世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、曲を聴くと環境保護に貢献できる「Sounds Right」についてご紹介します。
野生動物の個体数が約50年間で70%近く減少
環境保護団体WWFとロンドン動物園協会(ZSL)が発表した「Living Planet Report 2022」によると、1970年~2020年の間に、野生生物の個体群が、約70%減少していることがわかりました。これはつまり、野生生物の数が平均して3分の1にまで減少していることになります。中でも、地球上の外洋から熱帯雨林に至るすべての場所に生息する鳥類や魚類、両生類、爬虫類の急激な個体数減少が目立つようです。
このように多くの生き物が絶滅してしまう事態は、実は今回で6度目。そしてその主な原因は、生息地の破壊、乱獲、有毒物による汚染、外来種の侵入、気候変動などが挙げられます。これらの原因は、過剰な人口増加やそれにともなう過剰消費などにより引き起こされているため、根本的な原因は人間にあるといえます。
こうした現状に危機感を抱いた企業や団体、個人が、生き物やその基盤となる自然環境のために、さまざまなアクションを起こしています。
国連博物館「UN Live」が「Sounds Right」の立ち上げを発表
国連博物館「UN Live」も、そのうちのひとつ。UN Liveとは、音楽や映画、ゲーム、スポーツ、デザインなどといった大衆文化を通して、人々に物事を深く考えることや社会的関与を呼びかけ、行動を促すことを目的とした、国境のない博物館です。世界中の起業家や博物館、企業、プラットフォームなどと連携し、大衆文化にまつわる文化体験やプログラムの企画・実施をおこなっています。
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そのUN Liveが、新たに立ち上げたのが、「Sounds Right」です。「Sounds Right」とは、簡単に説明すると、雨や波などの自然音が入った楽曲を聴くと、環境や生物保護のために活動する団体に寄付できる音楽イニシアチブのことです。ちなみに使われている自然音には、雨や波のほかに、暴風雨や鳥の鳴き声などがあり、国連グローバルコミュニケーション局との協議を経て、開発されたそうです。
しかしなぜ、自然音の入った楽曲を聴くだけで寄付につながるのでしょうか。
自然こそがアーティスト
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「Sounds Right」は、「Spotify」のようなストリーミングプラットフォームで、自然をアーティストとして表記しています。そのため、「Sounds Right」の自然音が入った楽曲が聴かれることで、著作権料が発生し、その一部が慈善団体「EarthPercent」に寄付されます。集まった寄付金は、科学者や気候コミュニケーターなど、多様な専門家たちで構成される委員会の指導のもと、自然保護団体に再分配され、自然や生物保護のために使われます。
そして気になる楽曲ですが、例えばインド人アーティスト・Anuv Jainの曲『Baarishein』では、インドの雨音がフィーチャーされています。またイギリス人ミュージシャン・Brian Enoは、David Bowieの名曲『Get Real』に、ハイエナやカラスの鳴き声を加えてリミックスしました。
音楽を楽しみながら自然保護に貢献
「Sounds Right」のように、身近であり、楽しみやすいコンテンツで、自然保護につながるアクションが起こせるのは、嬉しいと感じる人も多いのではないでしょうか。気になる方は、ぜひ一度聴いてみてください。
Reference:
LIVING PLANET REPORT 2022|WWF|ZSL
野生動物の個体数、約50年で70%減少。深刻化する生物多様性の喪失の原因を考える|グリーンピース・ジャパン
Animal populations experience average decline of almost 70% since 1970, report reveals|Guardian News
Earth’s sixth mass extinction event under way, scientists warn|Guardian News
Text:Yuki Tsuruda