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トイレに生理用品が設置されているのが当たり前になるように。生理をタブー視しない世の中をめざして【心音・19歳】

トイレに生理用品が設置されているのが当たり前になるように。生理をタブー視しない世の中をめざして【心音・19歳】

「気になる10代名鑑」の780人目は、心音さん(19)自身が生理に苦しんだ経験をきっかけに、高校生のときから生理用品をトイレに設置したり、生理への理解を深めたりする活動を続けています。学校での講義などを通して、生理に対する理解と、根強い無理解やタブー視する風潮に向き合ってきたという心音さんに、活動を始めたきっかけや将来のビジョンを聞いてみました。

心音を知る5つの質問

Q1. いま、力を入れている活動は?

生理用品をトイレに設置する活動や生理に関して啓発する活動をしています。大学のトイレに生理用品を置いたり、生理にまつわる講演会したりしています。これまで、大阪大学の杉田教授や、サンリオの小巻社長に講演会をしていただきました。生理によって日常生活に影響があるすべての人たちが生きやすくなることを目標に動いています

活動を始めたのは高校3年生のとき。学校のトイレに生理用品を置くために、企画書やアンケートをつくったり、職員会議でプレゼンしたりしました。全校生徒の前で発表をしたとき、ある男子生徒から『自分は生理がないけれど、もっと勉強してみようと思った』とわざわざ伝えてくれたことがあったんです。このときの出来事が、いまの自分につながっているなと感じます」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

生理に関する活動を始めたのは、わたし自身が重い生理痛に悩んでいたのが理由です。高校のテストと生理が重なると、もう本当にしんどくて……。それでインターネットで調べて、『PMDD』について知りました。しんどい状態に病名がつき、病院で治すことができるとわかって安心したんです。

生理期間に入っても、社会的に困難を失くしていく方法はないかと思い、他の学校でのアクションを参考に、活動をはじめてみました」

 

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Q3. 活動するうえで、壁に感じることはありますか?

生理用品が『生理がある人』だけが使うもので、学校の予算で設置するのは不公平だという意見があることに、苦しさを感じます。生理がある人は基本的にはウェルカムな感じで、男子生徒の中でも、いい取り組みだねっていう感じの意見も多かったけど、先輩とか卒業したOBとかから、学費からお金を出すのは不公平なんじゃないかっていう声が挙がって……。

でも、例えば校庭のテニスコートだって、テニス部しか使わないけど、設置や整備に学費が使われていて。だから、学校の設備だって、全員がその恩恵を受けているわけじゃないのに、生理用品についてはそういう目が向けられるているのを、目の当たりにしました。

生理について、タブー視しないようにする雰囲気は生まれつつあるけど、まだまだ理解が追いついていなくて。生理用品は、当事者がいつも持ち歩くことがマナーだし、対応はすべて自己責任だし、そもそもオープンにするべきじゃない。そんな社会的な規範が、強く残っていると思います」

Q4. これまでに印象的だった出来事は?

通っている法学の先生が協力的で、授業の中で、わたしが生理について授業する機会をくれたんです。大学全体で、学生に何か自主的にさせてくれるっていう風潮もあって。

その授業の中で、100個ぐらい、お赤飯のおにぎりを発注して、授業の受講生みんなに配るっていうのをしたんです。初潮を迎えたときに赤飯で祝うっていう慣習があると思うんですけど、自分の体に関することを、社会の価値観で、他人に祝われるっていうことに、どこか不自然さを感じていて。そのことを問題提起するための授業だったんです。

その授業には、けっこう反響がありました」

Q5. 将来の展望は?

これからも生理用品を設置する運動は続けていきたいです。生理用品は、恩恵っていうよりも、権利であるっていうところを論理的に主張していきたい。その考えをもっと広めるために活動していけたらいいなと思っています。

能登半島地震のときも、支援物資についてのニュースで、『生理用品は贅沢品だ』って言われているネットニュースとか見て、すごい悲しくなりました。基本的な知識も理解も、まったくない人が多いんだなって。

いつかは生理用品を設置することが義務化されるような社会を実現させたいです。将来の職業については、まだこれからいろいろ模索していきたいですね

心音のプロフィール

年齢:19歳
出身地:埼玉県
所属:国際基督教大学教養学部、UT-SCSA 、connect -性教育を考える学生の会(代表)、オク+パス、ICUHSのトイレに生理用品を置くプロジェクト(生理用品プロジェクト)
趣味:読書
特技:野菜をたくさん食べます
大切にしている言葉:のぶれす!(ノブレスオブリージュの略)

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Photo:Nanako Araie
Text:Otoha Tanaka

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