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未来の教育がもっと「自分ごと」になるように。教育研究フェスの学生代表を務める大学生【髙橋鈴・19歳】

未来の教育がもっと「自分ごと」になるように。教育研究フェスの学生代表を務める大学生【髙橋鈴・19歳】

「気になる10代名鑑」の787人目は、髙橋すずさん(19)。東京学芸大学で開催される教育イベントで学生代表を務めているほか、『教育若者CAMP』の立ち上げにも携わっています。「未来の教育について、自分ごととして考えられるようになってほしい」と話す髙橋さんに、活動を始めたきっかけや大切にしていることについて聞いてみました。

髙橋鈴を知る5つの質問

Q1. いま、力を入れていることは?

『Tokyo Education Show』というイベントを運営する団体の学生代表を務めています。このイベントは“教育”をキーワードに、あらゆる世代の人が一堂に会して、未来の教育を考えていこうというコンセプトのもと、開催しています。イベントを通じて、教育や教職の魅力を伝えること、そして教育の現場と、行政や企業との距離を縮めることを目標にしていて。いまは10月12日、13日のイベントに向けて、いろんな企画を準備しているところです。

この活動から派生して、『教育若者CAMP』の立ち上げにも関わりました。こちらは今年が初開催なのですが、宿泊型の企画で、教育を学ぶ学生や、教育に関心のある若者が、実際の教育現場を見学して、それについての対話や交流をおこなうプログラムを予定しています。このイベントを通じて、教育に携わる若者が、現場を知った上で、これからの教育を考えるきっかけになればいいなという思いで企画しました」

 

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Q2. 活動を始めたきっかけは?

「『Tokyo Education Show』は、スタッフ募集の情報を見て、単純に『面白そう!』と思って応募したことが始まりです。昨年が初開催だったんですけど、『めちゃくちゃやる気あります!』みたいな文章を送ったら、ひとつのチームのサブリーダーを任せてもらって。実行委員長がそこでの働きを見ていてくれたみたいで、学生代表をやらないかっていう打診をいただいたんです。

『教育若者CAMP』については、『Tokyo Education Show』での活動を通じて、教育に関わる様々な人の存在を知ったことがきっかけ。学校の先生はもちろん、企業で教育事業に取り組んでいる人がいたり、行政という立場から関わっている人もいたり。“教育”という言葉は、いろんな人がいろんな意味で使っているけど、わたしたちは普段その一部しか目にしていないんだということを痛感しました。

授業でも、教育について議論する場はあるんですけど、やっぱり経験からしか語ることができないから、議論が浅かったり、抽象的だったり……。だから、まずはとにかく“知る”ことが大切なんだなって考えて、企画しました。いまの若者が未来の教育を、自分ごととして捉えられるきっかけになればいいなと思っています」

Q3. 影響を受けた人物は?

大河ドラマで観た、渋沢栄一と徳川家康です。

渋沢栄一は、『日本を守るためには、これをやっていかなきゃいけないんだ!』っていう強い使命感で、周囲の人を動かしていったこと、あとは合本主義を唱えて、『人と一緒に力を合わせてやっていこう』っていう理念を一貫してもっていたことに共感しています。わたし自身はカリスマ的なタイプではないと思っているからこそ、人の力を借りて、大きなことを成し遂げようっていうスタンスを見習いたいなって感じました。

徳川家康については、あくまで物語の中の話になっちゃうんですけど、はじめはすごく頼りない人物だったのが、物語の終盤では、力強く物事を進められる人になっていうという描写に共感できて。あれこれ怯えながらも、ここぞというときにはしっかり自分で判断して、厳しくすべきときには厳しくするし、人に頼るべきときにはちゃんと頼るとか、そういう姿が描かれていて、めざすリーダー像というか、こういう人間でありたいなって思っています」

Q4. 活動の中で大切にしていることは?

自分の立場だけではなく、相手の立場も想像して行動することです。『Tokyo Education Show』は、チームとしてやるべきことがたくさんあって、ひとりひとりの負担が大きくなってしまったときがあったんです。そういうときはみんなイライラしちゃって、タスクを達成できなかったときに、『なんでできなかったの?』みたいになりがちですよね。

でも、ひとりひとりの気持ちや能力を責めることがないようにしたくて。その人に合った仕事量かとか、そういうことをきちんと考えて、合理的にタスクを配分したり、声を掛け合ったりするようにしています。そうやって、人の心を大切にできる組織にしていきたいんです。責任とかを考えるのは上の人だけでいいと思っていて。とはいえ、上の人に対して何を言ってもいいわけではなくて、それぞれの立場の大変さを想像することが大事だと思います」

Q5. 今後の展望は?

「最終的には、何かしら教育に関わることをやっているんだろうなとは思いつつ、基本的にはやりたいことをやりたいタイプなので、型にはまった生き方をするというよりかは、自分がやりたい、やるべきだって思った方向に自由に舵を切っていきたいです。どこかのタイミングで旅に出たり、田舎で地方創生に関わったりするのもいいなって思っています。

教員も魅力的な仕事だとは思っているんですけど、自分の性格的に他のことのほうが合いそうだなっていうので、教員になることはあまり考えていません。もともと教員にはならないって強く思っていたけど、『Tokyo Education Show』の活動で現役の先生たちと関わるうちに、大変さもやりがいも、その両方を抱えてやっていて、そしていろんな壁を乗り越えてきた、すごくプロフェッショナルな存在なんだって実感して。教員って奥深くて魅力的な仕事なんだって気付くことができました。だから、いまはその魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいって思っています」

髙橋鈴のプロフィール

年齢:19歳
出身地:長野県飯山市
所属:東京学芸大学 教育学部、Tokyo Education Show 学生代表、教育若者CAMP、信州未来フェス実行委員会
趣味:物事を言語化すること、バスケをすること
特技:悩みを聞くこと、人を褒めること
大切にしている言葉:人の一生は重荷を負て遠き道をゆくが如し いそぐべからず

Photo:Nanako Araie
Text:Fuka Hagai

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Fuka Hagai

ライター

2003年生まれ、愛知県出身。立教大学社会学部メディア社会学科 在学中。Steenzには2024年より参加し、学生ライターとして「気になる10代名鑑」のインタビュー記事制作に携わる。

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