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予算2万円でつくる映画。ウガンダ発の映画「ワカリウッド」が支持されるワケ【Steenz Breaking News】

予算2万円でつくる映画。ウガンダ発の映画「ワカリウッド」が支持されるワケ【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、限られた予算と環境の中でアフリカから世界に映画を発信する、ウガンダの映画産業について、ご紹介します。

妄想を膨らませてつくられた「ワカリウッド」

インドの「ボリウッド」、ナイジェリアの「ノリウッド」など、映画産業が発達している国は世界各地に存在します。アフリカ全体で見てみると、ナイジェリア以外にも、ウガンダの名前がよく挙がります。

ウガンダの映画産業は「ワカリウッド」と呼ばれています。これは、ウガンダの首都・カンパラのスラム街「ワカリガ」に由来していて、そこに拠点を置く、アクション映画製作会社「ラモン・フィルム・プロダクション」で製作されている映画を指します。

「ワカリウッド作品」を仕掛けているのは、ハリウッド映画に憧れていたウガンダ人のアイザック・ナブワナ。若いころ、本物の西洋映画を見たことがなく、兄弟から映画の感想を聞いて妄想を膨らませていたそうです。

「ワカリウッド」の名前を世界に知らしめたのが、2010年に発表された『Who Killed Captain Alex』。マフィアとの戦いを描いたアクション映画で、世界的なブームとなり、YouTubeでは950万回再生されています。

また、ワカリウッドはアクション映画だけでなく、戦争映画からカンフー映画、ゾンビ映画など、幅広いジャンルの映画に挑戦しています。

ワカリウッドの魅力は、限られた予算と環境を理由に諦めることなく、「ないものは自分たちでつくる精神」にあると言われています。

例えば、銃で人を撃つシーンなどは、Tシャツの下に赤い染料を入れた水風船を忍ばせて、それを目掛けて偽の鉄砲で演出し、染料が飛び出して血のように見せるのです。このように、工夫と想像を重ねて生み出している作品は、高額なコストで制作されるハリウッド映画などとは異なる、ユニークさがあるのです。

生活に溶け込む制作現場

ワカリウッドは、常に地元の人に支えられています。そのため、地元の人々にとっては、映画製作の現場が、日常の一部と化しています。

スタジオ運営はアイザック氏の自宅で行われ、家族はDVD販売も手伝っています。

映画で使用されたニセのヘリコプターは、撮影以外では近所の人の物干し竿代わりになっているそう。

俳優も、スラムに住む人や日中は弁護士として働く人など、身近な人々が出演しています。小道具も、近所に住むエンジニアが、手に入りやすい材料で作り、週末は俳優志望の若者のために、カンフー教室も開催しています。

みんなに愛される娯楽を自分たちでつくる

意外に感じるかもしれませんが、映画というのは、アフリカの多くの国で人気の娯楽として親しまれています。大都市には映画館も存在しますが、貧しい人たちも、15円で入場できるアナログテレビを設置しただけの映画館など、さまざまな環境で映画を楽しんでいるのです。

写真は、筆者が訪れたカンパラのスラムにある映画館です。数秒ごとに映像が止まっていましたが、昔のハリウッド映画やカンフー映画を低価格で視聴できるため、スラムに住む日雇い労働者やストリートチルドレンが集まっていました。他にも、日本のインターネットカフェのように、DVDを借りてその場で視聴することができるDVDカフェも存在します。

ないものをクリエイティビティで補うのがワカリウッドの魅力

ないものを自分たちで作り出し、実現させるワカリウッド。アフリカの魅力と人々の豊かな想像力が存分に詰まっています。その飽くなきクリエイティブへの探求は、見習うべきものかもしれませんね。

TextHao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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