「気になる10代名鑑」の820人目は、大槻漸さん(19)。プロスポーツ選手の引退後のキャリア支援や、若者の夢の支え方を検討する会議への参加、ビジネスコンテストを開催など、幅広く活動しています。「若者に夢を追う楽しさを知ってほしい」という大槻さんに、行動力の源や将来の展望について、聞いてみました。
大槻漸を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れている活動は?
「スポーツ選手のセカンドキャリアやデュアルキャリアを支援する活動を行っています。今年の6月にはJリーグの町田ゼルビアと、大学生向けのビジネスコンテストを、クラブチームのファン増加というテーマで開催しました。
それとは別に、若者の教育や夢を支援する『若者未来共創カイギ』というプロジェクトに参加しています。ここでは、若者サポートの方法や課題について、大人の方々と議論しています。また東京都との連携で、都立高校での探求授業を毎週おこなっています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「幼稚園のころから大学を入学するまで、ずっとサッカーに打ち込んでいたんです。でも怪我をしてプレーができなくなって、突然、暇になってしまって。大学の貴重な4年間をダラダラ過ごすのはもったいないと思って焦り出して、大学1年生の夏休みにいろんなイベントに参加してみたんです。学生の交流会とか、起業家の方とお話しできるイベントとか……。
そこで出会ったたくさんの人たちと話をして、声をかけてもらったり、刺激を受けたのがきっかけです。実際、それで未来共想会議に参加したり、自分が大好きなスポーツを支えたいという思いが固まってきたりするのにつながりました」
Q3. 活動の中で印象的だった出会いは?
「イベントで出会った起業家の方で、いまでは一緒に都立高校で探求授業をしています。
初めて会ってお話したとき、『やりたいことがないんですけど、どうしたらいいですか?』っていう相談をしたんです。そうしたら、『やりたいことは変わり続けるから、いまはなくても大丈夫。いろんな経験をするうちに見つかるよ』という言葉をくださって。
それからは、その言葉を信じて、とにかくちょっとでも興味がありそうなことをやってみようと思って、積極的に行動に移すようになれたんです」
Q4. 活動の中で、壁に感じたことは?
「若者未来共創カイギでのことです。2回目の開催までは大人の方がリーダーをしていたんですが、3回目は僕が事業リーダーになったんです。いざ挑戦してみると、スケジューリングがうまくいかなかったり、情報共有ができていなかったりして、なかなかうまくいかなくて……。次回の開催も決まっているので、ダメだったところを分析して、よりよいものにしていきたいと思っています。
あとは、10代だということもあって、まわりの大人に対して『さっきの発言、ウザがられてないかな』とか、『年下に言われて気に障るかな』とか、つい考えてしまうんです。そこは変えていきたいと思っています。それと同時に、自分が話すときは、相手のことを否定せず、相手の話を最後まで聞くことを心掛けるようにしています」
Q5. 将来の目標は?
「スポーツに関わっていきたいという目標があって。いずれは、プロスポーツ選手という職業を当たり前にキャリアとして選べる、そんな環境づくりに関わりたいです。そのために、プロのスポーツ選手のキャリア支援についてのメディアの立ち上げをめざしています。
スポーツには、『実際にする』『観戦する』『支える』という3つの関わり方があると思っていて。僕自身は、プレーはやりきったし、観戦はいつでもできる。だからこそ、スポーツを支える事業をやり続けたいと思っています。
スポーツ選手がプレーをやめたところを、終わりじゃなくて、新しいスポーツ人生のスタートにしたい。それが僕の将来の目標です」
大槻漸のプロフィール
年齢:19歳
出身地:千葉県船橋市
所属:杏林大学
趣味・特技:バレーボール、料理、楽しく話すこと
大切にしている言葉:現状維持は退化と一緒
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Photo:Eri Miura
Text:koyuki michishita