他にも、中国からアフリカ各国への軍事援助や合同軍事演習をおこなっているという情報もあります。
現地メディアによると、ワグネルは「アフリカの鉱物資源と引き換えに軍事提供をしている」との報道もあり、その他の国のアフリカへの軍事提供や支援に対しても、その背景を疑う声があがっています。
紛争の多いアフリカだからこそのリスクを指摘する声も
アフリカ大陸には、戦争や紛争がすでに起こっている国や、起きる可能性のある国が多く存在します。技術は生活を豊かにしますが、同時に、多くの悲しみを生んできたことも、歴史が証明しています。
通信サービス『スターリンク』のアフリカへの参入について、その利便性に期待が集まる一方で、通信技術の軍事利用がおこなわれるリスクをはらんでいるという側面や、通信に限らず、さまざまな国や企業がアフリカでの紛争に介入している事実など、さまざまな視点から考えてみる必要がありそうです。
References:
Starlink「Map」
Communications Authority of Kenya「Statics Report」
Text:Hao Kanayama